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第三話 映画館を目指して

「ねぇ……この森……なんか、おかしくない……?」


ウィリーが恐る恐るそう言うと、アランがあらかじめ持ってきておいたコンパスを取り出し方角を確認した。


「……確かに。おかしいよ、この森……。コンパスがもう狂ってる。まだこの森に入ってから5分もたっていないっていうのに……」


木々が生い茂る中、どこからともなく聞こえてくる様々な音、鳴き声。

この森は──


  不気味──……


そうとしか言えない。


「……ってことはコンパスは使えないのか。じゃあ勘で行くしかないな」


スティーブはそうつぶやき、足早に前へと進む。


「待ってよ!! スティーブ!!」


そう叫び、後を追いかけようとした時──



白い霧が、彼らを包み込んだ──……



「なに!? この霧っ」


ヘレナは辺りを見渡す。白い霧は徐々に濃くなっていき何も見えなくなっていった。


「フローナっ?! アラン!! エレン!! スティーブ!! ウィリーっ!!誰か……返事して!!」


皆の名前を呼び必死に探すが、その姿を見つけることはできない。


「そうだっ! 携帯っ……」


ふと思い出し、一人一人の携帯に電話をかける。

……が一人も電話にでることはなかった。

GPS機能も使ってみたが何の反応も示さない。


ヘレナは恐くなった。自分のせいで、皆を危ない目にあわせてしまったのではないか……


ヘレナはポケットにしまっておいた御守りを手に握る。


その御守りは母の形見だった。


「ママ、お願い……皆を……守って……」



その時──



『ヘレナ……

あなたなら大丈夫よ。

あなたたちなら──……

自分を信じて……皆を信じるのよ──……』


母の声が、聞こえた気がした──……


そして──


「ヘレナ?! ヘレナどこ!? アラン!! エレン!! ウィリー!! スティーブ!! お願い! 返事をして!!」


   フローナ──……


「エレン!! くっそっ……。エレン返事をしろっ!! ヘレナ! フローナ! ウィリー! スティーブ!」


   アラン──……


「アラン?! ねぇアラン!! どこなの?! 返事…してよ……ねぇ……

ヘレナちゃん?! フローナちゃん!! ウィリー!! スティーブ!! お願いだから、返事してっ!!」


   エレン──……


「くっそ……なんなんだよ…これ……。ちっ……おい!! ウィリー!! ヘレナ!! フローナ!! アラン!! エレン!! 返事をしろっ!!!」


   スティーブ──……


「ねぇ皆どこー? 返事してよぉ……怖い…怖いよぉ…!!! お願いだから返事してぇぇえええ!!!!」


   ウィリー──……



皆の声が……


  聞こえた──……



「私はここにいるよっ!! 今、皆のところに行くからっ!! 待ってて!!」


ヘレナはそう叫ぶと、声を頼りに皆を探しに走りだす。


そして──


フローナ、アラン、エレン、スティーブ、ウィリー。


皆を無事に見つけ出し、会うことができた。




皆が揃った時、ヘレナはその場に座りこんでしまう。どうやら安心と疲労で力が抜けてしまったらしい。


「よかった……皆、無事で……」


「だな」


「本当だよぉ……僕、怖かったんだからぁ……」


泣き始めるウィリーを皆は笑いながらなぐさめた。



……────



 「今回は──

   面白くなりそうですね──……」



その時、ある一人の男がそうつぶやいた。



  その姿を見た者は、

   誰一人としていない──……



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