第四話 ついに映画館に──
「──それにしても、よく私たちの居場所がわかったわね」
そうフローナに言われ、ヘレナはあの母の声が聞こえてきた時もことを説明した。
すると皆は信じられないというような顔でヘレナを見つめる。
「な、なんでそんな顔するのぉ……。本当だよー!! 皆……信じてよぉ──……」
ヘレナの言葉にエレンが焦りながら彼女にこう言った。
「いや、ヘレナちゃんを信じてないわけじゃないよ。ただ……すごいな……って……」
「え……?」
「だってエレンには全然聞こえなかったもん。皆の声……。たぶん他の皆もそうだったんだと思う」
エレンが言ったことにヘレナ以外の皆は頷く。
「だから、すごいな……って──……」
ヘレナは少し驚いたがその後少し顔を赤らめて皆にほほえみ、
「……ありがとう」
そう言った。
そして母の形見である御守りを皆に見せる。
「これ、ママの形見なの。この御守りを握ってママにお願いしたんだ。……皆を守って……って。そしたら、皆の声が聞こえたの。だから、本当にすごいのはママかな……」
すると皆はヘレナにほほえみかけた。
「ヘレナのお父さんもお母さんもいつもあなたのそばにいて、私たちを守ってくれているのよ」
フローナはそう言ってヘレナの肩に手をやる。
「さぁ、先に進もうぜ」
スティーブの言葉を合図に、ヘレナ達は映画館へと再び足を進めた。
森に入ってからどのくらいの時間がたっただろう。
もうヘレナ達の体は疲れきっていた。
「ねぇ、ちょっと休まない? 休憩も必要でしょ?」
フローナは皆にそう言う。するとそれぞれがその場に座り込み、倒れるように横になった。
「疲れた──……」
「どのくらい歩いたかな?」
「3万歩ぐらい?」
「すごいな、それ……」
「お菓子たーべよっ!」
今までの緊張感はどこへいったのか……。各自が自由に過ごす。フローナもその場に座り体を休めた。
「皆、お茶飲む? のどかわいたでしょ。」
ヘレナはそう言うと、あらかじめ持ってきておいた紙コップにお茶を注ぐ。
「ありがとう。頂くわ」
「サンキュ」
「わぁ! ありがとー!!」
「助かる」
「わぁーい!! ありがと、ヘレナちゃんっ!」
それぞれが口々にそう言うと、あっという間にお茶を飲み干した。
「じゃあここはやっぱり、おやつの出番でしょー!」
そう言いながら、ウィリーは自分が食べていたお菓子の他にもう一つリュックから取り出し袋を開ける。
「だな。頂くぜ」
「私もっ!!」
「じゃあ私も頂くね」
「俺も」
「エレンもーっ!!」
まるでピクニックに来たかのように楽しく過ごした。
10分ほど過ごした時だろうか……
ヘレナがある方向を指差し静かに呟く。
「ねぇ……あれって……」
ヘレナが指差した先を見ると、そこには建物があった。
「あんなの、あそこにあったっけ……?」
エレンがアランに問いかけるが、返答はない。
「もしかして……あれって──」
「「「「「「──映画館──……?」」」」」」