外見が小学生な次期魔王候補
パソコンの不調や体調不良などで更新が遅れました。ごめんなさい。
「失礼します、ルー様」
断りをいれてルー様の自室に入る。
魔王候補最有力とされるルー様は、魔王城の一角に部屋が与えられているのである。ルー様以外の魔族が魔王になった場合でも、ルー様は新たな魔王の側近になるだろうからね。
ルー様は魔法の練習をしていたらしい。真面目だね。
「どうしたんだ?ラナ」
「鍛練の邪魔をしてしまって申し訳ありません。話がありまして」
「気にするな!ラナとの話の方が大事だからな。
異なった属性魔法の術式を組みあわせたらどうなるのか試していたんだ」
高度なことやってるなぁ。炎玉の周囲に電気がとんでいる。あたったら大火傷だな。
「それで、話ってなんだ?」
「人狼の幼獣が畑を荒らしたことはご存知ですよね。その幼獣が先程目を覚ましました」
ルー様に促されたので、椅子に座らせてもらう。
普通は地面に片膝をつかなきゃならないんだけどね。ルー様は優しいなぁ。
「その幼獣がどうしたんだ。誰かに危害でも加えたのか?まさか、ラナ、そいつに怪我でもさせられたか!」
「いえ、私ならこの通りぴんぴんしてますよ。それに私以外の者は幼獣に近寄らせていません。幼獣も気を休められないでしょうから」
「じゃあ、なんだ?」
立ち上がりかけたルー様が、訝しげな顔になる。
まさか、の辺りから、ルー様から黒いオーラがでていたような気がするけれど、気のせいだろう。
「その幼獣ですが、群れが人間の襲撃にあったみたいなんです。それで逃げてきたと」
「矮小で貧弱な人間に人狼が遅れをとるはずがない」
矮小で貧弱って・・・その血が半分入ってる私としては複雑なんだけど、ルー様。
「数で勝っていたそうです」
「気高き人狼なら数など関係ないはずだ!」
「事実は事実ですし」
むっとするルー様。可愛いな。
外見年齢が小学生だしなぁ(実際の年齢も小中学生だけれども)。
「・・・・群れの中には、まだ小さな子もいたと思うんです。助けてあげられないかと」
「この世は弱肉強食だ、ラナ」
「私、肉ですか」
「ラナは俺がまもってやる。食われることはない」
おっと。女子が言われたい言葉ランキング上位のセリフがルー様の口からでてきたよ。
『お前は俺がまもってやる』とか。かっくいー。
「私がルー様にまもってもらえるのに人狼達は助けてもらえないのは理不尽じゃないですかね?」
「う」
「それにですねルー様。人狼達と我らが魔王様は友好的な関係を築いてますから、彼らの危機を見過ごすのはまずいんじゃないですか」
なぜか不機嫌になるルー様。なぜだ。
「た、確かにラナのいうとおりだな。でもどうすればいいんだ?群れを襲った人間を皆殺しにするのか?」
「発想が魔族ですね、ルー様」
「魔族だろう?」
そうですね。魔族でしたね。
「奴隷商人に売られる前に密かに逃がしたらいいんじゃないですか?」
「どうやって」
「睡眠で眠らせるとか気絶させるとかあるじゃないですか」
「誰が?」
「ですからこうして話にきたんですって。私の独断では駄目でしょうし、なによりそんなに魔力ないですしおすし」
まぁ、あるんですけどね。
「む」
腕をくむルー様。お可愛らしいです。
「それならば、俺とラナで行こう」
「え、2人でですか?」
ルー様が勝手に抜け出したらまずいんじゃ?
俺ってば天才、みたいな感じで立ち上がるルー様。
「思い立ったが吉日だ、ラナ。群れが襲撃されたのはここ数日だろ?ならそう遠くへは入ってない」
「いいんですか」
「お前が俺にこの話をしてきたのは、自分で勝手に決断しちゃ駄目だって思ったからだろ。俺が決めたことだから問題ない」
「いえ、そういう意味ではなく」
「大丈夫だ。こっそりいけばばれない。すぐに帰ってこればいい」
というわけで、2人でこっそり魔王城を抜け出すことになってしまった。勿論人狼少年には説明した上で。
なんだかなー。
ルーキフェルが不機嫌になったのは、ラナが人狼ばかり気にしてるから。