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第三話 苦悩

「ファバル。もゆやめるんだ」


 あれからどれくらい時間がたっただろう。


「うるさい。次こそはきっと」


 何本剣を壊しただろう。何度剣に触れても数秒のうちに剣は粉々になる。


「もういい。何故かわからんがお前は触れた武器を粉々にしてしまう呪いみたいなものがあるらしい」


 頭の中に流れた言葉はスキルだった。ソードイーター。あのくそ神。こんなスキルを与えやがって。


「とりあえず、原因はわかるかわからんが。当分剣には触るな。騎士学校のほうは諦めるしかないが。なぁに、剣以外でもやりがいあることはいくらでもある。気にするな」


 そういうあんたも落胆した顔をしてるだろうが。それに俺に剣の道をあきらめろってか。


「そんなことができるなら俺は普通に生きていた」


 あの時だって別に子供を助けたいわけじゃあなかった。ただ、どうしうもなかったから。さすがに殺人鬼になるのだけは我慢ならなかったから美談で死にたかったんだ。剣は捨てられない。捨てるくらいなら死を選ぶ。


「なにをいってるんだ。おまえは?」


 あぁ、わからないだろう。別に説明してやる気もないが。


「父さんにはこの気持ちはわからない。そう、この気持ちは」


 剣を捨てることができない俺は剣に触れなくなったのならつまり、剣に捨てられたのだ。この剣と魔法の異世界で剣に捨てられたのだ。もう、気が狂いそうだ。


「とりあえず、落ち着け。なぁ」


「落ち着けできるわけないだろう。こんな気持ちこの世界に来る前以来だ。いや、もっと酷い。目の前に御馳走をぶら下げられていて我慢させられているのだから」


「だから、さっきからお前は何を言っているといってるんだ」


「どうせ話してもわからないことだよ。そうだよ。さすがに死ぬのには少し覚悟いるけどさ」


 俺は目の前にあった料理用のナイフを手に取った。


「こんな腕がなければ少しは我慢できるんじゃないかな」


 迷わず右腕に振り下ろす。しかし、腕にたどり着くことなく粉々に壊れた。


「あは。あはははこんな包丁にまで俺は嫌われるのか」


「ファバル」


 リキルドの怒声とともに俺の頭に信じられない重い痛みを感じてその瞬間気を失った。





「なんて・・・ことだ」


 思わず椅子に座り込んでしまう。止めるすべが力づくでしかなかった。親としいて最低だ。あいつの痛みを背負ってやれない。


「あなた・・・今回ばかりは仕方ないわよ」


「子供を全力で殴っちまったんだぞ。八歳の子供を俺の力で」


 しつけで殴るときはある。訓練だって全力を出す時もある。でも、あの時はそうじゃなかった。ただ何も考えられずに殴ってしまったのだ。下手したら死んでいた。


「あなたこれから」


「とりあえず、この家から剣をなくそう。さすがに家柄上全部は無理だが。訓練もあいつが見てないところで遠くでやろう。あいつから、剣を取り除こう」


 できることなんてそれしかない。原因がわかればまだ対処のしようがあるかもしれないが。触れたら武器が壊れるなんて聞いたことがない。


「なんで、あいつなんだ。あんだけ剣の才能を持ち。剣を愛しているのに。なんで、それを剣のほうが裏切るんだ」


「父さん大変だ。ファバルが」


 その日俺たちの家から息子が一人いなくなった。




「ハッ。ハッ。ハッ」


 最低限の荷物だけ持って俺は走っていた。幸い明日から騎士学校に入る予定だったので荷物だけはまとめてあったから準備にはその荷物を減らすだけだったので楽だった。


「クソッ」


 逃げたかった。全てから。剣に裏切られたという事実から。


「絶対俺は剣士の道を捨てない」


 捨てられるわけがない。それだけしか望みがないのだ。


「正解に気づきながらもあくまでその道を進む。君は本当に面白い」


 誰かがすれ違いざまに言った。いま誰とすれ違った?声を聴くまで人なんていないような気がしたのに。そして、この声には聞き覚えがあった。


「なんであんたがいるんだよ。二度と姿を見せないって言ってなかったか?神様」


「失礼だな。僕は会うことはないだろうと予想しただけだよ。それが外れただけさ」


 俺をこの世界に送り、こんなスキルを授けた張本人がそこにいた。


「いやぁ、面白い事態になってるから少し顔を見せに来ただけさ」



「知っていただろう。貴様はこんなことになるのを・・・」



「無礼な振る舞いだね。君はもう少し立場をわきまえてると思っていたんだけど?」


 その瞬間に全身に膝を屈したくなるような威圧感が襲う。足の震えが止まらない。


「くそがぁぁぁぁ」


 俺は気合とともに足をぶん殴り震えを止める。今度は屈してやるものかよ。


「ほぅ、偉い偉い。この威圧感に耐えるなんてなかなかいないよ。まぁ、いいよ。君の気持ちもわかるしね。君の頑張りに免じて不敬は不問にしてあげるよ。さて、知っていたかと聞いたんだよね。もちろん知っていたさ。君にそのスキルを与えたのは僕だよ」


「そんなこと聞いてるんじゃねぇんだよ。なんで、こんなスキルを与えた?」


 一歩前に進む。正直威圧感は衰えるどころか増すばかりだ。


「君は僕の話を覚えていないのかな?まぁ、僕にとっては一瞬でも君にとってはそれなりの年月だから仕方ないのか。僕はスキルを与えたけどあくまでそのスキルを作り出したのは君の願望だ。つまり、君が好きすぎたんだよ。だから、食らってしまうのさ。まぁ、それを知って発現するまでは隠していたのは確かに僕の仕業だけどね。一応代償としてやらせてもらうって言ったはずだけど」


 生まれる前の話だからもう八年も前になるが確かに言っていた気がする。


「こんなスキルいるかよ。消せ。今すぐに」


 そう言いながらまた一歩アスフィルに近づく。もう、目と鼻の先だ。


「人は自由に臨んだ才能は得られないように授かった才能を取り消すイことはできないんだよ。っていうかしたくもないしね。せっかく面白いスキルを手に入れたんだからそれを桜花した方が賢明だと僕は思うんだけどな」


「俺の望んだ人生とは全く違うだろ。あんたはいった俺の望みの世界に連れてきてくれると」


 そのまま胸ぐらをつかむ。しかし、掴んだ瞬間指一本動かなくなった処かまるで電流が流れたようにしびれた。


「連れてきたじゃないか。その世界で君がどう生きるかは僕の知ったことではない。後はどうなろうと君の責任だ。ところで、君は剣だけじゃなく片手も失いたいのかな」


 徐々に痺れがひどくなるどころか頭痛も酷くなる。駄目だ気持ち悪い。吐きそうだ。


「まだ、離さないか。普通なら触れることさえできないはずなんだけどね」


「誰が話すかよ」


 そのまま反対の手を振り上げる。せめて一発殴らなきゃ気が済まない。


「さすがに、それは気分悪いなぁ」


 そう言ってアスフィルの手が先に俺の頭の先で止まる。そして、軽く押した。それだけで俺の体は数メートル吹っ飛ばされる。


「思ったより吹っ飛んだね。まぁ、今のですべてを流そうじゃないか。しばらく立てないと思うけど」


 なめるな。こんな程度、骨折したって木刀を振り続けたことだってある。


 だが、腕に力を入れて起き上がろうとした瞬間顔面が地面にたたきつけられる。威圧感がさらに増した。


「やめてくれないかな。これで君が立ったら僕が嘘つきになるじゃないか。知ってるかい?神様は嘘をつかないんだよ」


 知ったことかって言いたいが威圧感は増すばかりで呼吸さえも苦しい。


「うん、わかってくれたようでなりよりだ。さて、そのスキルは消させない代わりに一つ助言だ。そのスキルが生まれたのに僕がかかわっている以上そのスキルはきちんと使えばそこそこ強いよ」


 そんなことはどうだっていい。


「不満そうな顔だねぇ。なら、出血大サービスで一つ君の未来を言おう。君が剣を振るえる未来は確かに存在する。しかし、そこに行くための未来は失うものは多いけどね」


「そ・・・の・・・・はな・・・し・・・うそ・・・・じゃ」


 なんとか力を入れて話す。


「神の名に誓って。感謝したまえ。僕が未来を言うなんて滅多にない事だよ」


 なら、どんなに苦労しようが何を失おうが必ず辿り着く。


「いい目になったようだね。まぁ、これからも君の人生に喜劇あれと言っておくよ」


 そういってアスフィルは消えた。

びっくりしました。一日のアクセス数が200越していました。周りから見ればまだまだ少ないかもしれませんが俺にしてはとっても驚愕です。そしてブックマークしいていただいた方ありがとうございます。現在七件。記録更新です。さて、まだまだチート的な要素は出てきませんが次回かその次くらいにはチートの片鱗が。っていうかいまだにヒロイン登場してませんな。アスフィル。迷っていますがヒロインの予定ではありません。あるとしたらハーレムの一人・・・性格的に無理そう(笑)ちゃんとヒロインの構想は別にありますので。乾燥要望などどんどんお願いします。ただし挿絵は無理です。絵が壊滅的に下手なので。

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