妹と約束
留萌 一三二と三人の戦闘が行われる前
日出 氷菜は
「氷菜ちゃん?どうしたの?出てきてちょうだい。」
「一体どうしたというんだ。理由を話しなさい。」
と、両親に心配される程に家にいる間は部屋に引きこもっていた。
義昭と話した次の日に部屋を覗くと、そこには義昭だけでなく少ない荷物も無くなっていた。
言ってた事が本当だったと、事実を認識するのに時間がかかった。
自分に過度に期待せず、対等にいつも通り関わってくれた義昭は、氷菜にとって心の拠り所だった。
それほどの存在がある日、唐突にいなくなる。
そんな現実に、氷菜は耐えきれず部屋に戻ったきり学校に行く時以外、出てこなくなってしまった。
もうこの家には安心できる場所が自分の部屋しかない。
だからといって、学校が安心かと言われるとそういうわけでもない。
下心を持った男子と、コネを持っておきたい女子に囲まれる為、家よりもキツかった。
たった一日でここまで憔悴してしまった氷菜は、今日の夕方に義昭のいる高校に行く事にした。
今は少しでも話して、心の隙間を埋めて欲しい。
そんな思いで、苦しい学校生活を終えて氷菜は義昭の高校へと向かった。
「おかしい。誰の声も聞こえない。」
行った時が三人が着く前だった為、氷菜は合流しておらず音のない学校が不気味だった事もあり、すぐにその場を去っていた。
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そして場所は戻り、義昭と一三二は落ち着かせるために外に出ていた。
歯止めが効かなかった一三二を一度静止させ、義昭が肩を貸して二人でグラウンドに向かった。
「ごめんね。あんな事言っちゃって、私自身どうかしちゃってた。」
おかしくなっていた自覚はあったようで、一三二は義昭から渡された水を飲み一言謝った。
二人はベンチに腰掛け、沈黙を両者は選んだ。
しばらくして
「あそこまで楓羅さんが戦える人だったとは僕も思っていませんでした。反射神経は侮れませんね。」
それに軽く笑って一三二も話す。
「学校の長やってたら、生徒以外とやれる機会ってなくてさ。大人とはよっぽどがない限り関わる事がなかったんだ。」
長にも色々あるようで、大変なんだなと義昭は他人事だが思った。
一三二は立ち上がり、義昭の前に立って
「で、どうする?私は落ち着いたけどする?」
と戦うかどうか聞いてきた。
義昭は少し悩んだ後
「日を改めましょう。万全な状態の貴女としたいから。」
それを聞いて、一三二は嬉しそうにして
「分かった。じゃあいつにする?」
と少し早口になりながら聞いてきた。
「留萌さんにお任せしま」
「じゃあ、明日!」
言い終わる前に、一三二は捲し立てた。
「分かりました。では明日同じ時間にしますか?」
「良いけどまたサボるの?昼休みとかお話ししたいよ。」
寂しそうな表情で一三二は、義昭を見つめた。
義昭は考えた後
「貴女との戦いが終わればこのまま長と戦う旅に出るつもりなので、授業には出ません。」
出てもまともに受けられないのでと付け加えて、義昭は言った。
今の待遇を知っているだけに一三二に引き留める権利はない。
「もしかしたら、気が変わって屋上にいるかもしれませんね。」
と義昭が言った途端、一三二の目に光が灯った。
ここまで人の機嫌は変わるのかと義昭は不思議に思った。
二人は明日戦う事を約束し、一緒に楓羅達のいる保健室に向かった。
「それにしてもさっきの攻撃はなに?私何も見えなかった。」
自分を止めたものが何か知りたかった一三二は、道中で義昭にそう質問した。
義昭は少し笑って
「明日戦えば貴方ならすぐに分かりますよ。」
詳しくは答えなかったがそう言って会話を終わらせた。
煮え切らない一三二だったが、明日分かるならいいかと思いこれ以上聞くのをやめた。
「そういえば旅に出るって言ってたけど、あの二人も一緒に行くの?」
「はい。多分次までは大丈夫でしょうが、木森さんが少しネックですね。」
一三二は、失礼ながら納得してしまう。
先程の戦いで、林は一歩も動けていない。
楓羅が死にかけていた状況でも足がすくんでいる。
自分よりも戦力に圧倒的な差があると、無理になってしまうようだった。
そこをどうにかしないといけないと考えていたが、義昭にいい案が浮かばなかった為、保留になっていた。
「じゃあさ。私が鍛えてあげようか?」
考えていると一三二がそんな事を言い出した。
「確かに、留萌さんなら良いでしょうが、一応敵同士ですけど良いんですか?」
その質問に一三二は、指を横に振りながら
「私は強いやつ以外に用はないの。自分で作り出せるならもしかしたら私より強くなってくれるかもしれないし。」
「であれば、よろしくお願いします。あの程度の実力だと絶対に三番目くらいで詰んでしまうので。」
と義昭は一三二に頭を下げる。
快く了承してくれた一三二は、少し上機嫌になりながらスキップで保健室へと向かう。
「後で処理してもらわないといけない事もいわないとな。」
と後ろで義昭は呟いた。
自分以外の三人には見えない位置に付いた血を隠しながら




