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魔王の元教育係ですが勇者の仲間になりました☆  作者: レーゼ
人間世界へやってきました☆
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神様なんて信じない

朱美視点です。

「いきなり呼び出され、混乱もされていますでしょう。しかし私たちにはあなたが必要なのだということをわかってくだされ」


そんなことをいいながら、初老の男性が進み出た。

眉が細く目と目の距離が近い。赤銅色の短髪にちらほらと白髪っぽいのが交じっていて、温和そうなかんじ。この人が、代表みたいなものなんだろうか?


「私はゴーマン=タイラーと申します。このベルフィグ王国の王宮魔道師筆頭をしております。以後、おみしりおきを」

「わ、私は我妻朱美・・・じゃなかった。朱美、我妻です」

外国とかでは名前が先にくるんだったよね?





「われらが国、ベルフィグ王国は、東をカテリナ王国、西をオールベル王国、南をドゥーテリザ王国、北を新リシアヘルメンに囲まれた内陸国でございます。オールベル王国と同盟をくんではございますが、いつ破られるかわかりません。この国は、一時も気を抜けぬ状態にあるのです」


案内された部屋のやたらと豪華な装飾のソファに座り、私はゴーマンさんの話をきいていた。

こんなにショッキングなことがあった後じゃ、自殺する気もうせるってものだ。というか、どうやってしろと。


「そんな時でございます。魔王があらわれたのは」

「魔王、ですか」


むかいのソファに座るゴーマンさんは、神妙な顔をしてうなずいた。


「そう、魔王でございます。数百年に一度あらわれては、あまたの魔物や魔族を使ってわれら人間を襲い、病や呪いなどありとあらゆる災厄をひきおこし世界を滅ぼそうとする存在。それが、あらたにあらわれたのでございます。

そして、その魔王を倒すことができるのは、女神シャイリアの加護を受けし異世界の人間だけなのです」


RPGや小説のテンプレ、王道ともいえる説明。

つまり私は、その女神なんとかの加護を受けてるってことになるけど。


あいにくだけど、私は神様なんて信じていない。

その女神なんとかが私に加護をあたえてるとしたら、私は今頃、もっと順風満帆(じゅんぷうまんぱん)な人生をおくっていたはずなんだから。

もしいたって、くそ食らえだ。


「女神シャイリアの加護と聖剣のふたつを以ってして初めて、魔王は倒すことが出来るのです」

「加護って、具体的にいえばどんなものなんですか?それに聖剣って」


ゴーマンさんは、メイド服をきた女の子から紅茶を受け取ってから、私の質問にこたえた。


「そうですな・・・たとえば、約160年前、ドゥーテリザ王国の召喚した勇者、ユーシ=イイジマ。

 彼に与えられた加護は、"超幸運(ラッキー)"でございました。

 どんなに絶望的な場面でも、運よく軽傷ですんだり、思わぬ幸運に恵まれそれを突破できたり。彼の仲間は誰1人欠けず、重傷もおわずに魔王城まで到達できたのだそうです」

「へぇ・・・」


 超幸運(ラッキー)か。私にも加護があるとしたら、どんなものなんだろうか。

 名前をきくかぎり、そのユーシ=イイジマは日本人だ。平和な日本でくらしていた彼が魔王を討伐できているんだから、私にだって魔王を倒せる可能性はあるってことになる。


「聖剣とは、魔族や魔物を滅する聖なる力のこめられた、神により授けられた剣のことでございます。そして、その真の力を発揮することができるのは、神に選ばれた勇者だけなのだといいつたえられております」

「そうなんですか」


これもまた、予想の範疇だった。

聖なる力が魔物の弱点だなんて、ベタにもほどがあるけど。


「・・・私は、命をかけて魔王を倒しにいかなければならないのでしょう?私が自分とは異なる世界の他人のために命をかけてまで戦うメリットはありますか?」

「メ、メリットでございますか?富と名声、権力でございます」

「そんなものいらないです」


死のうと思っていたのだ。

お金も名誉も地位も、あったってどうにもならない。あの世にもっていけるわけじゃないんだから。


「国中の者が、あなたの願いをかなえる為に動きます。魔道師、神官、騎士、農民・・・王族ですら」

「ふぅん」


 ・・・まてよ。この人、魔道師なんだよね。召喚とかもしてたわけだし、つまりこの世界には魔法があるってことになる。

それならば。


「あの。」

「はい、なんでございましょう」


「死んだ人って、生き返らせたりできますか?」


「・・・死者の蘇生?そんな、そんな恐れおおいこと・・・神への冒涜でございますよ!?」

「できるの?できないの?どっちなの!」

「は、はい、く、国中の魔道師を総動員すれば、あるいは・・・」

「そうなの」


ラナを生き返らせることができるかもしれない。

それならば、話は別だ。


もし魔王を討伐できず死んでしまっても、人のために善行をしてそれで死ぬんだから、私は天国にいけるよね。ラナも許してくれるに違いない。

討伐を成功させてラナがよみがえっても、ラナは許してくれるよね、多分。ラナのために命までかけたんだから。

どうころんだって、私はラナのそばにいることができる。


「私、やります。魔王討伐」

「おお、頼みます!われらが国、いえ、この世界の運命はあなたにかかっている!」


ちょっと遅くなるけどラナ、まっててね。





ベルフィグ王国が朱美を召喚した理由は、

・勇者でなければ魔王を倒せないから

・勇者が魔王を倒した後自国に住んでくれれば周囲の国が攻めてこないから

・女神の恩恵をうけられるから

です。

勿論、召喚にはリスクもあります。召喚に失敗すると、その術に関わった者の殆どが魔法を使えなくなり、なにかしらの障害が残ります。

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