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溺れた蛤

作者: イプシロン


  手垢まみれの雨、海をつくり

  結露さえない見飽きた色形

  光、闇、影、希望、そして――愛、愛、愛!

  詩歌は黒い滲みになり

  壁に黴だけ残り


  天津風よ吹け、もっと強く吹け

  父も母も祖父も祖母も吹き払え

  柔らかく潤れたその髪ふり乱せ

  悪戯な手よ自由をなせ

  虚空に爪痕のこるようにと



    Drowned Clam


  Rain caked with grime, forming a sea

  Tiresome hues and shapes, not a drop of dew in sight

  Light, darkness, shadow, hope—and—love, love, love!

  Poetry seeps into black stains

  Leaving only mold upon the walls


  East wind, blow, blow stronger still

  Sweep away father, mother, grandfather, grandmother

  Let that soft, moist hair whip and flail

  Mischievous hands, claim your freedom

  So that claw marks remain upon the void

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