プロローグ:加賀王摩の信念の一端
執筆が少し遅れました
出来たら週一ぐらいで投稿したいと思ってるのにな・・・
如何にもならない気持ちを何とか落ち着ける。
発狂した方が楽かもしれないと考える本能を如何にか理性で押さえつける。
深呼吸をする。少しだけ口の中が酸っぱい気がした。
深呼吸をする。なんとかして恐怖を堪える、すると
《精神異常耐性ハ精神異常無効化ニ変化シマシタ》
《精神異常:混乱、狂気、恐怖、錯乱ヲ無効化シマシタ》
《称号:「死を受け入れた者」ヲ入手シマシタ》
その時はなんの言葉か理解は出来なかったが。
その言葉が聞こえると途端に気分が楽になる。
体に力が入れずらい。どれほど体が強張っていたのかが良くわかる。
「加賀大丈夫か?」
「顔まだ青いけど平気?横に成る?」
どうやら二人とも心配してくれていた様だ。
俺は、まだ少し震える足に力を入れる。
「ああ・・・何とか大丈夫だ・・・まだ、足が少しすくむがな」
俺の答えに少し顔色を伺ってから二人から安堵の息が漏れる。
どうやらそれ程までに危険な顔色だったらしい。
心配してくれる者が居るのはなんだか有り難い。
「発狂するやもしれんと思っておったが・・・まさか、スキルを手にしておったとはな・・・」
爺さんが何か変なことを言っていた。
スキルだと?
「爺さん、スキルってあのスキルか?」
「お主が言うスキルがどのスキルかは判らんがスキルはスキルじゃ」
スキル
現実だと物事を行うための能力や資格。
ゲームだと技量、訓練によって得られる、特殊な技能や技術。
俺が今言ったのはゲームの方だ。
「あの、ゲームに出てくるスキルか?」
「その認識で大体間違いは無いの」
どうやらあっているらしい。
「本当に大丈夫?辛くない?」
「大丈夫だ委員長。今の所は問題は無い」
委員長が声を掛けてくれる。
まだ足が震えているがそれも治まってきている。
もう一度深呼吸をして爺さんの方を見る
「爺さんが言っていた死体を見られている事がまずい理由が良く解った。
あんなモノを見たら即死だと判るし、もしもあの状態で生きているとなればそれこそ化け物だ」
あんな奇怪なオブジェクトのような俺達の死体を少なくない数の人間に見られ居るのだ。あの状態から生き返れたとしても元の生活を送れるとは思わない。
見世物小屋の動物になるならまだまし。普通の場合、親や友人、その他大勢から化け物扱いされ研究所で人体実験を繰り返され、死にたくても死ねない状態でモルモットとして一生を終えるかもしれない。そうでなくとも逃げた先で餓え死にするだろう。
そんな事は絶対に嫌だ。
「判ったかの?」
「流石にアレではな・・・理解せざる負えない・・・」
あの光景を見ていない二人はよく解らなそうにしていた。
流石に見せる訳にもいかないので、俺が口頭で伝える。
委員長はその内容を聞いて容易に想像出来たのか顔を青くするを通り越して白くしていた。富田は単純に嫌そうな顔をしていただけだった。
「話を戻すぞ
君達を元の世界で生き返らす事は出来ないが、転生に近い形で別の世界に送る事は出来る」
「転生に近い形?」
「うむ、君達は死んでおるから別の肉体を生成して別の世界に送り込むという事になるかの」
別の世界で別の肉体を使う・・・MMOでアバターを使う感じか?
「なるほどな。なら、この二人は生き返らせてくれ」
二人を指さしながらそう言う
「・・・え?」
「な、何を言ってるんだ加賀。お前も生き返るんだろ?」
二人だけでなく爺さんも怪訝そうな顔でこちらを見る。
「いや、俺は生き返る気は無いぞ。俺はさっさと三途の川を渡る」
先程とはまた別の意味で空気が凍る。
自分でもかなりおかしい事を言っている事を理解しながら言葉を続ける。
「例え神様の所為で死んだとしても俺が死んだ事には代わりは無いのだろ?なら、俺は死人らしく十王の審判だっけ?それを受けて来るよ」
「なんd「どうして!加賀君は生きたいと思わないの?!」
俺の言葉に反応したのか委員長が何故かまた、ヒステリックに叫ぶ。
今度は襟の部分を掴まれた。軽く苦しい。
富田に関しては何かを言おうとしているが委員長に遮られたらしく言えないでいた。
「別に・・・と言うか、俺達もう既に死んでるからな」
「なら、どうして!」
「いや、だって死んでるんだろ?」
「でも、生き返れるチャンスが有るのよ?!どうして、それを不意にしようとするの!そんなに死にたかったの?!」
「まず、前提が違う。俺に『生きたい』とか『死にたい』なんて感情は無い」
「なら!」
「でも、生きている限り『死にたく無い』とは思う。だから、『生きたく無い』。
生きるから死ぬんだ、なら最初から生きていなければ良い」
もちろん自分が常人では有り得ないおかしな事を言っている自覚は有る。
屁理屈を言っている様なものだという事も理解している。
それでも、自分には『死ぬ』というリスクに対して『生きる』事に魅力を感じないのだ。
「なるほどな・・・・。お主の言い分は解った。じゃが生き返って貰わねば困るんじゃ」
「なぜ?人、一人死んだとしても特に問題無いだろうに」
「怒られる」
「は?」
怒られる?
「怒られるんじゃよ。既に魂の管理を任されておる者に『天罰でも無いのに神が人を殺すとは何事ですか!』とか『しかも、次元に挟まれて死んだ?何と言う管理不足、あなた本当に神ですか?』とかもう既に詰られておるんじゃ。
さらにそこに生き返りたく無いと言っておる者が居るなんて言ったら『そこを無理矢理生き返らすのが責任というモノでしょう?馬鹿ですか?死にますか?また、「神は死んだ」とか言われたいんですか?』とか散々な事を言われるに違いない。
じゃから生き返って貰わねば困るのじゃ・・・」
爺さんはげっそり顔でそう言った。
神様も楽じゃ無い様だ。
「もちろん、特に何もせずに生き返らせる訳じゃないぞ?最近の小説ではテンプレかも知れんがチートを付けて生き返らせるぞ?と言うか生き返ってくれ、お願いします。」
爺さんが必死になって頭を下げてきたいる。余程これ以上詰られたく無いらしい。
多分、これ以上言っても黄泉に行けそうも無いので、気は進まないが生き返らなければならないらしい。
まったく、頭を下げられる事は慣れないな。
シリアスが続かない・・・
どうにかこうにか続けられないものか・・・
6/11 少しだけ改変しました