進展
レナが大変な事になっている最中
義昭達は
「そーれ!そーれ!走らないとあたしの轟轟丸の餌食だぜー!」
小柄な女の子が乗っているブルドーザーに追いかけられていた。
「皆ごめん。僕が足を引っ張ってしまった。」
「大丈夫だから!とりあえずスタミナ使いたくないから喋らないでくれる!?」
途中でスタミナが切れてダウンした義昭を背負いながら走っている林と
「急に何でこんなのが裏路地に?」
「さっきの大きな音はもしかしてこれが落ちた音?」
同じように走りながら、冷静に分析している氷菜と楓羅
「痛い痛い痛い!ぐびがじま゛っ゛でま゛ずー。」
そんな氷菜に引っ張られて走っていないのに死にかけている栄子
と混沌を極めていた。
しかし、裏路地で逃げ回るのには限界があり、どうしても表に出ないといけない時が来てしまう。
「仕方ないか。」
息も絶え絶えな状態で義昭が呟き
「じゃあ、もう皆で表に出よう。」
と、全員に聞こえるように話した。
栄子以外が首を縦に振って、見えてきた角を曲がる。
無駄のないコーナリングで曲がった事で、少女の乗ったブルドーザーはすぐに反応が出来ず
「あ、ちょっやば」
とだけ残して直進していった。
ギリギリ表に出ることは阻止でき、義昭達は安堵した。
足を止めて、目一杯の呼吸をする。
改めて空気のおいしさを堪能し落ち着くことが出来た。
「もう追ってきてないみたいですね。」
後ろを振り返りながら氷菜が楓羅に話しかけている。
「そ、そうだね。ていうか誰なのあの子」
膝に手をついて肩で息をしている楓羅は、返事をするのも精一杯なように見える。
その様子に氷菜が少し呆れたように息を吐き
「運動不足なんじゃないですか?疲れすぎですよ。」
と、呟く。
まだ呼吸が安定していない状態の楓羅は
「貴女達二人が体力ありすぎなのよ。ほんの数週間前までデスクワークだった私にこれはしんどいの。」
少し強めに返事をした。
そのやりとりを見ながら、林は背負っていた義昭を降ろしながら
「それにしても、さっきのブルドーザーは一体どこから?」
「分からないけど、さっきの男の人とか関係がありそうだよね。」
と、義昭と話していた。
なんの前触れもなく現れ、義昭達を襲ったブルドーザーとそれに乗った少女
それと
「あの男の人の後ろにあった足は一体」
「足?」
それは、男性が消えるまでの間で林だけが見つけたもの
目の前の成人男性に隠れて、細い足が見えていたらしい。
「なにか、小さな女の子のような足だったんだけど。」
「とりあえず、今は分からないし、後で会うかもしれないから。今は少し忘れよう。」
林は頷いて、後ろの三人に
「裏路地でこそこそ行くのもそろそろ難しくなりそうですけど、どうします?」
今は、ギリギリ表に出る事は阻止出来ているが、バレるのは時間の問題だった。
その質問に氷菜と楓羅が林の方を向いて、
「まぁ、腹括らないとって思ってたし、いい加減進まないとね。」
楓羅は、覚悟を決めていたようだ。
「とりあえず、今気絶してる人を起こしましょう。」
逃げ切る最後まで首輪を引っ張られていた為、栄子は泡を口から出し目をぐるぐるさせている。
一見すると、死んでいるのと変わらなそうな状態だがカヒュっと聴こえるのでまだ生きているのだろう。
氷菜は、そんな栄子の顔を自分の前に持ってきて
やぁ、と言う声と一緒に往復ビンタをかます。
「ええ!それは〜、さすがにどうなんですか。」
林が心配になる程、遠慮ないビンタをしていると、やがてハイライトが消えた目に色が戻り
「いふぁい!いふぁい!いふぁい!」
やがて、痛みを訴える程度には栄子は意識を取り戻した。
往復ビンタのせいで腫れた頬を摩りながら、栄子は立ち上がり
「ええぇと?今何が起こってるんですか?」
当然何が起こっているか分かっていない栄子は、氷菜と楓羅に状況を聞いた。
「なるほど、とりあえず分かりました。そろそろ警視庁に向けてショートカットといきましょう!」
と、やる気になった栄子のテンションに他の四人は少し驚いたが、それ以上に
「え、かなり離れてますけどショートカット出来るんですか?」
一番驚いた林が、栄子に聞くと。
ふふんと、胸を張りながら
「私は、自分から危ない橋を渡る記者ですよ?当然逃げるためにそういったルートも把握してますとも!」
人差し指を立てながら、歩ける限り義明に近付き
「当然、表に出なければいけないので住民には姿を見られますが、通報されても警察には決して見つからない。そんな場所があるのです!」
「でも、住民の人に捕まる可能性もあるんじゃ。」
心配そうに話す林だったが
「でも、貴方達がそんなのに捕まるようなレベルじゃないでしょ?」
栄子は何いってるんだと言わんばかりの、表情で林を見ながら言っていた。
「では、行きましょう!表に出てまっすぐ行ったところにある3個目のバス停まで!」
そう言いながら、栄子はリードを持ってる氷菜ごと引っ張りながら義昭達に案内を始めた。
首輪をつけた女性を先頭に歩く光景は、ある意味で街の人に誤解を生んでいた。




