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魔王の元教育係ですが勇者の仲間になりました☆  作者: レーゼ
人間世界へやってきました☆
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異世界召喚は突然に

朱美視点です。

 激情をおさえきれずに、私は、ラナを刺した。

馬鹿な私は、嫉妬で頭がいっぱいになっていて、

『ラナを殺せば、ラナは誰のものにもならない』『最後に目にするのは私』

そんな想いにとりつかれていた。


しかしそんな想いも、ラナが呻いて倒れるのを見た瞬間、恐怖と罪悪感に変わった。


 なんてことをしてしまったんだろう。とりかえしのつかないことをした。

 もしもこのままラナが死んでしまったら。

怖くて、怖くて。凶器を投げ捨て、その場から逃げた。


ラナの肉に刃がくいこんだ感触が、手に残っていて、がたがたとふるえだす。


どうしよう。

どうしよう。

どうしよう。


 つい、逃げてきてしまった。

すぐに救急車を呼べば、なんとかなったかもしれないのに。いや、今からでもまにあうかも。


・・・そう思いながらも、私は救急車をよぼうとはしなかった。


だって。


 もしラナが無事でも、二度と私をそばにはおいてくれない。むしろ私の顔も声もみたくないほど憎むに違いない。ラナにそんな目でみられたら、私は今度こそラナを殺すだろう。

 一度ならず、二度までも。


 ここでラナが死んでしまえば、ラナにそんな目でみられることはない。

ラナは誰のものにもならず、綺麗なままだ。


 そうだ。

ラナがもし死んでいたら、私も後を追おう。命をもって償えば、やさしいラナのことだ、許してくれるかもしれないものね。

そしたら、あの世でまたラナのそばにいられる。


うん、名案だ。


どうせ、生きてたってなんもいいことなんてない。

私は人殺しとののしられ、惨めな一生をおくることになる。


 あ。両親も、人生が狂うんじゃない?

なにしろ、娘が人を刺したのだ。

大事な仕事だって辞めることになるだろう。娘より大事だった仕事を、ないがしろにしていた娘のせいで辞めることになり、周囲の人間からは人殺しの親としてさげすまれて。

 あいつらの人生はめちゃくちゃだ。

それは、最高だ。


 きっとラナは助からないだろう。

ラナより先にむこうに逝って、ラナをまっていよう、そうしよう・・・・・・。


どうせなら、ラナと同じ死に方がいいな。

台所の包丁をとりに、自室のドアをあけたその瞬間。


足元が、金色のまばゆい光をはなちはじめた。

そのまぶしさに、思わず目をつむって―――――――――――――・・・。




「え?」



目をあけたら、そこには。


「成功だ!」


「勇者様があらわれたぞ!!」


「やりましたな、ゴーマン殿!」


「ええ、でもまさか、一発目で成功するなんておもいもよりませんでした。

 やはり、女神シャイリアは我々をみすてなかった!」


白い服に身をつつんだ大勢の外国人―――――――にしては髪が緑やら桃色やらやたらカラフルだが――――――が、喜色満面で私をとりかこんでいた。


「え?何、これ・・・とうとう私、頭がおかしくなっちゃったわけ?」


幻覚かと疑った。

彼らは私の言葉をきくと、口々に、


「勇者様、我々を悪しき魔王たちから救ってくだされ!」

「その聖なる力で、悪をさばいてくだされ!」

「勇者様!!どうかわれらが王国に平和をもたらしてくだされ!」


「は・・・はい?」


勇者?魔王?なんのことなの?

まるでありふれたファンタジー小説のような台詞(セリフ)に、私はあっけにとられてしまった。


「どういうことなの・・・」




我妻 朱美、17歳。

どこにでもいる(?)普通の(?)現役女子高生。


嫉妬で愛する人(女性)を刺してしまい、後追い自殺をしようとしたその瞬間、異世界に勇者として召喚されてしまいました。

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