人狼少年
はやくもストックがなくなりました・・・(泣
ぱちり、と目をあけた人狼の子は、私をみて怯えたように身をすくませた。
・・・犬みたいだねほんとに。
前世で私、犬が飼いたかったんだよね。残念ながら、弟が犬アレルギーを持ってて飼えなかったんだけど。
犬って可愛いでしょう?人狼が犬にみえて可愛いのも仕方ないよね。
「ぐるるる・・・」
どうやら警戒されているみたいだ。当たり前か。
「人化できないから言葉がわかんないなぁ・・・・・。でも私動物念話使えないんだよなぁ」
動物念話はその名のとおり動物と話ができるワンダフルな魔法である。
「人狼少年君、さっきは眠らせてごめんね。私はラナンキュラスって言うんだ。あ、言葉わかるよね?」
震えつつ頷く人狼少年。
なんで少年だってわかったか?・・・野暮なこと聞かないでよ。
敵意がないことを伝えると、警戒の色がほんの少し和らいだ。
「集落がどこかにあるのか?」
ずーん。目にみえて落ち込んだ。
どうした人狼少年。目が潤んで・・・「ちょ、泣かないで!」
ど、どうしたんだ。
涙がぽろぽろこぼれ、毛が濡れている。
「泣かないでくれよ。どうしていいかわからない」
涙を拭ってやると、丸まった。黒い綿飴みたいだ。いやもうホント、どうしていいかわかんないんですが。
人狼って人間でもなければ狼や犬でもないから接し方わかんない。
ちなみに、睡眠で寝かせた兵士君は医療室に預けました。
私と兵士君を置いていったメンバーの名前も調べてルー様に報告済み。
チョコレートケーキを運ぶのが遅くなったのを怒ってたから、結構キツイ処罰を受けるかもしれないね。
ははは、か弱い乙女を置いていった罰だよ。甘んじて受けるがいい。
それはともかくどうしよう。
あっちが言葉わかっても私がわからなきゃ意味がない。
あっちの言葉が通じないのって面倒くさいし。
まぁ、犬や猫の言葉がわからないのは当たり前なんだけども。
「・・・うーん」
涙を流す人狼少年の頭を梳くように撫でる。
しめっぽいな。土で手が汚れ、毛が絡み付いてくる。
びっくりしたみたいな顔が可愛いからやめないけどね。
よし、決めた。
動物念話を覚えよう。
覚えといたほうがこの先楽だしね。