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魔王の元教育係ですが勇者の仲間になりました☆  作者: レーゼ
人間世界へやってきました☆
20/31

不穏な知らせと

「こんなに早く討伐を終えて帰ってくるなんて、さすがラスさんですね!ギルドを出てから、まだ、2時間もたってませんよ」

「ゴリットが現れたのがはやかっただけだよ」

「それでもすごいですよ!単独でこの短い時間で、それも3体も相手にしてくるなんて」


ギルドに戻り、討伐部位を提出して報酬を受け取った私は現在。

私をやたら褒めちぎっている受付嬢のアニタさんとお茶をしている。


「ラスさんてば、実力もあって性格もよくて、おまけにこんなにカッコイイなんて、完璧ですね!」

「大したことはないんだけどね。実力ならロウの方が上だと思うし」


 これは本当のことだ。

ロウってばめっきめき強くなっちゃって、私は3度に1度勝てるか勝てないかってとこだ。

ロウはいつも私の魔法の練習などに付き合ってくれているし、一緒に訓練もしているから、私の戦い方だとか使える魔法だとかを知り尽くしている。

おまけに魔力に敏感で、スピードも速いと来た。いくら私の魔力の量が多くても、当たらなければジリ貧だし全く持って意味がないんだよね(遠い目)。


「私はお二方の戦闘を見たことがないのでわかりませんが・・・きっとすごい連携なんでしょうね」

「連携・・・は、できていると思うよ」

前衛のロウ、後衛の私って感じでね。


 紅茶を飲みつつ、世間話に花を咲かせいていると。

アニタさんが思い出したかのように言った。


「あ、そうだ。ラスさん、最近、西の方で魔族の動きが活発になってきているそうですよ」

「魔族のうごきが?」

紅茶のカップを置き聞きかえすと、頷いて続ける。


「半月程前から冒険者や旅人などが襲われているそうです」

それから、体を少し震わせた。


「もしかすると、新たな魔王が誕生する前兆なのかもしれません」










 人間界では、魔王は1人だと思われている。そして今、この世界に魔王は存在しないという認識。

 最後に魔王が現れたのは150年前で、ドゥーテリザ王国の勇者が退治した。

その魔王の名前は、魔王ハルスハルトと言い、その姿は2メートルの巨漢。ら若き乙女の生き血を好み、悪事を働いて世界を混乱に陥れた悪鬼。

と、大陸の歴史書には記載されていた。


 おそらくは三大魔王の1人の、マリアベル=ハルスハルト=サタンのことだと思われる。

・・・私は1度もあったことはないけれど、確か女性だったはず。名前からして女性だし。

種族は人鬼(オーガ)だけど、かなり小柄だと聞いたんだけどなぁ。

 どうやら人間と魔族では、かなり認識が異なるらしい。







「女将さん、ただいま。ロウは帰ってきていますか?」

「ああ、ラスさん?ロウさんなら先に部屋にいるわよ」

「ありがとうございます」


 アニタさんと別れ、私は宿泊している宿屋に戻ってきた。

この宿屋の女将さんは優しくて、1週間に1度か2度か食材を調達してきたり、宿の周囲の雑草などを抜く手伝いをすると言う条件でかなり破格の値段でとめてくれている。


「ロウ、帰ったよ」

そう言ってドアを開けると、ロウはベッドでうつぶせになっていた。


「おーい、ロウ?寝てるの?」

声をかけると、ロウはもぞもぞと起きあがった。

そして、薄氷の色をした狼の耳をぴんっと立てた。


「ラナ、お帰りなさい」

ベッドの上に正座して、尻尾を小さく揺らしている。

あ~、癒されるなぁ。


「レアンヌ嬢は?」

そうたずねると、困ったように眉を下げる。


「フード・・・脱がされそうになった」

「へぇー・・・ええ?」


 ロウの耳が頭の上でぴょこぴょこ動いている。人の形態をとっても、耳と尻尾と犬歯だけはそのままだ。なんかすごいベタっていうか、テンプレだよね。

 それを見られると、獣人か人狼だということがわかってしまう。

獣人は人間から冷たい目で見られ差別され、奴隷として扱われているし、人狼は前も言ったように権力者

達に欲しがられている。どちらにせよ、面倒なことには変わりないから、ロウは足首まであるフードつきのローブで耳と尻尾を隠している。


「それで、大丈夫だったの?」

「ぎりぎりのとこだったけど・・・死守、した。えらい?」

「うん、えらいえらい」

頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。癒されるわぁ~・・・。


「午後からは2人で依頼、受けようね」

「うん」

「あ、そういえばなんだけど」


ロウに、数十分前にアニタさんから聞いた話をする。

するとロウが言った。


「魔王の代が変わって、赤目のやつが魔王になるのかも。それか、新参のやつが新しく魔王を名乗り始めた、とか」

「あながち間違いじゃないと思う」


赤目のやつとは、ルー様のことだ。

なぜか2人は仲が悪く、ロウはルー様のことを赤目と、ルー様はロウを犬っころと呼んでいる。


「魔族の動きが活発になってるってことは、人間界の被害もでてるってことだ。魔族の印象がさらに悪くなるね」

「ただでさえ、悪いのに」

「ね」

そんなことは今更だし、さして気にならないんだけど。


 ルー様が魔王になるのかなぁ。

ってことは、トレニアと正式に婚約者になるのかなぁ?

・・・魔王城をでておいてよかった。トレニアも、婚約者と年があまり離れていない女が教育係だとかで近くにいるのは嫌だろうし、弱い私が教育係なのはどうかって話だし。


「ラナ、依頼、受けにいこ?」

「あ、ああ、うん。行こうか。後ロウ、人前ではラナじゃなくてラスって呼んでね?」

「うん」


さて、本日2件目の依頼を受けに行こう。




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