サーバントサーバント
「そういえば学校祭が来月から始まるな」
担任が連絡事項で言ってたな。
学校祭。
名前見ると文化祭や体育祭のよな感じはするが、この催し際はこの高校で一番重要で特別なイベント。
日本中・世界中からお偉いさん方が俺達のサーバントを見に来る。
実際はただ見るだけでなく俺達のバトルを見るわけなんだがな。
学校祭が始まる一週間前には予選が行われる。
予選はまずクラス同士で行い上位三名が決勝リーグにいけて学校祭でその力をお披露目することになっている。
決勝で成績をのこした学生は有名人みたいな歓迎を受けられ、国から報奨金と地位を獲得できる。
地位は噂だと政治家なれるとかなれないとか言ってたな。
報奨金以外はいらないと思うんだけどな。
「東城なら余裕で決勝にいけるな!」
屋上で柳瀬と雪と三人で昼食をとっていると、柳瀬がいきなり言ってきた。
「何でそう言えるんだよ」
「お前は俺のライバルだからだ!」
「意味がわからん」
「そうでもないかもよ。だって実際刀夜は強くなったよ」
「それはシエラが元々強いんだよ。俺じゃない」
「違う違う。私が言ってる強いは信頼関係だよ」
「信頼?」
「そう。強いサーバントがいてもマスターが信頼をしてなかったら勝てるバトルも勝てない。逆も同じね。でも、マスターとサーバントが互いに信頼しあってたらどんな状況でも落ち着いて対処が出来る。弱くても勝てる。敵を知るにはまずは己から。これ私の経験談だよ」
「へぇ~・・・その経験談って雪とニーアに昔何かあったのか?」
「ううん。刀夜とシエラのバトルを見てるとそうなんだよ」
「それは経験談じゃなくて、観戦談になるだろ」
「ま~ね~。でも本当だよ。二人の息はピッタリだよ。もしかしたら優勝するかもね」
「そん時は奢ってくれよな!」
「まだ予選も始まってないのに優勝した後の話するなよ」
「その通りだ」
屋上のドアのところに人が立っていた。
「まだ始まってもない学校祭で優勝話はどうかと思うけど?」
「あ~、面倒な奴に聞かれたな・・・」
「どうかしたんですか。副生徒会長の西 昇さん」
副生徒会長の西 昇。
前回の学校際で二位になった男。
成績優秀で容姿端麗。
学校でも人気No1の男だ。
・・・表向きは。
噂だと影で結構色々とやっているって聞くが確信がない。
「ご丁寧な紹介を感謝する」
「俺らに何か用ですか?」
「用はない。ただ気分転換に屋上に来たら偶々聞こえてね」
「・・・偶々ね」
「そう。偶々だ」
嘘付け。
このドアは外側に鍵をかけれるから内側は鍵がないと開かない。
俺達は雪が違法で複製した鍵で出入りしてるから偶々は絶対ない。
「東城 刀夜くんだっけ。君は優勝できると思ってるのかい?」
「・・・どうだろうな。やってみないとわかんね」
「そうかい。僕はわかるけどね」
「未来予知か?」
「そうだね。そんなものかな。・・・君は優勝出来ない。僕に勝てないから」
「・・・・・・」
「人助けをよくしていると聞いたよ」
「そんなつもりはない・・・。偶々目に入ったから仕方なくだ」
「正義のヒーロー遊びか」
「てめぇ!!」
「よせ。柳瀬」
「気に障ったかな?だけど本当の事だ。弱い奴が弱い奴をいたぶって弱い奴を救う。強い者には牙も向かない。違うかい?」
「・・・・・・」
「無言か。もしかして本心を言われて動揺してるのかな?だったらすまないね。謝るつもりはない。では、失礼するよ」
副生徒会長は屋上を去っていった。
「いや~腹黒かったねぇ~」
「言いたい放題言いやがって!」
「・・・・・・」
「東城。あんな奴見返してやろうぜ!・・・どうした?」
「いや、何でも・・・」
「そろそろ戻りましょうか。授業始まるしね~」
正義のヒーローごっこか・・・。
その通り過ぎて何も言えないな。
俺のやっていることは弱い者いじめだ。
悪者でも弱かったら同じだ。
「・・・・・・」
大丈夫だ。
落ち着いて話せばわかってくれる。
・・・・・・はず。
「ただいま~」
「お帰りなさい。刀夜」
玄関でシエラが出迎えてくれた。
「体調はどうだ?」
「はい。良くなりました。もう二度と台所にたたないで下さいね」
「・・・反省します」
「ならいいです。・・・ところで刀夜。そのサーバントはどうされたんですか?」
もうばれた!
「落ち着いてくれシエラ」
「私は落ち着いてますよ」
「いや、落ち着いてるならなぜ壁にヒビが入るんだよ!」
「それよりどうされたのですか。そのサーバントは」
「説明するから抑えろ」
「・・・わかりました」
「ラネ。出てきてくれ」
「わかった」
ミサンガに変化したラネが出てきた。
「今朝、気になって昨日の空き地に行ったんだ。隕石に触れたらこの子が出てきた」
「ラネはマスターのサーバント」
「刀夜は私のマスターです」
「ラネの」
「喧嘩をしないでくれ。シエラ、マスターにサーバントが複数いる事ってあるのか?」
「・・・わかりません。ですが、感じる限りこの子は刀夜のサーバントなのは間違いありません」
「そっか。シエラはどう思う?」
「どうとは?」
「ラネもここに居てもいいかって事だ」
「・・・刀夜のサーバントなのですからここに居なくてはならないですから」
納得はしてないけどわかってはくれてるか。
「ありがと。シエラ。ラネ今日からここがお前の家だ。シエラ共仲良くしてくれ」
「ラネわかった」
「とりあえず飯にしようか。シエラ晩御飯出来てる?」
「はい。できてます」
「じゃあ皆で食べよう」
「ラネ。マスターの隣がいい」
「・・・・・・」
「ラネ。マスターは止めてくれ。ラネにも名前があるように俺にも刀夜って名前があるんだ」
「・・・じゃあ刀夜って呼んだほうがいい?」
「ああ。そうしてくれ」
「ラネわかった。刀夜の隣で食べる」
「リビングに行くか・・・シエラ?」
「駄目です」
「・・・どうした?」
「刀夜の隣で食べるのは駄目です!」
「ヤダ。ラネ隣がいい」
「駄目です。私が隣で食べます!」
「ラネが隣」
「私です!」
「おい二人共落ち着け!家が揺れてる!!」
『刀夜は黙ってて』
「・・・はい」
「だいたいあなたは刀夜に馴れ馴れしすぎます。もう少し節度を持つことを知りなさい」
「関係ない。ラネはラネのやりたい事をする」
「あなたはサーバントとしての自覚が足りません!」
「そっちも足りない。体調管理出来てない」
「それは刀夜の食事があたったからです」
「いいわけ。恥ずかしい」
「いいわけではない!」
「刀夜。こいつ嫌い」
「私も嫌いです」
『ムムム!!!』
「・・・勘弁してくれ」