二週間の休暇
この章では、待ちに待った二週間の休暇が始まります。和樹とハイミヤの静かな二人の時間、そして突然の来客——泉の恋愛相談によって賑やかな一日へと変わっていきます。サラと泉の関係、そして和樹の家族との温かい再会。二人の「言葉だけの夫婦」という関係が、少しずつ確かなものになっていく様子をお楽しみください。笑いあり、照れあり、そして家族の温もりあり——Season 2らしい穏やかで幸せな一話です。
「全校生徒の皆さんにお知らせします。本日より二週間の休暇に入ります。有意義な時間をお過ごしください」
スピーカーからの校長先生の声が廊下に響き渡った。
ハイミヤ・山城と結城・和樹は並んで家路についた。玄関のドアを開けると、和樹はそっとドアを閉め、ハイミヤをドアに寄りかからせてキスをした。
離れた瞬間、ハイミヤは頬を染めて言った。
「…最近、積極的すぎじゃない?」
「なんでダメなの?」
和樹はそう言いながら彼女をソファへ連れて行き——
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「…和樹?」
聞き覚えのある声。ハイミヤはため息をつき、立ち上がった。
「ほら、行って。怒らないで」
「怒ってないけど」
ドアを開けると、泉が立っていた。
「なんで怒ってるの?」と泉が首をかしげる。
「どこから見て怒ってるように見える?」
「…まあいいや。助けてほしいんだ」
ちょうどそこへ、着替えを済ませたハイミヤが顔を出した。
「どうしたの?」
泉は深刻な顔で話し始めた。
「先輩、助けてください。父さんが……サラと別れろって」
「え?」ハイミヤが驚く。
「サラのことを幼稚だって。うちの家族には合わないって言うんです」
ハイミヤはしばらく考えてから言った。
「一度、サラちゃんを家に連れて行ってみたら?ちゃんと向き合えば、きっと伝わるよ」
泉は和樹を見た。
「先輩はどうやってご両親を説得したんですか?ハイミヤ先輩を認めてもらえたのって……」
和樹は少し笑った。
「うちのお母さんは最初からハイミヤのことが好きだったよ。俺はただ、ハイミヤに一緒にいてほしいって頼んだだけ」
泉は目を丸くした。ハイミヤは顔を赤くして、桃みたいになった。
「…じゃあ連れて行くだけでいいってこと?」
泉はすぐにサラに電話した。しばらくして彼女が来ると、二人は揃って家へ向かった。
「うまくいくといいね」とハイミヤが見送った。
夕食後、和樹が食器を洗っていると、ハイミヤを軽く持ち上げてこう言った。
「あと六ヶ月で俺たち、十九になるね」
「それで?」
和樹はにやりと笑った。
「冗談だけど——大人になったら色々できるね」
ハイミヤは真っ赤になった。
「もう!まだ十九になってもないのに!」
和樹は笑った。「冗談だよ」
ハイミヤはほっとして、二人は並んで眠りについた。
翌朝、和樹が先に目を覚ました。床にハイミヤの上着が落ちていた。
——え、まさか——
そっと毛布をめくると、彼女はゆったりとしたトップスとショートパンツ姿で静かに眠っていた。和樹は安心して、彼女の頭をそっと膝に乗せた。眠ったまま、ハイミヤはかすかに微笑んだ。
和樹は起こさないよう立ち上がり、部屋を片付け始めた。
八時半。
「ニャーーーー!」
大きな猫の鳴き声のような声が寝室から聞こえた。
扉を開けると、ハイミヤが両腕を広げていた。和樹は笑いながら彼女を抱き上げた。
「お茶、飲みたい」
「はいはい」
温かいお茶を渡すと、ハイミヤは嬉しそうに一口飲んだ。
「おはよう」
「おはよう」
和樹が顔を近づけた瞬間——スマホが鳴った。泉からだった。
ハイミヤが吹き出した。「二回目だよ」
「わかってる」と和樹が電話に出た。
「先輩!作戦成功です!両親、サラを認めてくれました!」
「そうか、よかったな」
電話を切ると、今度こそ二人だけの時間が戻ってきた。
しばらくして、和樹のスマホに今度はお母さんから着信が来た。
ハイミヤがさっと取った。
「もしもし、お母さん!」
『あら、娘!こっちに来なさい』
「はい、明日行きます!」
電話が終わると、和樹は呆れ顔で言った。
「俺への電話だよね、それ」
ハイミヤは舌を出した。
「奥さんには権利があるの」
「まだ書類上は四年先だけど」
ハイミヤは彼の膝に座り、胸を張った。
「だからこそ、奥さんはもっと大切にされないと」
「誰から守るの?」
「…未来の旦那さんから」
和樹は目を細めた。「何されたの?」
ハイミヤは泣き真似をした。「お母さんに言いつけるから」
「……好きにして」
二人は笑いながら荷物をまとめ、和樹の地元へ向かった。
家に着くと、お母さんは和樹より先にハイミヤを抱きしめた。
「二人とも可愛い!ねえ、もしかして赤ちゃんは——」
ハイミヤは真っ赤になった。
「ま、まだです!二十歳を過ぎたら、必ずお母さんの願いを叶えますから!」
隣に立っていたお父さんが和樹に小声で言った。
「いい子をもらったな」
和樹は静かに微笑んだ。
「彼女が選んでくれたんです。俺はただ、彼女の心をもらっただけで」
次の第八話では、和樹の実家での滞在が続きます。いくつかの展開が予想されます——
予想される見どころ:
お母さんとハイミヤの「嫁と姑」コンビが暴走?和樹そっちのけで二人だけの世界へ
お父さんと和樹の静かな父子の会話——息子の成長を認める場面
泉とサラから「報告」の連絡が来て、ハイミヤが大喜び
実家の古いアルバムで和樹の子供の頃の写真を発見、ハイミヤが大爆笑
帰り道、夜空の下で和樹がハイミヤに「四年後」の約束を静かに語る場面
穏やかな休暇の中に、二人の未来への一歩が刻まれる——そんな第八話をお楽しみに。




