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魔王の元教育係ですが勇者の仲間になりました☆  作者: レーゼ
人間世界へやってきました☆
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襲来

主人公視点。

「魔法」を「魔術」に修正しています。

それは、いつもどおりお嬢様とチェスをしている時だった。


ばん!ととびらがひらいて、ベンが入ってきた。


「ベンったら、ノックもなしに入室するだなんて・・・不躾(ぶしつけ)ですわよ!」


声を荒げるお嬢様だったが、ベンの焦った表情をみて、怪訝(けげん)そうに眉をあげた。


「どうしましたの?」

「お嬢様、緊急事態です」


つかつかとこっちにきて、そう告げる。

なにやら、深刻な事態に陥っているらしい。


「・・・大勢の魔物が山からおりてきていると、冒険者が。ジェイが遠視(ハイルアイズ)で確認したところ、山の向こうからなにかが迫ってきているようです。おそらく、魔族かと・・・」

「なんですって・・・!」


深刻どころじゃなかった。

なんで。三大魔王の誰かがしむけたのか?それともどこかの上級魔族の独断か。

いずれにせよ、この町は戦場になるだろう。


「ラスさん、あんた、どうする?逃げるのか?それとも残って戦うのか?

 もし逃げるんなら、お嬢様の護衛に加わってほしい。俺たちは魔族と戦ったこともねぇ、お嬢様をまもりきれるかわからないからな」

「・・・相方と合流して、それから決めます。お嬢様たちはもう避難したほうがいい。

 もし逃げることになったら、必ず追いつきますので」

「そうか・・・。お嬢様、一刻をあらそいます、すぐに避難しましょう。ディケム商会の馬車に乗せてもらえるそうです。必要最低限のものはすでにつめこんであります」

「わ、わかりましたわ」


そういってベンと一緒に連れ立つお嬢様。

私は、ロウのいる宿屋にむかった。




宿屋につくと、いつものにぎやかさはなりをひそめていた。

女将さんがあわただしく、荷物をつめている。


「ああ、ラスさん!あんたの相方さんならとっくに宿をでてったよ!」

「え!?」

「冒険ギルドの人がつれてったのさ」


まじですか。

ということは私たち、町に残ることになりそうだ。


「ありがとうございます、女将さん!」


宿をとびだして、山方面へ急ぐ。

荷物を抱えた町人たちとは逆方向を走った。



「この町は俺たちの手にかかっている!邪悪な魔物を打ち滅ぼせ!!」

「「「オオー!!!」」」


冒険ギルドの前に、大勢の武装した人々が集まっていた。

警備兵と冒険者だろう。その中に、ローブで鼻までをすっぽりとおおったロウをみつけた。


「ロウ!」

声をかけると、こっちをふりむく。

「ラナ」

「魔族が攻めてきてるらしいね?」

「・・・ん。多分、紅目たちだよ」

「え?」


紅目(ルーさま)の指示だとロウはいう。


「なんで」

「さっき、山の方向から蝙蝠の超音波がきこえた。ヒトの耳にはきこえない。

 蝙蝠男(バッドマン)の超音波、だとおもう」


 そうか。

 私たちの魔王様のおさめる魔王領内に住んでいる魔族は、おもに男淫魔(インキュバス)蝙蝠男(バッドマン)半人半蛇(ラミア)人喰鬼(グルール)首鳥人(ハルピュイ)、そして吸血鬼(ヴァンパイア)だった。

そして、魔王様に仕える兵士の四割近くは蝙蝠男(バッドマン)だった(マグフォスとかね)。

 蝙蝠男(バッドマン)の超音波がきこえたということは、そういうことなのだろう。


「・・・なんで攻めてきたのかはわからないけど、この町の人にはずいぶんよくしてもらった。

 無意味な虐殺をさせないためにも戦うっきゃないね」


村から出て山方面にむかう冒険者の中にまぎれながら私はいった。

戦っても多分ばれないはずだ。魔王城に直接仕えていた兵士は遠征なんてしないだろう。それも、こんな国のはずれに。

他のやつらだって多分きづかない。私は魔力こそ膨大にあるけれど、威力はまったくないんだから。


「いっちょやりますか」

「うん、がんばろ。でもラナ」

「なに?」

「魔族と戦うってなると、このローブ脱がないと不便じゃない?着てても切りさかれそう」


「・・・・あ」







☆用語解説

遠視(ハイルアイズ)・・・遠いところをみることができる無属性魔術。行使している間は術者が無防備になる。すくない魔力で扱える。

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