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虐められていた最強高校生  作者: んれる
学校の破滅編

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本気と彼

 狂った笑い声は木霊し、学校の外まで響いている。


一三二は目を見開きひとしきり笑った後、真っ直ぐに楓羅達を見ていた。


生徒会室にいた時の穏やかさが見えるような顔はどこにもない。


彼女にとって強者の存在は麻薬のように依存性を高めている。


「義昭君だけだと思ったけど、やっぱり学生だけを相手にしても強い人には辿り着けないよね。」


澄み切っていて曇りのない表情を浮かべて、一三二はゆっくり歩いて楓羅達に近付いてくる。


また姿を消すかもしれない為、楓羅も林も細心の注意を払い、一三二の動向を見ていた。


しかし、彼女は歩く足を止める事なく楓羅との間合いを詰めていく。


楓羅はどんな攻撃が来ても避けてから考えるつもりでいた。


そして二人の手が触れ合えるほどの距離まで近付き


一三二の右腕が動いたのを見た楓羅は攻撃を避け、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


何が起こったのか分かっていない林と、顔を触りながら信じられないと言った表情を浮かべる楓羅、そして満面の笑みをした一三二という光景になっていた。


「な、なにが」


林が言い切るより早く、一三二は楓羅に接近していった。


楓羅はすぐさま起き上がり、全神経を集中させ攻撃を待った。


ここからは林では到達し得ないレベルになっていった。


一三二の攻撃を楓羅が避け、楓羅の反撃を一三二が受け流す。


そのやり取りだけが数分続いた頃、なんとか一三二を蹴り飛ばした楓羅が一三二から距離を取った。


「頑張ったけど流石にこのままはキツイな。」


そう言って、地面を強く踏み込んだ楓羅の靴の踵部分が折れ、目が鋭くなった。


「もったいないよね。自分から攻撃が出来ればその力はもっと強いのに。」


欠点を悟られている事には薄々気付いていた楓羅は、改めて指摘されて軽く笑った。


彼女の反射は相手からの攻撃が来てからじゃないと真価を発揮できない。


「ま、本気出してくれるみたいだし、私はどうでも良いけど。」


一三二は軽く息を吸い、狙いを定めて走り出した。


攻撃を仕掛けてくる一三二を見ながら、楓羅も反撃の隙を伺う。


ふと、一三二の足が浮かび楓羅の身体目掛けて蹴りを繰り出す。


その動きは、楓羅が一三二に最初にダメージを与えた時と同じ動きだった。


楓羅は同じようにしゃがんで足払いを仕掛ける。


リプレイみたいに宙を浮かんだ一三二に、同じく蹴りをお見舞いする楓羅


それはしっかり一三二にヒット


「そ、そんな!?」


する事なく、一三二はその足を掴み地面に着地した。


「同じのを一発貰うほど流石に私はバカじゃないよ。」


足を掴んだ状態で一三二は楓羅を端まで投げ飛ばした。


壁に直撃し、ホコリが舞う。


楓羅のダメージは大きく、意識はあるが自力で立つ事が出来ないほど足に負担が来ていた。


一三二は(とど)めを刺すため楓羅との距離を縮めに向かった。


助けに行きたいのに、散々助けてもらったのに、林の足はこんな時でもガクガクして動かない。


林が自分の無力さを呪うのと、楓羅が自らの死を確信したのとほぼ同じだったその時


()()()()()()()()()()()()()()()()()


それを認識した一三二が急いでスピードを落として避けようとするも間に合わず、何かに当たりはしなかったものの、スピードを落とせずそのまま転んだ。


楓羅も林も一三二も何があったのか、理解できなかった。


すると


「あの状態だったら当たると思ったんだけど、流石は長だね。」


階段を降りる音と一緒に、男性の声が聞こえてきた。


その声は林も楓羅も聞き覚えがある。


「それにしても楓羅さんは凄いですね。ここまでやれる人だとは思ってなかったです。木森さんは、課題だらけですね。」


姿が見えた時、二人は揃って名前を叫んだ。


「義昭くん!」


その声に返事をしながら、義昭が姿を見せた。


なぜか学生服に血が付いているが、それを気にする余裕は二人にはなかった。


「とりあえず木森さんは楓羅さんを助けてあげてください。今からは僕がやるから。」


その指示に林は大人しく従い、急いで駆け寄り肩を貸した。


そのまま義昭に目線を送り、旧校舎を出て行った。


それを見届けた後、転んだ一三二を見ようとした瞬間、義昭の横をとんでもないスピードで一三二が通り過ぎた。


途中で逃がすのは彼女の性分に合わなかったらしい。


それを義昭は、何かを飛ばして阻止する。


「仲間は追わせない。覚悟してもらう。」


「なんて最悪なタイミングで来ちゃったんだ!」


今の一三二は楓羅の事しか考えられていないようだ。


彼女の中では久しぶりにまともな戦いが出来る相手を逃がそうとする林と義昭は邪魔者になっている。


だが、そんな事で行かせる義昭ではない。


「ふむ、どうやら今の貴女を相手したって無理そうですね。」


その後、溜め息を吐きながら


()()()()()()()()()()()()()()()()。」


軽い挑発を行った。


普段の一三二だったら、こんな挑発くらいなら笑って済ますだろう。


だが、血が上り切っている彼女には効果覿面(てきめん)だった。


目を尖らせて義昭を睨む。


「黙れ!貴方程度じゃ私に勝てないくせに!」


そう怒鳴って義昭に襲いかかる。


「勝てますよ。だって」


そう言って義昭は指を一本曲げる。


すると、一三二の右手を貫通して何かが地面に刺さり、そのまま一三二は地面に落とされた。


その状態の彼女を見下ろしながら義昭は


「この程度の攻撃をまともに受けてしまうほどに弱体化しているじゃないですか。」


と落胆した声で呟いた。

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