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プロローグ:転移先の選択

 その後、一通りスキルを使用したり、自分達のステータスを見て一段落した処で次の話が出た。

 『死者ノ王』に関しては此処では試せないようだ。だから他の二人にも詳しく教えていない。


「そういえば転生になるのか?それともこのまま転移みたいな事でいくのか?」

「転移に近い形かの。必要に応じて無理のない程度に若返らせるやもしれんが、基本的には向こうの世界で肉体を再構築する形じゃ」


 成程、頼めば目の色や髪の色等の細々したモノを変えられそうだな。


「さてと、どういった世界に転生するかの?」


 転生する世界を選ば無くては成らないらしい。

 此方が選べる辺り恐らく此処がターニングポイントの様だ。

 下手に変な所は選べない。


「逆に聞くがどういった世界が有る?」

「色々あるぞ例えば、科学が進歩した世界、魔法の進歩した世界、原始時代の様な世界、人類の居ない世界、君達が居た世界と良く似た世界とかな」


 『俺達が居た世界と良く似た世界』その言葉を聞いて委員長と富田の表情が固くなる。

 それもそのはずだ、自分達が知っている人物とは別者だとしても、それでも友人や親族に会いたいと思う事は有るのだろう。

 俺の様に自分の生死に対して無関心な人間はそうそう居るものでは無いからだ。


「爺さん、そういうのはいいから・・・」

「まあ、『元の世界に近い世界』はおすすめせんがな」

「だろうな」


 爺さんの事だ『俺達が居た世界と良く似た世界』を望んだらその世界に転生させてくれるだろう。

 だが、そこに俺達の知る、俺達を知る人間が居るとは限らない。

 たとえ居たとしてもそれはその世界の自分であり、此方はドッペルゲンガーの様なモノ、限りなく本人に近しい他人の空似・・・・・なのだろう。

 だから、その世界での自分の元の立ち位置は存在しない。

 第一、日本に転生出来るとは限ら無い。


「所で、紙様のおススメの世界はどういう所なんだ?」


 気を取り直したのか富田が聞く。

 正直、俺も気になっていた所だ。


「そうじゃの・・・魔法関係の世界はおすすめじゃぞ。空気は奇麗だし、君達の世界とはまた違った生き物も沢山おるしの」

「魔法の世界・・・・」


 委員長が魔法の世界に思いを馳せて笑みを浮かべて空を見ている。

 おそらくファンシーかファンタジーなモノを想像しているのだろう。

 意外とメルヘンチックなモノが好きらしい。

 トリップしている姿が少し怖い。


 そんなに気楽な世界では無いと思うのだが・・・

 元の世界よりも命が軽い世界だろうし、危険度は確実に高いだろう。

 まあ、危険度が低い世界はきっとデストピアのような監獄の様に隔離、管理された世界なのだろうけれど。

 だが、正直命どうこうに興味無い。


「俺は条件が揃えば何処でも良いんだが・・・」

「条件?」


 爺さんが聞く。

 トリップから戻ってきた委員長も何も考えてなさそうに惚けていた富田もこっちを見る。


「嗚呼、条件だ。

 まず、俺達が行き成り向こうの世界に行っても受け入れられる、もしくは住む処がある事」

「ん?どうしてそんな事を気にするんだ?」


 富田が聞いて来る。

 今回は流石に委員長も理解しているようだ。


「富田は『死んだけど神様に転生させて貰いました。家も金も親も常識も無いけどよろしく』って人と関わり会いたいのか?」

「あ、あ~なるほど」

「そういう事だ」


 流石に向うに行って最初に付く称号が「不審者」や「社会不適合者」等の不名誉なモノは勘弁願いたい。


「次、俺達・・・出来れば個人で金が稼げる事」

「まあ、当然よね」


 委員長が賛同してくれる。

 最悪の場合稼げなくても生きては行けるだろうが、その場合住むのは穴倉か軒下、食べ物は木の実か獣の原始時代の生活かホームレスに近いモノになる。

 狩り暮らしは楽しそうではあるが、その日暮らしに成るかも知れないので流石に勘弁願いたい。


「まあ、俺の出す条件はこれぐらいだな。最低限これ位あれば裕福で無いにしろそこそこの生活が出来る」

「そうじゃな・・・条件に合う世界は幾つかあるが・・・そうじゃな、君達におススメに出来るのは『エルグラウンド』と言う世界かの」

「エルグラウンド?」


 委員長が聞き返している。

 ちなみに、俺達の元居た世界は『ムンドゥス』と言うらしい。

 それはともかく


「その『エルグラウンド』はどういう所だ?」

「そうじゃの・・・まず、当たり前じゃが命は君達の居た世界よりは圧倒的に軽い」


 まあ、そうだろうな


「あと、君等の世界とはレベルの違う危険な生き物も多い」

「紙様、危険な生き物ってどういうものなんだ?俺達の世界にも危険な生き物は沢山居るがそれよりも危険って」


 富田がそう言った。相変わらず紙だが気にしない事にした。

 恐らく富田の中での危険はライオンやらサメレベルなのだろう。

 正直、俺としては虫の方が恐ろしいモノは多いのだが


「そうじゃの、向こうの世界で言うならいわゆる魔獣と言う奴じゃな。

 魔獣の中には魔法を使用するモノも少なくないからの」

「まじゅう?」


 富田、ひらがな表記で喋るな馬鹿が隠せなくなるぞ。


「そう、魔獣じゃ。魔獣はその名の通り魔力をもった動物の総称じゃな」

「よく小説などで見る魔物と魔獣は違うのか?」

「向こうの世界において魔物は『魔力を持つ生き物』の総称じゃ。君達の世界の『動く生き物』で動物に近い感じじゃな。魔獣はそれの獣の事じゃよ」


 どうやら人間も魔物の括りで犬や猫は魔獣のようだ。

 そうなると家畜の豚や牛も魔獣なのだろう。

 なかなかに楽な考え方だ。


「まあ、基本知識や常識は向こうに送る時に頭にインプットしておくから大丈夫じゃよ」


 何が大丈夫なのだろうか少し気になる。

 その後、少しの間話し合ったが委員長の強い押しで俺達の転移先は『エルグラウンド』に決定した。

 正直、委員長の目が少し逝っていてそれに俺と富田が気圧されて決めたと言っても過言ではないが。

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