異世界からのサーバント
ピピピ!ピピピ!
「・・・・・・」
「刀夜、起きて下さい。朝ですよ」
「・・・ん~あと五分・・・」
もう少しこの温もりを感じていたい。
「駄目です。早くしないと遅刻します」
「・・・じゃああと3分・・」
「駄目です。諦めて下さい。じゃないと痛い目みますよ」
「・・・わかったよ。起きるよ・・・よいしょっと」
「おはようございます。朝御飯作っておきましたよ」
「ふぁ~・・・・悪いね。ありがとさん」
「マスターの体調管理をするのは従者の務めですから。それよりも早く着替えてください。学校におくれますよ」
「了解っと」
ベッドの横に置いてある指輪をはめ制服に着替える。
「・・・なぁシエラ」
「何ですか?」
「お前太った?」
「な、何をいきなり失礼な事を言ってるんですかあなたは!!」
「いや、だって何か指輪重たいし・・・」
「それは刀夜が惰弱なだけです!私は太ってません。断じて!!」
「冗談だよ。重さなんてわかるわけないじゃん」
「まったく!それよも早く朝食を取ってください」
「はいはい」
自室をでてリビングでシエラが作ってくれた朝食をとった。
「じゃあ、そろそろ行くとするか」
「はい」
十年前、この町で記録的な流星群が発生した。
その流星群は町のいろんな場所に落ち大きなニュースになった。
山に落ちたり空き地に落ちたり、川・湖・海に民家にも落ちたりした。
そして俺の家にも落ちた。
眩い光を放った小さな球体を興味本位で見ていたら、球体は姿をかえ大人の女性が出てきた。
「あなたが私の主でね」
「・・・・・・マスター?」
「はい。私は異世界から来たマスターの従者シエラです。どうか御そばにおいて下さい」
「いせかいって?」
「別の星から来たという意味です」
「へぇ~・・・耳が長いね・・・」
「エルフ族ですから」
「そうなんだ」
「よろしくお願いします。マスター」
それがシエラとの出会いだった。
なぜシエラが来たのかは未だに理由はわからない。
当時のニュースでは学者達は異次元からの来訪者と言うものや、侵略者だとか言って今後の対応についてどうするか論争を繰り広げていたが、特に大きな問題にはならなかった。
なぜ問題にならなかったと言うと、政府が保護人種として任命したからだ。
地球以外の星から来た別の生命体を危ない目に合わすわけにはいかない。
もし危険な目に合わすと日本が世界が危機的状況に陥る可能性があると判断したからだ。
それによって異世界から来た異種族はマスターの傍にいれるようになった。
サーバントはマスターの命令に絶対という掟があるとシエラが教えてくれた。
命令に背けばサーバントとしての使命はなくなりこの世界にいられなくなると・・・。
これを利用してマスター達は互いのサーバントでの戦い楽しむようになり日本でも有名な町になった。
ちなみに民家以外に落ちた異世界人と思われる隕石はその場に置かれている。
当初はその付近に研究所を建てる予定で建築をしていたが、隕石が光、建築中の建物を破壊してしまったからだ。
なので、原因を解明出来ずに今この時まで一緒に生活を共にしている。
まぁシエラは問題ないとだけは確信できる。
「にしても父さんも母さんも海外に行ってるってどうなのかな・・・」
「よろしいではありませんか。ご両親とも仲が良くて」
「息子をおいていくかな普通・・・」
「私がいるから問題ありませんよ」
「・・・・・・」
シエラはすぐに家にとけこんだ。というよりも、俺の両親が変わり者だった。
「刀夜」
指輪に変化しているシエラが話しかけてきた。
「・・・ああ。わかってる」
折角のいい天気での通学中なのに・・・。
たった橋の下でカツアゲされている学生が目に入ってしまった。
最悪の気分だ・・・。
「どうしますか?」
「見たからには助けるしかないだろ・・・」
「わかりました」
「早く金だせよ」
「痛い目みたくないだろ?」
「・・・・・・」
学生は大人しく財布を差し出した。
「いい子だね~」
「結構持ってやがるな」
「おい」
「あ?」
「学生相手に大人二人ががりはどうかと思うけど」
「何だてめぇは。やんのか」
「大人しく返せば見逃すけど?」
「ガキが。教育が必要だな!」
二人は腕輪とネックレス前に突き出した。
「出てこい!!」
そう言うと腕輪とネックレスから異種族が出現した。
「このガキに痛い目を見せてやれ!」
「シエラこいつらは」
「ワーウルフとゴブリンですね」
「やれるか?」
「問題ありません」
「なら・・・シエラ頼む!」
指輪に命じるとシエラが出てきた。
「っち!使役者かよ」
「どうする?大人しく財布返す?」
「ふざけんな!やれ!」
ワーウルフとゴブリンが向かってきた。
「シエラ。ほどほどに頼む」
「はい。マスター」
向かってくる二体にシエラは詠唱し
「トルネード」
二体の間に竜巻が発生し巻き込み吹き飛ばした。
「なっ!?俺達のサーバントが一撃で・・・!」
「どうする?まだやる?」
「・・・・・・クソ!」
学生に財布を返し逃げていった。
「あ、ありがとうございます」
「礼ならシエラに言ってくれ。俺は何もしてないから」
「あ、あの。助けてくれてありがとうございました」
「次からは気をつけて下さいね」
学生は何度もお辞儀をしながらその場を去っていった。
「サンキュー。シエラ」
「いえ。これくらい余裕です」
「にしても最近多いよな・・・」
「そうですね」
ここ最近小さな事件が続いている。
異世界からきた異種族を使って悪行をする人達がだ。
普通のバトルだけなら問題なかったのに、それだけじゃあ飽き足らない人達が出てきた。
今はまだ大きな事件になっていないが今後はどうなるわからない。
自分の思い通りに動いてくれるからってこんな事に使うなんて・・・。
不憫すぎる。
こいつらだってこんな事したくてマスターに仕えているわけじゃないのにな。
「刀夜」
指輪に戻ったシエラが話しかけてきた。
「どうした?」
「学校。遅刻しますよ」
「ウッソ!ヤベ!!」
「頑張って下さい」
俺は全速力で通学路を走ることになった。