01.真面目に生きたらバカを見る
お待たせしました新作連載です!
今回は転生ものにチャレンジ♪
上手く書けるかわかりませんがよろしくお願いします。
水城凪。25才。
勉強はできなかったが強運で、なんとか看護師になった。元々容量も良くないし、手先も不器用。
そこで唯一の良いところは真面目だということ。
女手一つで育ててくれた母から言われてきた言葉。
【きちんとした大人になりなさい】
それに恥じないように、必死に身につけた誠実さ。
時には、自分の本音とは違うこともあった。それでも、きちんとした常識人になるためには飲み込んだ。
____ナースステーション
「先生、この間の指示ですが____」
「…ッまた君か!もう良いだろう!彼に何をしてももう時間の問題だ!家族が延命を望んでないんだ!やれることは限られるだろう」
受け持ちの患者が終末期になり、水城は焦っていた。少しでも生きて欲しいと。医療従事者がそんな簡単に諦めて良いのかと。
その度に、医者からは呆れられ、何度も看護師長に叱られた。
【医療従事者として人を救うことが正しい】
水城はその考えに囚われていた。
そんな中、受け持ち患者の元に向かう扉の前に立つとご家族の声が聞こえたきた。
「担当の看護師さんさ、お父さんを大切にしてくれるのはありがたいけど…延命を希望しないのはお父さんの願いで…希望なのに…お父さんがかわいそう」
涙声で話す女性の声。
「あぁ、全くだ!本人は痛くてこんなに辛そうなのに……。生かすことだけが全てじゃないのに…」
それに怒りを混ぜた苦しそうな声で話す男。
「…ッ」
水城は居た堪れず非常階段へと向かった。
____私は看護師としてきちんと仕事したのに
____延命しないのが患者さんの希望だったなんて知らなかった…
____看護師は患者さんの声を聞くのが基本なのに
「私…何もきちんとできてない…」
溢れる涙が止まらない。
きちんとしていないと意味がない。
自分は無価値な人間なんだと言われたように気持ちになる。
気持ちを落ち着かせ、ナースステーションに戻る。
「あっ、水城さん。これを検査室に届けて!?」
「わかりました!」
先輩看護師から検体を受け取り、検査室へ持っていく。気持ちがまだ不安定な水城は、検体を届けてから、非常階段で戻る途中、上から聞き覚えのある声がした。
「ねぇ〜、いつになったら別れるの?」
聞き覚えのあるこの声は…後輩の樋川 奈緒だ。
そして次の声に水城は驚愕する。
「あぁ〜いや〜別れたいんだけどさー、あいつめっちゃ硬いんだよな」
その声の主は____長谷部 亮。
水城の彼氏だった。
____嘘
一緒に楽しめるように、亮がデートを考えるの大変っていうから計画したのに。
あんなに楽しいって言ってくれたのに。
全部…嘘だったんだ。
毎日、お弁当も作って、困ってたらお金も貸した。
それなのに____。
水城はその後、仕事ができる状態ではなく、初めて早退した。
でも、今まで信じていたことが揺らぎ、足どりが不安定になる。
「あぶないっ!!!」
見知らぬ人が叫んだ後、ふと顔を上げると水城の目の前は一瞬で暗くなった。
ぼやける視界。遠のく意識。
ねぇ…お母さん……。
真面目に生きて…
きちんとしなきゃと必死に生きた結果が
____これだよ。
____ほんと…バカらしい。
凪は静かに目を閉じた。
凪は夢を見る。
青白い星たちが無数に流れている間を
自分が飛んでいく。
あまりにも幻想的で凪は感動する。
「…きれい……ん?」
しかし____突然目の前にブラックホールが現れて
とてつもない吸引力に吸い込まれる感覚____
「ッ!」
目を覚ますとそこは見慣れない場所だった。
「腰…いった〜」
凪が眠っていた場所は岩でできたベッドだった。
「てか…何かの臭い…オエッ」
ゴミの臭いと公衆便所の臭いが混ざったような
とてつもない臭いに嗚咽く。
すぐ側に赤いストールがありそれを首に巻き鼻まで覆う。
外の空気を吸おうと外を見る。
「……え」
「なにこれぇぇえええ」
凪は驚愕した。
凪の声が青い空に消えていった。