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遊撃隊『牙』の回想録外伝~銀翼の歌姫と夜を裂く鳥~  作者: 姫崎ととら
厄災の少女と嘘つきな少女

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【風の誓い】

 コトハ達が戻った頃には厩舎はちゃんと整えられており、飼育担当の教員と生徒にシルバを託してシャワーと着替えのために寮へと帰る。


「ちょ、ちょっと!? 血塗れだよ!?」


 朝食に向かって行く人の流れの中、隣の部屋の顔見知りの少女が朝の挨拶もせずに驚愕の声を上げたことで、自分の現状を思い出した。

 すっかりと忘れていたが、シルバとの戦いで頬と耳を切って派手に出血をしており、それが汗で落ちて首元が真っ赤になっていた。ルナは見慣れたものだったが、オッドベルは拭わずとも指摘するべきだった。やはりロッドベルドではないか。ロッドベルドだと見慣れてしまったので、拭うことすらしなくなった。


「あ、おはようございます。治癒はしてるので大丈夫ですよ。着替えに戻ってきました」


 目の前の少女に心配しなくて良いと手を振りながら笑顔で応える。彼女は若干引いたように顔を引きつらせつつも、本当にコトハに怪我がないとみると「鍛錬するにしても怪我しない程度にしときなよ」と心配そうに言って食堂へと向かっていった。

 先ほどからチラチラと受けていた視線の理由を悟って、さっさと自室に戻って風呂セットを手に取り、シャワーを浴びに行く。ポーチはいつもの位置に置いておくようルナには頼んでおいた。ブラックロータスはどうするかと思えば、コトハ達の部屋の窓から外に出たがったので、窓を開けて出してやった。


 着替えと移動を合わせても十五分も掛けずに自室に戻ってきたコトハに、ルナはやや呆れた顔をしつつも魔法で髪を乾かしてくれた。礼を言って櫛で髪を整え、ハーフアップに結ぶ。身支度が調った所で、窓からブラックロータスが入って来てコトハの肩に留まった。すっかり定位置にされた。


「おかえり、小鳥さん」

「ただいま、この子の親友」


 ルナが当たり前に声を掛ければ、ブラックロータスも言葉を返す。小鳥が喋ったことにルナが驚くことはない。説明は飯の後と伝え、先に洗濯のために汚れている服を入れた籠を持ったところで、肩から魔力が流れて見る間に汚れが消えていく。籠を置き、新品同様に綺麗になった服を手に取り、ブラックロータスへ左手を差し出した。


「悪い、助かった」

「どういたしまして」


 洗浄魔法だ。脱いでみると想像以上に汚れており洗うのが面倒だなと思っていたところだったのでとても助かった。対価として魔力を渡そうとしたが、ブラックロータスは首を振る。


「契約をしていない以上アナタの魔力は貰えないわ。歌で良いわよ」

「そうか。じゃあ、悪いが飯食ってからで。流石に腹減りすぎて歌える気がしない」


 シャワーを浴びている間、ずっとお腹が鳴っていたし、なんなら今も鳴った。とにかくお腹が減った。

 ルナは先に食べたというので服を片付けるのは後回しにして食堂へと向かう。まだギリギリ開いてるはずだ。


 コトハが食堂に入ると、一瞬にしてざわめきが止まる――と言ったことはなかった。そもそも食堂の営業終了ぎりぎりで少なかったし、まだグリフォンとスレイプニルを従えた少女の話は広まっていないだろう。ざわめきが消えるとしたら明日以降だ。

 それでも誰かから聞いたか一部の人間はじっとコトハを見ていた。


「不愉快ね」

「放っておけ」


 ブラックロータスがそちらを見ながら冷たい声で呟くが、コトハは一瞥することもなくカウンターへと向かう。どうせ見ているだけで何かしてくる者はあまりいない。真っ向から向かってくるなら叩き伏せれば良い。

 いつものセットを頼んで、食堂を見渡す。席はたくさん空いていたので、窓の近くに座った。

 手を合わせて食事を取れる幸運に感謝して、柔らかなコッペパンを千切った。ふとロータスに差し出してみると、彼女は首を振る。


「食べにくいからこの姿の時は良いわ」

「わかった」


 食べられないわけではないらしい。そうなるとお菓子などの甘味は部屋で食べることにすれば、ブラックロータスも元の姿になって食べられるだろう。流石にサイズが大きすぎるので最低でも人間サイズにはなってもらうが。

 一人黙々と食べていると、誰かが近付いてきた。躊躇いなくコトハを目指す足音に僅かに片眉を寄せる。


「相席、いいかな?」


 声を掛けられては無視も出来ず、内心で舌打ちして、表面上はきょとりとした顔で見上げた。

 見覚えのない緑髪の男子生徒だ。黒縁眼鏡で温厚そうな面立ちの、コトハよりは年上そうな少年。十四か、十五ぐらいか。眼鏡は伊達眼鏡のようで、レンズ越しの輪郭に差違が無い。水色の半袖ワイシャツに黒のスラックスで清潔感がある格好だ。腕の筋肉から典型的な魔道士だと判断する。とはいえ、身体強化魔法を使えば見た目通りの腕力とは限らないため油断はしない。

 一瞬でざっとそこまで分析して、コトハはにこりと微笑んでみせる。


「私なんかで良ければ」

「君が良いんだ」


 彼も微笑みを返して正面に座ってくる。彼が持っているプレートにはデザートしか載っていない。コトハと会話するためだけにわざわざ新しく注文したのだろう。


「コトハ・ベスティートさんだよね。

 初めまして。オレは飼育担当のセサル・スターリングっていうんだ」

「……初めまして」


 飼育担当と名乗られて、コトハは弱い子猫のような顔は辞めて、警戒していますよと硬い声で示す。彼は慌てたように手を振って、警戒しないでと言ってくる。


「君に頼みがあるだけなんだ。君が従えたグリフォンに、飼育担当の言うことを聞くよう言ってくれないかな。非常に警戒してて、身体を洗うことすら出来ないんだ」

「……なるほど」


 まだシルバは銀翼だと分かっていないが、アルビノのグリフォンと言うだけでも充分希少である。わざわざ保護したとなれば、察しの良い人間は銀翼の可能性があるのだと気付くだろう。

 だから、教師の中でもオッドベルが選んだ人間しか近付くことを許可をしていないし、生徒なんて絶対に近付けさせないよう、シルバとスレイプニルに言い聞かせてきた。


 とはいえ、遠目でも姿を見ることは出来る。シルバは怪我を治しただけで毛に血が付いていたり、泥が付いていたりしていた。その姿を見て、洗ってやりたいと考えてもおかしくない。


「洗うのは私がやりましょう。見知らぬ人間に身体を触られるのは、誰だって嫌でしょう」

「あー……そうだね。君のほうがいいか。じゃあ、食事が終わったら来てくれるかい?」

「いえ。食事が終わったら冒険者ギルドに行かなければならないので。そちらでの用事が終わってから向かいます」


 母に試験を受けに行けと言われた日だ。心の底から行きたくはないのだが、受けなかった日には拳骨どころではないだろう。最悪、英雄特権で冒険者資格剥奪などやられかねない。


「ぼ、冒険者ギルド? 冒険者なの?」


 ぎょっとしたように目を見張る彼に小首を傾げ、素直に頷いた。それほどにまで驚くことだろうかと考えて、そういえば十二歳で受験資格は貰えるが、試験が難しいのだとロッドベルドに言われたのを思い出した。内容は筆記試験と実技試験。

 コトハは筆記試験こそ受けていないが、その分、非常に難易度を上げた実技試験を受けて例外的に認められた。もしかして母が言っていた筆記試験はこの冒険者になるための筆記試験かもしれない。となると、受けないとそもそも資格無しとして剥奪される。危ない所だった。

 思考が少し逸れたが、試験のことは知らずとも、この小さな身体で冒険者なんて危ない職業に就いていることは充分凄いことではあるかと思いついて、にこりと微笑んでみせる。


「私はベスティート家の出来損ないですが、第一子ですので。冒険者になっていないと家の恥ですから」


 ここぞと家の威光をかざして、さも当然のことのように言い放っておく。別にベスティート家だからといって冒険者になる必要はないし、何なら二番目の弟は「冒険者なんかやってられるか」と叫んでいたが、内部のことなどわかるまい。

 微笑むコトハにセサルは戦いたように身を引いた。ひとまず食事が冷めるし時間もないのでスプーンを動かす。

 黙々と食事を続ける彼女を見てセサルは気を取り直すように息を吐いて、口を開いた。


「……仕方がないね。何時頃になるだろう? 流石にあのままというのは可哀想だから早くしたいんだけど」

「そうですね……」


 試験時間がどれだけ掛かるか分からないが、昼は跨ぐまい。昼食を取ってからと考えて、何かトラブルがあった場合も想定して、おやつ前でどうだと確認を取る。彼はそれで構わないと頷いた。

 食事を終えて、ギルドから戻ってきたら厩舎脇の小屋に顔を出す約束をして別れた。


****


 まだ時間は余裕があっても、ルナの好奇心が刺激されて質問地獄に入ったら余裕なんてすぐに消える。だから外出の準備をしながらコトハは肩のブラックロータスに声を掛けた。


「あー、ブラックロータス……長いから今後はロータスで良いか?」

「構わないわ。呼び方は好きにしてちょうだい」

「じゃあ、ロータスで。こいつに説明したいから、元の姿……だと狭いか。小さくなれるか?」

「いいわよ」

「説明なら別に帰ってきてからでも良いけど?」

「俺が気にする」


 小鳥がパタリと羽根を動かして、ベッドに腰掛けるルナの前で宙返りを打つ。するとそこには人形サイズのピクシー族が現れた。大きかったときとは違い、薄桃色の髪はお下げになっており、ティアラもない。服もドレスではなく、鎖骨は開いているが肩と背中は開いていない白いワンピース。袖はふんわりと丸く、スカート部分もふんわりと丸い。まるでベルのようなシルエットだ。

 ルナは小鳥がピクシー族だとは思っていなかったか、流石に驚いたように目を見開いて何度も瞬きをするが、その顔に恐怖はない。むしろ驚愕が過ぎれば徐々に頬を染めて興味深そうな表情になってくる。

 そんなルナの様子にロータスは面白そうにクスリと笑った。


「ピクシー族とは思わなかったな。変化出来ることと、その真っ黒な瞳。そしてブラックロータス。なるほど、《ピクシー族の長(ティターニャ)》かな?」

「あら! 正解よ!」


 ルナなら種族と名前さえ分かれば辿り着くだろうなと思っていたが、本当に辿り着いてコトハは喉の奥で笑った。ロータスは驚きの声を上げてぱちぱちと小さな手で拍手を送る。ルナはにこりと微笑んで一度立ち上がり、ロータスへと優雅に礼を取る。


「初めまして。ボクはルナ・カタフトロス・エルフィンストーン。将来的に貴女と同種になるらしい、人間の子供です」


 その名乗りに、コトハはやはり知っていたかと目を伏せた。そもそもコトハが知っていることをルナが知らないはずがなかった。

 ロータスは少し驚いたように軽く目を見張った後、その目を細めて宙でターンを決める。すると本来の姿に戻った。予想通り狭いが、彼女は宙に腰掛けるように身を折って、ルナを見つめる。


 そんなに多くはない予言名の中でも、厄災を意味する名前がいくつか存在する。その名を背負った人間は、将来的に国か世界に対する厄災となることが運命づけられており、大体は予言された時点で殺され、人々は厄災を免れる。

 その中でも“カタフトロス”はもっとも厄介な予言名だ。殺した瞬間に発動した例があるため迂闊に殺せないのだ。《厄災の五種ディザスター・ファイブ》と深い関わりを持つとされている。

 ルナの予言名を知ってから少し調べたコトハは、いずれどこかで《厄災の五種ディザスター・ファイブ》と出会うことになるだろうと予想していた。次元の向こう側にいる存在はいつでもこちら側に干渉しようとしている。ルナの近くに居ればいずれ巻き込まれるだろうと考えていた。

 彼女の両親が彼女とあまり交流していないのは、いずれ来る厄災を恐れてのことだと気付いてしまって、不愉快な気持ちと同情する気持ちが同時に湧いた。コトハの両親ぐらい強くなければ、厄災の名を冠する娘など恐ろしかろう。しかもこの子はチェンジリングによってベスティート家から移されたと、ルナの両親はおそらく分かっている。ソーディスの冒険者でベスティート家を知らない者はいない。

 事実、こうしてルナはロータスと関わっている。

 ルナをじっと見つめていたロータスは、面白そうに目を細めた。


「ワタシに未来は視えないけれど、確かにアナタには(はて)の力を感じる。

 時空を捻じ曲げる者(タイムツイスター)か、刻を渡り歩くモノ(タイムウォーカー)か。どのみち、アナタは国を揺るがす大きな厄災になるでしょうね」


 コロコロと楽しそうに笑った声で説明されて、コトハは軽く目眩がした。未来は視えないと言ったのでいつ頃なんてわかりやしないだろうが、時期を聞きたいと思ってしまった。

 ルナはこれから出遭うだろう厄災の種類が分かって、さぞ目を輝かせているかと思ったのだが、反して本人の表情は貼り付けた笑みだった。


「そうか。本当にボクは、厄災になるんだね」


 彼女にしては下手くそな笑顔と、どこか諦めたような声に咄嗟に身体が動いていた。

 狭い室内。二歩で届く距離を大股の一歩で埋めて、ルナを抱きしめる。


「こと――」

「お前は厄災にならない。させない。なったとしたら、俺が止めてやる」


 ロータスが並べた厄災とはどれほどの力なのか、コトハは知っている。だけど躊躇うことなく言葉を紡ぐ。

 少し身を離し、ルナの頬を両手で掴んで困惑している紺の瞳と視線を合わせた。


「ベスティートの名をナメんなよ。厄災の一つや二つ、止めてやるよ」


 自分でもバカみたいだと思う、妄言に等しい言葉を贈る。

 本当に出来るかどうかは今は関係ないし、いざその時になったら、コトハはなりふり構わず、それこそ両親だけでなく今まで、そしてこれからの人脈全部巻き込んで、彼女を救わんとするだろう。

 出来なくても仕方がない。なにせコトハの予言名は、“ルグナ”。虚言を吐く存在になると言われている。歴史上この予言名を貰った人間は、クーデターを起こした先導者や、施政者、あるいは最悪の詐欺師になっていた。コトハの場合は最悪の詐欺師になりそうだが、将来については今は考えない。

 とにかく今は、ルナを安心させる言葉が重要だ。

 出来損ないが無責任なことを言うなと叫ぶ自分を捻じ伏せて、自信に満ちた不敵な笑顔を浮かべる。

 驚愕で固まっていたルナが、やがて泣きそうに笑った。


「キミ、『出来損ない』だとか言ってなかった?」

「今日からは『すごいやつ』になった。

 シルバはさ、銀翼のグリフォンなんだよ。それにスレイプニルのスレイも従えて、《ピクシー族の長(ティターニャ)》のロータスに気に入られた。

 これで『出来損ない』なんて言ってたら嘘だろ」

「ふふ。そっか。じゃあ、ホントにボクを止めてくれる?」

「ああ。風神に誓ってやる」


 証拠に、ルナと額を合わせて目を伏せる。


「『穹に、大地に、流れる風を司る、自由の神へ。自由なき人の子が言の葉を預ける。

  コトハ・ルグナ・ベスティートはこの者を厄災にさせない。

  この者が厄災になろうとも、我が身を持って止める。

  決して、この者を一人にはしない。

  この者を愛する誰かが現れるまで、私はルナ・カタフトロス・エルフィンストーンと共に歩む』」


 風神への誓いの言葉。『預ける』のは、ふいに風が吹いた瞬間に誓いの言葉を思い出すことから、自然と決まった文言らしい。”ルグナ”のコトハでもきっとこの瞬間は思い出せるだろうと思った。

 目を開くと限界ギリギリまで開いた紺の瞳が目の前にある。手に触れた頬が熱く、真っ赤に染まっていた。

 笑いながら誓いの締めとして額へのキスをして、手を離して外出準備を再開しに机に戻る。ロータスは口元に手を当てて目を丸くし見守っていた。


「き、キミ、にゃに……っ、なにしてんの!?」


 額に手を当て、動揺しすぎて噛んだルナに喉奥で笑いながらポーチを閉じる。


「何って【風の誓い】だけど」

「それ、軽々しくやっちゃダメなヤツだろう!?」


 どうやら知識はあったらしい。ルナのことだからまだ知らないと思ったが、娯楽小説のどれかに書いてあったのかもしれない。

 風は自由だが、自由には規律が必要だ。規律なき自由は無法であり、厄災と変わりない。【風の誓い】は規律を自分に規定するもの。破ったからと言って何か罰が下ることはないが、言葉の重みがなくなるので軽々にやって良いものではない。


「それに、キミ、ボクが常識を身に付けたらお役御免で自分の勉強するって!」

「お前に教えてやることはないから自分の勉強をするだけで、縁を切ると言ってない。

 それに、新しい魔法作る実証実験に付き合うって言ったばっかだろ。

 なんだよ。俺が側に居たら不満か?」

「そんなことないけど!! ああ、もう! 将来、僕を愛する人が現れなかったらどうするんだい!?」

「俺達まだ十二歳だぞ。これから何年生きると思ってんだ。お前みたいな変人を愛する物好きだっているだろーさ」

「無責任っ!!」

「“ルグナ”の名を貰ったからな。無責任な言葉を放つことに抵抗はあんまないんだ」

「~~~っ!!!」


 珍しく、ルナが言葉に詰まった。悔しそうに真っ赤に染まった顔をしかめて睨んでくるが迫力などない。

 勝ち誇った笑みを浮かべてコトハはポーチを腰に付けて、短剣を佩いて外套へと袖を通した。


「じゃ、俺はちょっと行ってくる。ロータス、悪いがここで待っててくれ。後で歌うって言ったのに待たせてばっかで悪い」

「いいわ、ニンゲンは忙しいものね。行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃい! 気を付けて!!」


 ひらひらと手を振って笑顔で見送るロータスと、叩きつけるように挨拶をするルナに笑いながら、コトハは部屋を出た。


・《厄災の五種ディザスター・ファイブ

 次元の狭間にいるという、高次元の存在。


・《起源の五色(モックスファイブ)

 次元の狭間では無く、各国に一体居ると言われている存在。地・火・水・風の四つと木とされているが詳細は不明。


・《ピクシー族の長(ティターニャ)》ブラックロータス

 風の国に存在する、ピクシー族の中で最も力を持った存在。他の四種とは違い、夢幻世界で生まれたが、厄災には違いないので五種に数えられた。

 歌を非常に気に入っており、詩人(ディーヴァ)は積極的に保護する。特に気に入った相手には契約を申し込むが、断ると草人(グラスマン)にされるので受ける以外の選択肢がない。

 契約には痛みを伴うので半端な契約者が多く、気まぐれで契約を解除する。契約が交わされた証として左胸に黒い花が咲くというが、現時点で完全に咲いた者はいない。

 彼女が風の国だけで遊ぶようにとピクシー族に言い聞かせているので、ピクシー族は国外に出ない。

 もしブラックロータスを倒すなどして支配が解かれれば、好奇心旺盛なピクシー族は即座に国外に出て、花人(ブルーマー)の多い水の都はすぐに廃墟となるだろう。

 日蝕時はピクシー族を集め、自分の領域から出ないように守っているため、契約者に呼ばれても向かうことはない。


・《刻を渡り歩くモノ(タイムウォーカー)

 別名、時食み(ヴォイド・ラウフ)

 存在するすべてが等しく持っている【プラーナ】を無尽蔵に吸い続けるナニカ。

 プラーナを奪われた者は人々の記憶からも消え果て、最初から【なかったこと】になる。

 日蝕時は特定の人間に取り憑いてプラーナを吸い続けるが、やがて肉体の限界を迎えて崩れ落ち、その肉体すら吸って【なかったこと】になるので、一番被害が少ないとされている。

 唯一、プラーナを自由に操る術を覚えた者は覚えていられるが、誰にも話せない記憶を抱えて生きることになる。


・《時空を捻じ曲げるモノ(タイムツイスター)

 別名、時産み(クレア・ラウフ)

 【プラーナ】を過剰に与え続けて、蠢く生物と言えないモノを創り出すナニカ。

 元々存在していた動物だけで無く、草木、土、水、空気に至るまでが過剰なプラーナによって形を保てなくなり、元の形に戻るために他者に押し付けようとするようになる。

 やがて形が崩れたそれは泥となり全てを飲み込む濁流となると言われているが、プラーナを断ち切る力があれば対処可能。熟練の戦士や特定の武具がそれを可能にしている。

 日蝕時は影の部分から徐々に溢れるように現れる。予めプラーナを濃くしておくことで誘導が可能。各国はそうして対処している。


・《次元図書館の管理人(アンストリコール)

 世界の歴史を総て記した書物が収められた図書館の管理人を名乗る存在。詳細は不明。

 


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