楽に努力は付き物
「 理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、簡単に言えば士官学校を卒業したばかりの君が一個艦隊を持つことへの反対意見を押し込めるための苦肉の策だ。」
「軍部内で扱いに困っている下級貴族等の令嬢や平民から志願してきた女性達の軍人をまとめて私に任せたということでしょうか」
「そうだ、現在の帝国の経済は不安定だ、仕事に就ける者など限られている。さらに、下級貴族は自分たちの領土の税金を帝国に納めなくてはならない。」
「平民の女性は安定的な収入を求めて、貴族の令嬢方はお金を稼ぐため長男等の代わりに危険な軍隊に志願したが、そのどちらもまともな士官教育を受けていないため帝国軍部も扱いに困っていたため、この度新設される私の部隊の人員補充に使ったと」
「そういうことだ。申し訳ないことに、整備班や補給班等も女性達の要望により女性で揃えられている。君には息苦思いをさせてしまってすまないと思っているよ。」
「陛下が私に謝罪をする必要はありません。」
(謝ったところでどうにかなる問題じゃないだろ。これからどうしよう。部下のほとんどが軍人未経験ってことは俺が1から教えなきゃいけないのか。めんどくさいな)
「その代わりと言っては何だが、君たちには現在の帝国軍の最新式の艦隊を用意させた。一つの艦単独でワープドライブが可能であり、宇宙海賊共を相手にするにはもったいない代物だ。それを君たちの部隊には小型艦合わせて約1000隻ほど用意した。規模だけで言うなら帝国の主力艦隊の三分の一以上はある。」
(規模だけならな)
「わかりました、もとよりこの年で艦隊総指揮艦になるのは相当無茶なことでしたから。それに、一流の軍人を集められたところで私には到底使いこなせないので、逆にそのほうが良かったかもしれません。」
「そう言ってくれるとこちらも心が少しは楽になる。
さて、これからは君の部隊が管轄する区域についての話をしよう。君の部隊が管轄するのはここから約100億光年先のオルカ子爵が管轄していた区域だ。オルカ子爵は実質的に土地の委任権を放棄しているので、その区域にある惑星や資源等は自由に活用してくれて構わない。」
「わかりました、出航は何時でしょうか」
「出航は1ヶ月後、バビロンのテルメレス港からの出航になる。」
「わかりました。それまでに色々と準備を済ませておきます」
「君には期待してる。それこそいずれは皇宮艦隊の総指揮艦を任せたいくらいには」
(皇宮艦隊って帝国軍最強の艦隊って呼ばれてるやつじゃん。そんな責任がある役職任されたくないんだけど」
「ありがたき幸せ」
(とにかく部下が素人だけではどうにもならない。とりあえずこの一ヶ月は部下の教育方針を決める事と、総指揮艦になったら始めるつもりだったあの計画を始めるか)