第二話 物語を見に行く準備を──
彼らは一度家に帰り、消えた人々を救うため物語を見に行く準備をして再び集まった。
彼らが再び集まった場所は深い森へと続く入口。
「皆、集まったみたいだね」
ヘレナがそうつぶやいたとき──
「おい、ウィリー」
スティーブはウィリーの膨れ上がったリュックに違和感を持ち、乱暴に中身を見る。
「な、なぁに?」
「なんで……食い物ばっかなんだよっ!!」
ウィリーの荷物に目をやると、彼の荷物の中にはただお菓子ばかりが詰め込まれていた。
「べ、別にいいじゃんか! ほら! 『腹が減っては戦はできぬ』っていうでしょ?」
ウィリーは必死に言い訳をした。
しかし本当のことは、皆はもうすでに気づいている。
そう。彼はただお菓子が食べたかっただけなのだ。
消えた人々を探しだすというよりも、遠足気分で来たのだと既に皆は気づいている。
「まぁウィリーの言ったことも一理あるな」
「それに、ウィリーが来ただけでもすごいことだしっ!!」
皆は双子の言葉に笑い声をあげた。
「ど、どういう意味っ!?」
ウィリーは少し戸惑いながらエレンに言う。
「だから! 弱虫のウィリーが、それにあんなに怖がってたのにちゃんと来たんだからそれだけですごいってこと!!」
すると笑い声がさらに大きくなった。その笑い声は、今からあの噂の〖呪われた物語〗を見に行くとは思えないほど明るいものだった。
皆の笑いがおさまると、アランはヘレナたちにシールを渡し携帯に貼るように言った。
どうやらそのシールにはGPS機能がついていて、それぞれの居場所がわかるようになっているらしい。
各自はアランに言われたとおり自分の携帯にシールを貼り付ける。
シールを貼り終えると、エレンが物語についてのいろいろな情報を皆に伝えた。まず、森にしても映画館にしてもインターネットにはあまり載っていなかったらしい。物語のことも全くもってわからなかった、ということ。そして不思議なことに、映画を見るというのにお金は払わなくていいらしい。
他にも、映画館に行く道も『テウルギアという街にある森の中を歩いて行く』としか書いていなかったという。
エレンが言ったことからしても、あの物語が怪しいのには変わりなかった。
「エレン、ありがとう。いろんな情報を集めてきてくれて……」
ヘレナはエレンに微笑んだ。
「でも、わからないことばかりだから気をつけて行かないとね……」
フローナの言った言葉に皆は頷く。
「──じゃあ行こうか。
皆を探しに。そして助けに──……」
そして6人は
深い森の中へと
消えていった──……