きえたのである!
部屋からでて直後の話である。
なっちゃんは部屋からでるとブルブルと全身を震わせ、私にくっつくのであった。私の背中にはりつき、繋いでいる手をぎゅぎゅぎゅぎゅと強く握るのである。そう、それは歩きにくいものであった。
「なっちゃんはなれろよ! 歩きにくだろ!」
私は前にある彫刻に向かって怒鳴った。後ろにむかって怒鳴ろうにも、くっつかれているため振り向けないのであったのだ。それに私の肩になっちゃんは顎をのせていたのである。なっちゃんの全身が揺れているので、なっちゃんの顎が置かれている私の肩へとがくがくと振動を与えてくるのである。
「で、でもっ お外がこわ、こわくてっ・・・・・・」
いうと、なっちゃんはあいているもう片方の手で私の腕を掴んだのであった。
「っ!」
私は腕に冷たいものがあったて肩をびくりと上下させてしまい、なっちゃんの顎と肩がぶつかったのである。ひ、となっちゃんの息をのむ音が耳元できこえて、握られていた力が弱まる。
「すまなっ ええい! はなせばか!」
「ひゃっ」
肩と顎がぶつかったので謝ろうとしたが、謝るのが恥ずかしくなり止め、なっちゃんの手をはなそうと私は腕を大きくふったのであった。
「はなれろよ!」
「や、やだっ! なしゅ、おそとはこわ・・・・・・」
ええいと、イライラした私が振り返るとなっちゃんは瞼をはらし歯をガチガチとさせているのであった。そしてなっちゃんの手が離れた瞬間。
「え」
バン、と部屋の扉が閉まる音がしてきづいた。しゅ、となっちゃんは消えたのである。せいかくにいうと、なっちゃんは急いで部屋にもどったのである。