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第九話 山賊狩り

「聖剣使い・・・だと」


 異世界ならあるとは思っていた。いや、家にいたときよくおとぎ話のような伝説が書いてあった本をよく読んだものだ。剣にあこがれたものならだれもが一生に一度は振るってみたいと思う。そして、こんなスキルでも伝説の聖剣ならもしかしたらと考えたことがなかったわけではない。


「おぅ、残念ながら見せてはやらねぇけどな」


 そんな風に言われるが、一目だけでもとは思う。もちろん触りはしない。使える可能性はあっても。破壊する可能性のほうがはるかに高い。そんな欲のために至宝ともいえる聖剣が壊れたらたまったもんではない。


「意地でも見せてもらうさ。どこでやるんだ?外かそれとも町のはずれか?」


 これから戦うのだ。本気にさせれば聖剣を嫌でも見せてくれるだろう。


「あん?お前勘違いしてないか?試験の合格は試験管。つまり、俺が合格と言ったらだ。試験内容に決まりはねぇぞ。確かに手っ取り早く手合わせが多いがな」


「え?・・・」


 肩透かしもいいところだ。手合わせのほうがまだわかりやすくていい。


「すいません。さっきのアランって人に変更で」


 うん。とりあえずさっさとFランクから昇格を目指そう。


「すいません。もう受け付けてしまったので試験管の変更は無理です。これがFランクのギルドカードになります。討伐モンスター。依頼の達成を自動で書き込んでくれる優れものです」


 一枚の白いカードを受け取る。こんな小さいの無くさないかな俺。


「ちなみに紛失した場合再発行手数料に三百ガルかかりますのでご注意ください」


 地味に高いな。宿屋に三日くらい泊まれるぞ。俺の現所持金より多い。


「それで、俺は何をすれば合格貰えるんだ?」


「まぁ、取りあえずは俺のクエストの手伝いか」


 思ったよりまともだ。なんか、この人適当な感じがするから。ちょっと前の世界にいたやつを思い出す。


「ゼルトさん。でしたら何かいいクエストを見繕しますが・・・これなんてどうです?」


 いくつか簡単な依頼を提示してくるギルマネ。


「これだな」


 ギルマネが勧めた依頼から別の紙を取った。


「うんじゃあ、ぼう・・・ファバル。この依頼やってみるか」


 俺に向き直して紙を突き付けてきた。そこに書かれていたのはCランク・・・




「山賊狩りか」


 商隊の護衛ではない。山賊のアジトの襲撃である。いきなり、Cランクとか何考えてるんだこいつ。まぁ、あのアランが受ける程度なら何とかなるかな。


 道中そんなこと考えながら山賊のアジトについた。一応初の実戦だが、隣にいるゼルトがうるさくて緊張しない。


「ぼう・・・ファバル年いくつだ?この世界に何で入りたかったんだ?」「ちゃんと飯食ってんのか。ぼう・・・ファバル。もうちょいがっしりしねぇとな」「ってかさっきから無視無視なのか?子供お得意の反抗期か。不合格にしちまうぞぼう・・・ファバル」


 とりあえずゼルトは鳥頭のようだ。毎回坊主と言いかけてから名前を言い直す。そして、うざい。反抗期呼ばわりされるほど深く付き合ってないだろう。ってか、つい二日前だ。


「おっさん。とりあえず山賊のアジト着いたけど思った通り見張りいるぞ。ガセじゃない分マシだけど。これからどうする。なにか作戦は?」


 目を凝らしてぎりぎり見える位置に二人洞穴の前にいた。こちらは茂にも隠れてるし。まだ遠いから少し動いたくらいでは気づかないだろう。場所がばれる山賊のアジトなんてどうせガセ情報だと高をくくっていたが事実なことに驚いた。


「まぁ、確かにこの手の依頼は半分ガセ情報だったり罠だったりするがな。一応ギルドの方でも調査はしてるんだ。その分失敗したらペナルティが半端ねぇ。まぁ、失敗したら半分以上が死ぬがな。それで・・・作戦なんだが」


 少し神妙そうに考え込んだ後。こちらを真面目な顔をして見てきて。


「そんなものいるのか?たかが、山賊だぞ?」


 見直し半分。呆れ半分が俺の感想だ。さすが、聖剣の使い手。自信にあふれてるしそういうだけの実力はあるのだろう。だが、それでも作戦ぐらいは考えるべきだろう。


「とりあえず、何か陽動でおびき・・・」


「てい」


 俺が言い終わる前に茂みから俺を蹴り飛ばした。いくら、離れているからとはいえこれじゃあ、丸見えだ。


「!!!!!」


 遠くで何か叫んでる声が聞こえる。アジトの中の仲間に伝えたのだろう。しかもこっちに向かって武器構えて走ってきやがる。


「おっさん。てめえ」


 ゼルトがいた場所を見るが何もいない。


「じゃあ、あとは一人で頑張れ」


 声だけが聞こえた。ふざけるな。初心者にC級のクエストを一人で放り出すだと。アランができる程度だとは思っているが。考えてみれば普通こういう任務は複数で受けるものだ。つまり、一人で受けるということはBランクオーバー・・・・


「しかたねぇ」


 できないとは思わない。いや、むしろできる。鑑定なんてしてる暇はないしレベルが低い俺には意味がない。だが、そんなの見なくても動きを見れば明らかに遅い。


「肉体強化発動」


 体に魔力を軽くまとわせる。一か月の訓練で魔力の調整はものにした。俺は素早く疾走して向かってきた二人にすれ違いざまに一撃を叩き込む。この木剣は鉄並みに固い。肉体強化した俺の一撃をくらったら。山賊程度悶絶ものである。


「バインド」


 動けなくなった山賊に木刀を突き付けて呪文を唱える。これも一か月で覚えた成果の一つだ。かければ、相手の体内の魔力を利用して動けなくさせることができる。ちなみに、動ける状態だったり。魔力を扱える余裕があれば簡単に対抗できる。使い勝手はあんまりよくない。


 奥から三人強さは先ほどの奴とは変わらない。余裕・・・だと思っていたら上からネットが落ちてきた。外にも罠があったか。単純だけど動き阻害されたらさすがにやばい。


「簡易付加魔術・フレイム」


 木刀に炎が巻き付きその剣でネットを焼き切る。使い度に思うが木刀自体は燃え尽きないのは不思議だ。


「こんな程度で」


 一か月前だったらただの木刀じゃ何もできず捕まっていただろう。本当に一か月の経験は俺を成長させた。


 さらに二人叩きのめした。急所に入れたから魔法で拘束しなくてもしばらくは気を失って動けないはず。


「最後の一人」


 終わりだと思い剣に力を込めたときに悪寒がした。咄嗟に木刀に魔力を流し込み悪寒がした洞窟に向き直し防御態勢をとる。その瞬間洞窟の中から何かが空気を切り裂いていった。


「つぅ」


 木刀を強化して防いだおかげで痛みはない。木刀も無傷だが一瞬体ごと吹き飛ばされそうだった。


「ほぅ、あれを防ぐか」


 洞窟の奥から熊と見間違えるほど実に山賊らしい腰みのをつけて成人男性と同じくらいの大きな斧をもったのが出てきた。明らかに山賊の頭領だろう。さっきには斧の斬撃を飛ばしたようだ。武器の斬撃を飛ばすのはまだ俺にはできないが聞いたことはある。


「とりあえず、念のために聞いておくけどあんたが親玉か」


 後ろから親玉に気がいっていると思って背後から奇襲してきた平山賊の横っ面をひっぱたき。その親玉に剣を向けた。


「あぁ、そうだ。まったく弱っちい下っ端を持つと苦労するぜ。木刀なんかに負けんだからよ」


 いらだち紛れに下に横たわっている部下を蹴っ飛ばしていた。


「大丈夫だ。すぐにあんたもそうなる」


「ハン。ガキに負けたら山賊家業はおしめぇよ」


「そうだな今日で終わりだな」


 見かけ通りの鈍重で斧を振るってくる。だが、簡単には受け止めることはできない。おそらく、アランってやつよりは強い。その斧の一撃が地面を砕く。あまりにも強すぎてか爆発したかと思うくらいだ。


「ちぃ、すばしっこいな」


「すげぇちからだ」


「爆裂斬つぅんだ。当たったらどんな奴でも一撃よ」


 また斧を振り回してくる。どんな奴でもには疑問はあるが俺では危なそうだ。だが、あくまで当たればだ。


「隙だらけなんだよ」


 胴に一発叩き込むが感触が変だ。まるで鉄を叩いているみたいに固い。


「お前は非力だな。俺の硬皮はそんなんじゃ傷一つもつけられねぇぜ」


 まるで虫にでも刺されたみたいに気にも留めずに斧を振るってくる。


「ちぃ」


 遅いおかげで回避することは十分にできる。


「いつまで逃げ切れるかな?魔力もいつまでも持ちはしねぇぞ」


 ニタァと笑いながらどんどん斧を振るってくる。俺が疲れて当たるまで待てばいいのだ。


「ただの硬気功だろ」


 人間硬くない場所はある。俺はそこを狙って突いた。


「目だろ」


 今までの鈍重さとは異なって素早く首を動かす。


「目なんて早々当たるもんじゃねぇんだよ」


「あっそ」


 なら、全力でやるだけだ。肉体強化を全開にして木刀に魔力を込める。魔力を込めればこの木刀は鉄以上に固くなる。そして、肉体強化を全開にした俺なら鋼の肉体といえども。


「ぐはっ」


 全力でわき腹を叩き込む。さすがに、俺の一撃は聞いているようだ。だが、まだだ胸に向かって思いっきり突く。残った肺の空気を全部たたき出すために。そして、止めとばかりに首に一撃を叩き込んだ。


「あ・・・・」


 そのままなすすべもなく崩れ落ちた。


「よし、ようやく終わったか。しかし、誰も殺さなかったんだな」


 いつの間にかゼルトが俺の隣に立って肩を叩いた。相変わらず気配が読めねぇ。色々言いたい事もあるが最後だからいいか。


「必要なら殺したが殺すレベルじゃあなかった」


 一瞬の手加減が命取りになるほどの強敵でもない。俺は別に人殺しになりたいわけではない。その必要があればそうするつもりだが。すすんでなるつもりはない。


「ふ~ん。まぁいいか。よしバインドを強化して近くの村に知らせるぞ。さすがに俺等だけで全員を運ぶのは酷だ」


「まぁ、合格前の最後の一仕事か」


 これで、一人で冒険者としてやっていける。


「はぁ、何言ってんだ?まだ合格じゃねぇぞ」


 どうも俺が知り合う人は人をこき使うのがお好きらしい。


すいません。予定していたよりもかなり遅れています。そして、話が長い。賞を区切ればよかった。考えなしの配分です。反省しております。そういえば、アクセス数千人突破しました。今頃なのかもしれませんが地道に増やして頑張りたいと思います。ブックマークも徐々に増えて言ってありがたいです。皆様の感想をお待ちしております。

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