討伐依頼
「アニタさん、おはよう。この依頼を受けたいんだけど、受理してもらってもいいかな?」
「おはようございます、ラスさん!ええと、町外れの畑を荒らすゴリットの討伐依頼ですね、了解です!」
「ありがとう」
マウンテに来て早1ヵ月が過ぎた。
Cランクパーティーであるジャイド達を公衆の面前で倒した為か、私は飛び級でD+になることができた。
すぐにお金になる仕事を発注できるようになったので、ジャイド達には感謝してる。当分は薬草収集とかやるのを覚悟してたからね。
そのジャイドは、私に負けた後横暴な真似はしなくなったらしく、そのことで町の皆にお礼を言われた。
私はジャイドを更生したかったわけじゃなくて、ただ力試しをしたかっただけなんだけどね。
皆の役にたてたんだし、結果オーライかな?
「受理完了です。ところで今日はロウさんは一緒じゃないんですか?」
「ああ・・・実はロウ、此処にくる途中にレアンヌ嬢に捕まってしまったんだよね」
「あら」
「モテる男は大変だよね」
「ふふ、ラスさんがそれを言いますか?」
レアンヌ=ディケム。
先週からマウンテに滞在しているディケム商会総帥、ディケム卿の娘だ。
彼女はとある出来事からロウに惚れてしまい、ロウに猛アタックしているのである。
「少なくとも午前中は動けそうになかったな」
「レアンヌさんも積極的ですねぇ。あ、依頼の受理、できましたよ」
「じゃあ、行ってくるよ」
「はい、お気をつけて」
ギルドの美人受付嬢のアニタさんに見送られ、私はギルドを後にした。
今回私が受けたのは、人里におりてきて、町外れにある畑を食い荒らしているゴリットの討伐依頼だ。
ゴリットとはゴリラそっくりの魔物だ。名前もゴリラっぽいけども。
しかし、私の前世の世界に生息していたゴリラより一回りは大きい。
しかもその握力は1450キロ。通常のゴリラの握力は500キロだから、その3倍はある。
1450キロ、つまり1トン越えだ。恐るべし。
ちなみに、コアラの握力は1000~1500キロだってこと、知ってたかな?
コアラはあんなに可愛くて小柄にも関わらず、その気になればやすやすと人をひねり潰せる力をお持ちなんですよ・・・ギャップ激しすぎて萌えないわ。
閑話休題。
畑から少し離れた場所にて待ち伏せていると、みっつの大きな黒い影が近づいてきた。
早速、野菜泥棒がやってきたようだ・・・私は呟いた。
「・・・鋭き風の刃よ、数多を切り裂いてうなれ。風裂刃」
何度も詠唱しているせいで慣れたのか。
厨二くさい詠唱をするのに羞恥心も少なくなってきたし、つっかえることも殆どなくなった。
いいこと・・・だよね?
詠唱を終えると同時に、見えない風の刃がゴリット達に切りかかった。
風の刃は一体の左腕を切り落とし、その背後の一体の肌を浅く傷つけた。もう一体にはあたらなかったようだ。
ゴリットは咆哮した。
「風裂刃、空気射出、風裂被弾」
構わずに、詠唱を省略した魔法を放つ。
詠唱を省略すると、魔法の威力は落ちる。
魔法とは、想像して発動するものだ。
なぜかは知らないけど、魔法名だけでは鮮明に想像できないらしい。
詠唱は道標みたいな感じで、詠唱した方がより具体的に魔力が力になるんだとか。
私にもよくわかっていないんだけどね。
続けざまに放った魔法は、ゴリットに当たったものの、遠距離であることと詠唱を省略したことから深いダメージを与えることはできなかったみたいだ。元々、私は攻撃力がないしね。
何度も同じ方向から攻撃がやってきたら、いくら見えなくてもバレてしまう。そろそろ姿を現して、距離を縮めて攻撃するか。
体内で魔力を練り上げた私は、ゴリット達にさらに攻撃をしかけた。
戦闘描写が苦手です。誰か文才ぷりーず。