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第一話 転生

「あなた、男の子よ」


 一番最初に聞いた言葉は女性の声だ。恐らく母親だろう。異世界にことばなはずなのだが普通にわかる。なにかスキルでも身についているのだろうか。


 母は黒くて長い髪が特徴の優しそうな美人だった。そして、その隣にいるのが父だろう。金髪で無精ひげを生やしているが。身なりは良さそうなっ服を着ている。


「そぅか。男の子か。やっぱりなぁ」


「あなた、子供が生まれたのに何ちょっとがっかりした態度をしてるのかしら?」


 なんか母の背後から黒いものが見える気がする。うん、この母親を怒らせると怖そうだ。


「いや、勿論うれしいぞ。ただ四人目だから一人くらい娘もほしいって思ってたのも本音だがな」


 どうやら、俺は四男らしい。まぁ、いい身分の家だったら家督とか面倒そうなのがないので良かった。


「そのうちできますわよ」


「まぁ、できたらいいがな。しかし、この子は目つきがいいなぁ。将来立派な剣士になりそうだ」


「あなたぁ。覚えているとは思いますけど子供に剣を鍛えさせるのは五歳過ぎてからですよ」


「もちろんわかっております」


 どうやら、この父は母には全く頭が上がらないらしい。それに大切なことが聞こえた。家はどうやら剣士にかかわる家柄みたいだ。早くにも剣に触れる機会がありそうだ。




 はじめのうちは大変だった。何せ何もできないのだ。正直18歳でトイレを取り換えてもらうのは屈辱以外にも何でもないし。母乳だって頭ではわかっているのだが少し微妙な気分になる。


 外には出してもらえないので屋敷の中だけになるが色々分かった。


 父の名はリキルド・ヴァン・マルケイア。地方の領主であり。王国の剣と呼ばれる剣豪らしい。王への忠誠心に厚い人間であり。脳筋で政には真摯に取り組んではいるものの。難題になると頭を爆発させては逃げて剣の訓練している人間だ。


 母の名前はフィリア。良妻賢母とは彼女のためにあるような言葉だろう。執務の苦手な夫の手助けし。逃げた夫をしばき。難題を解決していく手腕は領民から慕われている。普段怒る事は仕事を逃げるリキルドをしばく以外にめったにないが。怒らせると怖いのは明白なので誰も逆らえない。


 長男のフレット(12歳)で真面目な努力型で不器用なところが玉に瑕だ。剣も才能は決してないもののその努力で緩やかだが向上を続けている。横柄な態度も取らないので領主の跡取りとして相応しいと思う。


 次男のレガル(11歳)はどっちかといえば天才型だ。普段最低限の努力しかしてないのに剣の実力はフレットを軽く上回る。その癖やる気があんまりないので父からよくしばかれる。フレットとの仲は良好だ。むしろ、よく兄を立てている。剣の試合でも数回に一回しか勝たないし。人の見ている前では必ず接戦の末に負けている。そんな処がフレットが眉を潜めているが。理解もしているので仲もいい。


 三男のヨシュア(6歳)は優しい兄だ。剣とかにあんまり向いてないと思う。なにか物を作るのが好きで。剣の修行以外のほとんどをそういうに使っている。


 で、現在の俺ファバル(4歳)は父と同じ金髪を持ち。青い瞳のすくなくても前の世界より数段美形の素質があると思う。そしてただいま大絶賛で不満中だ。なにせ、剣を見ていることしかできないのだ。兄弟たちの訓練を見ているだけ。最初は日本と全然違う剣の使い方に楽しさもあったが。いい加減飽き飽きだ。


「なんだ。ファバル。不満そうだな」


 訓練を見ている俺の目つきにさすがに同情したのかリキルドは声をかけてきた。


「僕も剣を振るいたいです。父上」


 正直こんなしゃべり方は嫌なのだが。子供なので仕方がない。せめて、早く俺といってもおかしくない年齢になりたい。


「さすが、俺の息子だ。と言いたいところだがもう少し大きくなってからな。木刀だって今のお前の体では重いだろう」


 試しにとばかり木刀を渡される。懐かしい重さだ。前の世界では飽き飽きしていた感触だが。禁断症状にまでなりかかっている俺には木刀でもうれしい。


 木刀に重さを感じなくはなかったが。簡単に振るえた。当然だ。ずっと振るってきたのだから。持ち方も箸を持つよりしっくりくる。筋力がなくても持ち方次第ではどうにでもなるのだ。


「ほぅ。初めてとは思えない握り方だ。しかも、その構え・・・うちじゃあ誰もそんな構えしてない。なのに、ずいぶん自然な構えだ」


 リカルドの目つきが変わった。まるで獰猛なハンターの目だ。そして、周囲をちらちら確認している。フィリアにばれてないか確認しているだろう。せっかくのカッコよさが半減だ。


「ただ剣をまっすぐ構えてるだけですよ」


 正眼はこの世界でも一般的な構えなはずだが。


「俺から言わせてもらうと質が違う。なるほど、天性なら面白そうだ。まぁいいさ。ヨシュア軽く相手してやれ」


「え。いやだよ。弟に手を挙げるなんて。それに母さんに怒られる」


「こらこら。マルケイアの男なら身内相手でも手加減するな。そして、母親を怖がってどうする」


 あんたがいうなあんたが。


「いいよ。父さん。俺がやる」


 そう名乗り出たのはレガルだった。自分からしたいなんて俺が見ている限りでは一度も言ったことがないのに。正直意外だった。


「お前がか。珍しいな」


「まぁね。ちょっと気になるし。大丈夫怪我はさせないから」


 にゃろ。いくら体の差があるとはいえ。俺はこの道14年のベテランだぞ。まぁ、そんなことわからないから仕方ないんだけど。


「じゃあ、レガル兄さん。お願いします」


 本当に本心を隠すのは大変だ。


「じゃあ、早めにまいったって言ってね。母さんに怒られたくないし」


 レガル兄さんは駆け出す。そのスピードは速い。正直前の世界の俺と同じくらい早いんじゃないかって思う。正直なめてた。だが、いくら早くても対応できないほどじゃない。


 レガル兄さんの上段から振り下ろし。俺はそれをすり足で体ごと回り込み。回避しつつその手を狙う。もともと寸止めするつもりだった容易だから格好の的だ。


「つぅ」


 寸前のところで木刀で払われた。やっぱり身体能力の差はありすぎると思う。でも、休んでいられない。俺は次々と木刀を振り回す。つばぜり合いや。力なんて比べるまでもなく負ける。なら、唯一小回りを生かして。ただ動き回っていろんな角度から攻撃をするしかない。体力は考えない。どうせ、温存したってすぐに尽きる。


「くっ、この」


 レガルがいいように攻められて苛立ちを感じてきたようだ。力付くで剣をはじき。上段から思いっきり振りかぶってくる。


「そこまで」


 リカルドが慌てて止めるがもう止められない。それに俺の好機もここにしかない。この大ぶりの一撃なら剣を絡めて巻き上げ。試合中でもめったに使ったことのない隠し手だ。某ゲームに影響されて必死に練習した。


 レガルの木刀が宙に舞う。


「うそだろ」


「そんな馬鹿な」


 兄弟や父の呆然とした声が響き渡る。やはり、しばらくぶりの剣は楽しい。


「よかったわね。ファバル。楽しそうで」


 その声にさらにみんな凍り付いた。もう、絶対零度まで。おそるおそるリキルドが背後を見る。完璧な作り笑いをしたフィリアがそこに立っていた。


「あなたたち覚悟はいいわよね」


 家族一同の悲鳴が三時間ほど響き渡った。フィリア滅茶苦茶怖い・・・


ブックマークが三人もいてくれてることに驚きました。ありがとうございます。頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。

 幼少期はさくさく進めていく予定です。ってか俺の作品にしてはずいぶんキャラクターの説明があるほうだと思います。成長なのでしょうか。感想ブックマーク大歓迎です。すごいやる気になりますのでいつでもお待ちしております

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