プロローグ:合流そして現状把握
「着いたぞ」
強烈な光が収まるとどうやら移動が完了したらしい。どうやら、というのは今の光で目が眩んだからだ。
俺がまだ眼を眩ましていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「なんだ今の光は!って加賀じゃん!」
「加賀くん?!よかった~」
富田だ、どうやら一足先にこちらに来ていたらしい。
委員長も一緒のようだ。
目の眩みが取れると二人が駆け寄って来るのが見える。二人とも歪みに飲み込まれた時と同じ制服姿のままだ。
「全員そろったようじゃの」
俺が最後に合流した事で全員がそろったようだ
「ああ、此れが幻覚でなければその通りだな」
「幻覚とか怖いこと言わないでよ」
「そうだぞ、これが幻覚な訳ないだろ?みんな、無事に何事もなく合流できてんじゃん」
「そうとは限らんぞ。なにせ、あの得体の知れないモノに巻き込まれたんだ。俺からしたら『無事に』と言う言葉すら怪しい位だ。『何事もなく』とか特にだ」
そう、俺たちは歪みに巻き込まれた。何があったて可笑しくはない。
いや、むしろ何もない方おかしい位だ。
「う、それを言われると」
「否定はできないな・・・」
「勿論、否定させるつもりは無いぞ」
「もう、いいかの?」
もしも、此れが幻覚だとしても一番おかしいのがこの爺さんだ。
俺の死んだ祖父にも似ていないし、俺の記憶にもあんな人はいない。
そうなると、推測は幾つか出てくる。
その中で最も可能性がある予想もある。なら、それを確認するしかない。
「ああ、大丈夫だ」
「そうか、なら良い」
「ところで、爺さんに幾つか質問がある」
俺はそう言うと二人の前に出て爺さんを睨み付け、慣れない威圧をしてみる。
「ちょっと!いきなり失礼じゃないの!」
委員長が俺の言動を咎めるが無視をする。
少し、黙っていてくれ。
「なんじゃ?」
爺さんはただただ優しく微笑んでいる。キモイ。
「まず、貴様は誰だ?
何故、俺たち以外居ない?
何故、俺たちは此処にいる?
俺たちが此処に来た時バラバラになっていたのは何故だ?
此処は何処だ?
何故、此処には何も無い?
俺たちが此処に来る直前に見た歪みは何だ?」
この質問は予想していたのだろう表情は崩れない。
だから、この一言を言う。少し溜めて言う。
下手をすると、後ろの二人が直視したくない、残酷な結論を
「俺たちは死人か?」
爺さんの表情が固まった