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プロローグ
「ラナが悪いんだから!」
そう叫んだ彼女の手には包丁。
まて、はやまるなと声をかけてももう遅く、私の横腹に激痛が走っていた。
「私は悪くない・・・悪いのは皆に優しくするラナだもん・・・」
地面に倒れこむ私の頭上から、震えた声がきこえる。
まずい。血が止まらない。
あ、これ死ぬわ。
こんな路地裏じゃ、誰も気づいてはくれやしない。
意識が薄れていく中で、彼女が包丁を投げ捨て逃げていく。
ちょっと、凶器を捨てちゃダメでしょう。
指紋ついてるし!
そうつっこみたいけど声がでない。
途中から痛みも感じない。
全てが麻痺しているようだ。
ああ、死んだわ。
そう思った瞬間意識が途切れて。
織部ラナは死んだ。