第四夜 水色しましまパンツ(中編)
イトコのアツコ姉は、昔から距離感が異様に近かった。
アツコ姉が小学四年で、僕が小学二年だった四年前……。
小さい子どもなのだから、無邪気なじゃれ合いだとは思うんだけど、今から思うとかなり踏み込んだじゃれ合いだったような気もする。
あの頃の事、アツコ姉も覚えているのかな。
――四年前
近所の田んぼの用水路で、水浴びをして遊んでいた時のことだ。
その時も、いつものようにアツコ姉は、僕のお尻や足を執拗に撫で回していた。
いや、くすぐって遊んでいたのだろうか。
でも、触り方がくすぐるというより撫で回していたといった方が正確な気がする。
「あはははは、あーは、あはっは、あはははははは、や、やめてよアツコお姉ちゃん」
「あはは、つぐくんくすぐったがりだねえ、えいっ! こしょこしょこしょこしょ」
「ひいっ、くすぐったい! くすぐったいよう」
あまりにしつこいからアツコ姉のスカートを上までまくり上げてやった。パンツ丸見え! ぶかぶかのかぼちゃパンツ。尻に大きないちごのプリント付き。
「いやぁぁぁぁん、つぐくんのエッチぃ」
「はぁはぁ、もう、くすぐるのやめておくれよう」
スカートをまくった後、堪らなくなって僕は、用水路脇から逃げるように農道へ走った。
「……!」
その時、足を踏み外して転んでしまった。
痛くて情けなくて泣いていたところ、アツコ姉は、擦りむいて血がにじみ出ていた右足のふくらはぎを舐め始めた。
「つぐくん、大丈夫……大丈夫だから、お姉ちゃんにまかせて」
「はあっ、はあっ、痛いよう、痛いよう……」
ぺろっ、ぬるっ、ちろちろちろ……。
しずかに、そして丁寧に血が滲んだところをきれいに舐め取ってくれた。
そのあと、今度はスカートのポケットから絆創膏を取り出し、怪我をしたふくらはぎに貼ったかと思ったら、また執拗に足を撫で回した。
今度はくすぐったくはなかった。
なぜか、背中がぞくぞくし、なんだか身体が熱くなったのを覚えている。
* * *
――現在、宮城県松島町、アツコ姉の家
扇風機を前にしてあたしは、少し大胆になっていた。
相手は小六の子どもといえど、たった二歳しか離れていないイトコの男の子。
そろそろ女の子の身体に興味が湧いてきていてもおかしくない年頃。
ふふふ。
今日は、つぐくんを目一杯可愛がっちゃうんだからね。
スカートをまくりあげてパンツを見せると、恥ずかしながらもその目線はあたしの股間に釘付け。
どうみても興味津々。わかる。
ガラガラッ
親が帰ってきた。
「あらあら、ふたりとも汗びっしょりじゃない、晩御飯の前にお風呂入っちゃいなさい」
「はーい」「はーい」
「あっ、アツコ、つぐくんの着替え用意してあげてね」
「うん、じゃあ先につぐくん入ってきなよ」
「……うん」
ふふふ。別々に入るとは言ってないのよねえ。ふふふ。つぐくんが入ったらすぐにあたしも追いかけちゃおう。
*
カポーン、コーン
つぐくんが入ったのを確認し、あたしも脱衣所に入室。言われてたつぐくんの着替えも用意し、さていよいよ中へ……。
ガラッ……。突然風呂場の入口が開いた。えっ。
「わあっ、アツコ姉、なんでここに?」
つぐくん、慌てて丸出しだった股間に手を当てて隠した。でも見えちゃった。毛が生えてない少年ちんちん。
「えっ、だって、着替えを……それよりつぐくん、まだ風呂入ったばかりなのにもう出るの?」
「違うよ、風呂場に石鹸がなかったから、そういえば脱衣所に買い置きがあったのが見えたので取りに……って、アツコ姉! なんでパンイチになってんの?」
ふふふ、照れてる照れてる。そしてパンツをガン見している。水色しましまパンツ。
「ええ? いいじゃない、前みたいに一緒に入ろうよ! また頭洗ってあげるよ」
「えーいいよ、だってアツコ姉と入ると長いんだもん」
「まぁまぁ、いいからいいから。さっ、はいろ」
といって、パンツをおろし、股間丸出しのすっぽんぽんになり風呂場に入ろうとしたその時――
つぐくんの表情が変わった。
「ええええっ! アツコ姉! 毛! 股間に毛がぁぁぁぁぁ、ちょろちょろって毛がぁぁぁぁぁ」
そういや、薄いながらもあたしも毛が生えてきてたんだよねえ。なんだよつぐくん、股間ガン見かよう。
「えっへん! あたしはもう大人なのよ! つぐくんはまだお子様のままねぇ、ふふふ」
「やーなんだかアツコ姉がババアになったみたいで、やだー」
まって、まだJKにもなってないのにババアってなに? まって。
「ちょっ、なに言ってくれてんの? こんなボーナスステージで」
―― 後編へ つづく ――




