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まさに社畜聖女である〜TS聖女は褒美はいらないので仕事から逃げたい〜

 会社や社会の歯車として生きている私を含めた皆様に感謝

 異世界に転生したり転移したりして、スキルだかジョブが『聖女』になったりした時には、ハスクラスタイルでモンスターチュドーンとか疫病を魔法の素敵な力でマジ余裕の封殺、重要キャラクターの死者蘇生で涙感激マジ嵐、イケメン王子様と結婚して優雅な生活ハッピーライフを送れるとか、転移転生先が酷いところで逃亡先でマジ有能私大抜擢されてイケメン魔王様とハッピーエンドで古巣は大変なことにざまあwww系なものなると思うでしょう?

 それが、このざまよ。

 あ、ざまあ、とざまをかけているつもりはないですよ。

 このざまとは、私は今、王命を受けて、王国師団が二つが全滅を覚悟して戦わねばならない空まで届くほどの巨大な魔獣を見上げていることである。




 私は日本のしがないブラック企業で務める30代サラリーマンとして生活していて、細身で目の下には深く刻まれたクマがある。よく覚醒剤乱用している人と間違えられてお巡りさんに声をかけられる。声をかけられすぎて、大体のお巡りさんは私のことを知っている。

 そんな私が61日連勤で職場に向かう最中、急に足元に魔法陣が広がった。

 厨二病患者が大好物な、円の中に六芒星が描かれ、英語のような英語じゃないような文字が筆記体で描かれた。

 私は、これ、ドッキリかイタズラだな、と思った。近くの建物の屋上から、プロジェクターか何かで映し出しているだけだ、そう思って私は見上げた。

 いつもよく見るビル群の屋上が、徐々に白く塗りつぶされていき、気がつけば青空が広がっていた。

 視線を元に戻すとスーツ姿の女性や会社の近くの高校の制服姿の女の子たちが4、5名いた。不思議とみんな美少女、美女というくくりの者たちであった。眼福だったが、自分だけ場違いだと感じた。

 私たちの周囲には重々しい白銀の甲冑(かっちゅう)を着込み、(わし)が飛び立つようなマークが装飾された盾を持ち、いつでも剣を抜けるぞと眼光の鋭い騎士たちが15名くらい、緑色に染められたローブをまとい荒く息を吐いている男女が30名くらいがいた。

 さらにその奥に偉そうな王冠みたいな物を頭につけて赤いマントを着用し、何人も目だけで殺してそうな屈強な茶髪のおじ様がいた。きっと、こいつ王様とか皇帝とかそんなやっべえくらい偉い人なんだろうな。そのとなりには高そうな生地を桜のようなピンク色に染めたヒラヒラドレスを身につけ、あからさま王様っぽいおじ様と血縁を匂わせの同じような茶髪の10代半ばくらいの若い女の子がいた。多分、王女か、変装した上、年齢誤魔化しまくりの王妃なんだろう。その女の子の反対側に20歳くらいの金髪長身細マッチョで、豪華な装飾のある白銀の鎧を身につけたイケメンがいた。こいつはきっと王太子とか第一王子とかそういうやつだろう。

 その王女っぽいやつが、が私たちの前に進み出て来た。


「ようこそ、異世界から来た聖女様たち。私はこの国の王女です。私たちはあなた様たちの力が必要でお呼びしました」


 なるほど。これは知っている。進研ゼミで出た問題だ、と言わんばかりの発言である。近年の日本のサブカルチャーを少しでもかじれば、異世界転移だ、転生だ、スライムやドラゴンになって無双だ、現代知識で一攫千金ハーレムだなんてものなのだ。

 異世界転移で国の偉い人から召喚されるタイプのものか、と思いながら私はため息を吐いた。

 異世界転移物の小説やアニメ、漫画で、このように召喚される系は間違いなく、搾取されて、それに気がついて逃げ出してその先でハッピーエンドだ。なろうのハイファンタジーや異世界恋愛のランキングでよく見た。


「この世界に召喚された後、元の世界に戻す術はありません。ですので、この魔法は異世界に転移しても良いかつ家族が死別または離縁したいと思っている人に限定して、転移してもらいました。必要なものがあれば善処して用意しますし、暮らしも困らないように私たち王宮を住居として用意していますし、1日3度の食事も提供させていただきます。お仕事をしてもらったら給金もでます」


 おうふ、意外と考えている。

 元の世界にあまり執着のない人であれば暴動を起こしずらいし協力も得やすい。むしろ喜んで無双チートしたがる。

 私も元のいた世界では特にいい思い入れもない。ブラックで体育会系の会社で空気を読みながらキリキリお腹を痛めながら仕事をして頭痛に毎日悩まされて、ロキソプロフェンナトリウム水和物(※解熱鎮痛剤の成分)やアセトアミノフェン(※解熱鎮痛剤の成分)にお世話になっていた。

 職場を変えたいと思っていたが、転職は怖く、なんとかこなせば生活も困らないので、ずるずるとその職場で仕事を続けていた。本当に休みの日が恋しかった。掃除のあまりできてない部屋でただ突っ伏して過ごし、食事は3食インスタントラーメンの休日でさえありがたかった。

 王宮に住む場所も、王宮のシェフが作る食事もあるし、給料も出るとなれば、待遇もいいものだろう。まあ、仕事の内容によるが……そもそもそれが本当の話かどうかわからない。


 その後は、動揺している人はいるけれども、声を荒げて暴れたりする人は出なかった。

 細かい説明については、外で立ったままでは申し訳ないと、王宮内へ案内された。どうやら私たちがいたのは王宮の中庭だったそうだ。

 私たちは、王宮内の会議室のような場所で紅茶と菓子を出されて、それらをつまみながらこれからの話をした。

 なお紅茶に睡眠薬だとかが入っていて、その後、首輪、手錠に足枷をつけられて、奴隷のように仕事をさせらるようなことはなかった。

 王宮での説明では時々こういう召喚をやっていて、異世界で一旗あげたい人を呼んで、技術提供を受けているらしい。

 今回の召喚は純粋な戦力が欲しいから呼んだそうだ。

 異世界からの転移者は元の世界と異世界を通過することで、膨大な魔力やスキル等を得られるらしい。召喚した者たちは転移者の女性を敬意と謝罪を込めて『聖女』と呼んでいるそうだ。

 その聖女の仕事とは、魔物による被害を防ぐために結界をつくり、局地的な戦闘に対する障害魔法や身体能力強化、攻撃魔法、戦略的な攻撃魔法、身体欠損の回復、重度の呪いの排除等だそうだ。

 魔物との戦闘についてはできる限り危険は無いように、まずは異世界から来た聖女たちを鍛えて、そして騎士や王宮の魔導士たちで守りを固めて投入される。しかし、戦闘に向かない者は後方にて、王宮のある城下町の結界の維持や負傷兵や病にふせた人の治療など活躍の場は多岐(たき)にわたる。



「お詫びと言っていいものかわかりませんが、皆様には以前の世界で不満だったと思われる体の一部等は、その狭間を通り抜けた瞬間に求めていた体となるように魔術を組んで転移させています。使用人に鏡を持たせます」


 どうりで美人さんばかりだと思ったらそういうことか、と納得した。

 周りではメイドさんから鏡を受け取った女性たちは、感嘆な声をあげていた。驚いているようだけど、嬉しい意味での声だった。この反応からすると、それでは私はさぞかし、簡単にハーレムを形成できそうな、長身、細マッチョの金髪のイケメンになっているだろう、と思って、鏡を見たら、不思議な国のアリスみたいに青と白色のドレスが似合いそうな13歳くらいの金髪にサファイアのような瞳に白い陶器のように滑らかな肌の美少女が現れた。

 おかしいな、目が腐ったかな。鏡の中に誰か住んでいるのかな、という感じでメイドさんに質問すると、頭の残念な子なのね、みたいな目に一瞬なったが、また冷静なプロのメイドの目になった。

 メイドさんは、その鏡は普通の鏡である、というようなことを言い、私の体の特徴を細かに言い始めた。金髪になった髪は胸まで伸びていることとか、目は青色で宝石のように輝いていること、肌も白くきめ細やかであること、顔もこちらの世界でいう美人になるに違いないほどの美少女であるが、胸や臀部が少し小ぶりでこれからの成長に期待させるサイズであることとか、腰はしっかりくびれているとか、そういうことをこと細やかに説明した。生々しい言い方に少し頬に熱を帯びると共に、少しキモいと思った。

 私は自分の髪を触ると、きめ細やかな触り心地の髪が指にまとわりつき、前の長さより明らかに確かに長くなっており、視界に入れると、きらめく金髪であった。

 直接服の首元を広げて見れば確かにささやかな胸の膨らみはある。

 ズボンのポケットから股の辺りを触るが私のお稲荷さんは消えていた。ズボンの上から直接触っていたら、どっちの性別にしろ、頭のおかしいやつに認定される。

 今更気づいたのだが、私の声は当然元々低いおっさん声だったものが、明らかに可愛らしい若い女の子の声に変わっていた。

 服はスーツ姿だったのだが、何故か男性物ではなく女性物に変わっていた。

 ブラック企業戦士となる前の私はキャラクターメイクができるゲームではこんな可愛い女の子キャラクターばかり作って楽しんでいた。

 しかし、それはゲームの中で走る操作をすれば、後ろ姿をずっと見ることになり、そうなるとむさいおっさんを使えばおっさんの尻を四六時中追っかけることになるので、可愛い女の子キャラクターを使っているのだ。

 私は別に美少女になりたいという願望はない。

 くそ、出鼻をくじかれた。




 転移してきたばかりの聖女たちへの教養が終了した。

 ちなみに、私は仕草がだらしないということで普通の聖女とは別メニューの生活指導があった。元々男性であることを言うと奇異な目だけではなく、面倒臭い扱いがされそうなのと、女性ばかりの空間から追い出されてしまう。なので、田舎から出て来たズボラな子供という設定で誤魔化した。

 ところで聖女の教養では、世界情勢やら一般常識、魔法の使い方等の指導やお勉強があった。世界情勢については、各国いろいろあってきな臭い動きはあるが、どの国も魔物対策で軍の予算がほとんど使われており他国を侵略できるほどの動きはないらしい。なんでこんなことがこの国に知られているって? そりゃあ、お互いにきな臭いことや腹芸の試合をしあっているからだろう。

 一般常識は、お金の単位から貴族や騎士などの儀礼や、文章から読める意味合いから、今の街の公共設備、流行りについてだ。ちなみに過去の転移者により上下水道が完備され、食料問題防止に稲作やじゃがいもなどの生産が既に行われており、大衆食堂の一番売上の良いメニューは鯖の味噌煮定食だそうだ。絶対嘘だと思って、こっそり街に降りてみたら本当に鯖の味噌煮定食やニシンの甘露煮、フキの煮付け、唐揚げ定食なんかがお手頃価格で出てきた。転移者どもお前ら何してんだよ、最高だな、と言いながら久しぶりの故郷の味を楽しんだ。

 魔法は、回復魔法だとかアンデット特攻の神聖魔法、火炎放射器みたいな火魔法や水を高圧で噴射してからの即時凍結させる水魔法、何百人も何十キロも離れた街へ移動させる転移魔法、魔物は通さない結界魔法、1t近くの物の重さの食料などを隠して運べるマジックバック的な魔法等どこかで聞いたことのある魔法をたくさん覚えた。どこの世界も考えることは同じなんだろう。

 ただ、聖女と呼ばれる人たちの魔法と一般的な魔術師の魔法の威力は全然違ったり、範囲だとか使用できる回数が、最低でも100倍程度違った。

 もう一度言う。最低でだ。

 私は威力調査ではなく、回数調査で倍数を調べた。もちろん、1人でだ。魔術師が1日一回使えればいい魔法を、一日中使い続けても調査が終わらなかった。ふと、全力で火魔法使って見ようと考えなくて良かった。もしそんなことをして1兆度の高温なんて出した日には、この世界の大気が全部蒸発したことだろう。

 こんな聖女というか最終兵器的なヤカラをこの国の重鎮たちが召喚したのはいいが、召喚された奴らが反乱思考を持っていたら危ないと思わないのだろうか。待遇に不満を持っている聖女が突然乱心になったらどうなるかなんて考えると、頭が痛くなるどころか王様とか安心して夜も眠れないよね。寝てたら寝首を掻かれるどころか王宮ごとメルトダウンするような魔法使われるわ。

 それだから、元いた世界に不満があり、できるだけ王宮に協力的な人を召喚して、高待遇もある程度約束しているのだろう。


 さて、私のこの国での立ち位置に着いて説明しよう。

 私は聖女の中でも目立たないように生活している。

 既に、未成年でズボラに対する強化指導を受けた身分なので目立ちすぎたが、できる限り存在感を薄くするように気をつけている。

 ちなみに、こちらの世界に来た聖女という元日本人たちは、一言で言えば、目立ちたがり屋だ。更なる高待遇を希望していたり、もっと責任のある仕事をしたい、難易度の高く皆から尊敬される仕事をやりたい等の意識の高い考えの持ち主でして、手柄の取り合い、仕事の取り合い、より高難易度の仕事をしたいと王様等のロイヤルファミリーな重鎮の役人、お高い貴族にアピールしている。

 なんでそんなにやる気ありすぎるんだよ、と仕事やりすぎの結果荒んだ心の私は思うのだけど、やはり手にした力を試したいとか、後は前の世界で虐げられた記憶が自己顕示欲を掻き立てるのだろう。

 他にも私たち以外の聖女たちもおり、いわゆる日本からきた先輩たちだ。彼女らと実績争いのマウント合戦が来る日も来る日も行われている。

 ブラック企業から抜け出せた私は、牙のない肉食動物みたいなものとなり、平和にタダ飯を喰らっていたい。ブラックな会社や寝るだけの休日からおさらばできただけでもありがたい、と日々思うのだけど周りの雰囲気に押されて仕方なく仕事をせざるを得ない。




「いつもすみませんね」


 この国の財務大臣が私ごときの微妙な立場の聖女に謝辞を述べてきた。

 財務大臣は細身のメガネをかけた若い男で苦労が絶えないようで目の下にはクマが居座っている。

 目の下にクマを飼っている人に悪い奴はいない、とまでは言い切れないが、すれ違う彼らとは同志として心の中で敬意を示していた。そういうわけで、財務大臣の彼にも敬意を示している。心の中で。

 本来財務大臣なんて役職はおそらく高級貴族の年を召された方がやるような役職で、たくさんの経験と知識を元に下の役人を動かし、偉い人たちを少ない予算で納得させて、さらには国民の要望や意見を尊重させなければならない。

 そんな大役をやらされているこの若者は、色々な王宮内での政治闘争の結果配置された可哀想な人なのだろう。見ているだけで胃が痛くなる。

 最近は辺境の都市に予算が回るための大義名分がなくて辛いとボソボソと病人のように呟いていて、大臣という役職は軽い気持ちでなってはいけないものだと思った。

 それはともかくとして、なんで財務大臣という、国の予算を動かすお仕事の偉い人が私に直接お願いをしにきたりお礼を言ったりしてくるかというと、私はかなりコスパのいい部類の聖女だと思われている節がある。


 現状の待遇のままで構わない。

 文句をあまり言わない。

 王族やその関係者に対する男漁りをしない。


 そんな感じだったので、最初は多分頭がお花畑の天然女の子か、スパイだと思われていたに違いない。

 私は、何もしていない聖女と思われて、他の意識高い聖女から冷たくされたり、タダ飯喰らいだと王宮から追い出されたりするのを回避するために、他の聖女からあぶれた仕事で特にコスパの悪いものを受け取っている。

 このコスパの悪い仕事というのは、見栄えの悪いもの、つまるところあまり評価とされないような仕事だ。その上、あからさま面倒臭いし、日の目のあまり見ない活動だ。

 ちなみに見栄えの良くて評価される仕事とは、大勢の魔物を魔法でブッパして駆除したり、強力な魔物を己の強大な魔力で問答無用でぶっ飛ばしたり、大勢の身体欠損などした負傷兵たちを回復させたりするやつだ。私以外の聖女たちが好き好んで率先してやっているものだ。

 あれはあれで危険な仕事だし、治療前の負傷兵のいる病室も陰鬱な雰囲気と声がなんとも言えない。でも、ロマンというか、そこから始まるロマンスがあるよね。私は元男なので、ノーセンキュー。


「仕事なんですけど、つい先日大量の魔物駆除をおこなったじゃないですか。あの時に逃げた魔物が付近の村々の側に巣を作っているみたいでその駆除をお願いします」


 今、ムラムラ、いや村々と言わなかったか、大臣さん。


「今報告が上がっているのは20地点くらいなんですが、一つ一つは規模としては兵士の小隊2つでなら駆除可能なんですが…」


 自分の顔が、んーめんどい、と歪むのを我慢する。移動して探して駆除して、を最低20回繰り返すのか。

 でも、私は顔を崩さず、はい喜んで、という気持ちの顔を作り出す。目の前は財務大臣だ。この国のお財布を管理している人なのだ。笑顔、笑顔。

 魔法を使わなければ、人力を頼りに探さなければいけないところが多すぎるし、何より人を同時にたくさん動かすとお金がかかりますからね。街の防衛もしなきゃいけないし、何も魔物だけが敵ではないのだ。反乱を起こそうとする人民や、スパイ、犯罪者、素行の悪い冒険者に、周辺各国。

 人もお金もカツカツなんだから、コスパのいい聖女を使うしかない。特に、あまり文句を言わず、待遇の向上とか評価を気にしないし、イケメンの騎士や貴族を紹介しろとか言わないで仕事をしてくれるやつ。他の聖女の実績に頭を抱えて、早く仕事をしないといけないと悩んでいるやつ。

 まさに私しかいませんね。

 そういう何でも屋みたいな仕事が私の仕事である。

 具体的には、王都の下水道の掃除&弱小魔物駆除、辺境の村周辺の雑魚魔物の退治や辺境での治療、解毒、解呪、他の聖女の大規模駆除の撃ち漏らした魔物の駆除、大量魔物駆除後のアンデット防止化処置等がある。

 もちろん他の聖女に頼んだり兵士や冒険者、聖職者にも頼めるのだが、聖女にとっては目立つ評価にはならないし、聖女以外に頼むものは解決まで時間がかかりすぎるか、お金が非常にかかるのだ。

 そんな仕事ばかりやっていると、とうとう聖女たちに目をつけられることになったのだ。

 その日は、私以外の聖女たちによる魔物の大規模駆除が行われた後の、撃ち漏らした魔物の駆除やその後始末をして帰ってふらふらになって帰ってきた時のことだ。


「あなたってさ、私たちに不満でもあるの?」

「また、私たちの尻を拭く任務だって聞いたけど、遠回しに私たちに嫌味を言いたいの?」


 疲れて帰ってきた時にさ、文句言いにくるなよ。だったら食い散らかすように魔物の大群を大雑把に仕留めないで、逃げられないように退路を断つか、範囲をもっと広げて駆除してくれ。


 なんて言えない。私は小心者だし、穏便に静かに生活していたい。それに彼女達が高圧的に私に詰め寄って来るのは、どう見ても年下にしか見えない中学生くらいの少女という、とても舐められやすい顔つきに出立ちだからだろう。童顔の知り合いは取引先でよく舐められると言われてたからまあそういうことなのだろう。まあ、仕方ない。私もこの姿の相手でどんな人か知らなければ中学生かな、みたいな感じに思うに違いない。

 まあ、文句を言ってくる聖女たちもね、ものすごく美人に美少女でね、もう近くに寄って来るからいい匂いがするんですよ。もちろん、皆さん私が元おっさんだなんで知らないからかなり近くまでやってくるんですよ。

 ある種の性癖の方はある意味でご褒美ですよね。

 喉に出かかって声を飲み込んで、私そんなこと言われて悲しいんです、みたいな悲劇の少女のような顔を作り出す。


「私、力が弱いので、こういう残党狩りみたいなものじゃないと役に立たないので……」


 そう伝えると、鼻で笑われ、


「それなら、治癒院に行って肩こり腰痛で困っているおじいちゃんおばあちゃんの治療でもしてたらいいんじゃないかしら」


 それなら先週、戦線に出されて目立ちたくなかったから率先してやったわ。おばちゃんから、めっちゃ、あめちゃんもらったわ。

 まあ、こういう風な言いがかりをつけてくる聖女が増えてきた。


 お前、ワイのことに文句あるから後始末の依頼を率先して受けてんだろ?

 お前、ワイの派閥に恩を着せたいからつゆ払い依頼をしてくるんだろうが、そんなの必要ないんだけどさ、ワイらの派閥のことみくびっているの?


 みたいなマウントの取り合いである。

 美人や美少女がリングの上で相手とまたがって場所の奪いをしているなら鼻の下を伸ばしながらずっと見ていたいが、そういうものではないので残念である。

 マウントとっていいことなんてあるのだろうか。私はめんどくせー、としか思わないのだ。

 それでさ、ここで、私がさブチギレてさ、


 もう勘弁ならない!

 他の国で私はのびのびやります!

 すると、私の行った国は私を重鎮に迎えてくれて幸せハッピーエンド、私がいなくなった国は崩壊バッドエンド!


 みたいなことを妄想して国から出るじゃん?

 本当に他の国で重鎮として迎えてくれるのか、いや、この私の本当の力のことがバレたら、良くても今まで以上の労働量に危険地帯に行かされるに違いないし、最悪、聖女という名の魔王が攻め込んできたぞー! 迎え撃てー!、になりかねない。

 夢がないって?

 日本で転職したらいい待遇いい給料になる人はほんの一部で、待遇も給料も悪くなることが多いんぞ。ふぁっく!

 だから、私がこの国から出たらもっといい待遇が待っているなんて頭がお花畑の桜吹雪舞っているような呑気な考えではいられないんですよ。

 転職が許されるのは超優秀な人だけだ!

 凡人に大事なのは、安定!

 そこそこな仕事でそこそこの待遇!

 のらりくらりと、いやー上からの指示でー、私の実力ではこれが限界でー、みなさんマジでパネーっすよねー、みたいな感じで私の批判を避け切りたい。そして、仕事が終わったら、王宮を抜け出して、異世界転移した日本人がやっている居酒屋でうまい日本酒をくいっと一杯やって、刺身や天ぷらを食べてしっぽりしたいのだ。それで十分なのだ。

 そんな私のちっぽけな平穏を崩させようと聖女たちがちくちく攻撃をしてくる。

 確かに他の聖女たちが前線でばかり仕事をしている時は後方支援や残党処理ばかりやっていたからな。

 これは純粋な不公平感があるかもしれない。ここで何か手柄を上げなければ。しかし、財務大臣が渡してくる仕事は他の聖女のような仕事ではない。ここは私から仕事をもらいに行かなければ…。

 しかし、他の人に仕事をもらいに行けば、財務大臣に角が立たないか?

 まずは財務大臣に話を向けて、別の人から仕事を紹介してもらう流れに持って行こう。


 財務大臣のメガネくんに、


「最近、他の聖女の尻拭い的な魔物駆除ばかりなので、他の聖女が私のことをあんまり良く思ってくれてないんですよ。それで、魔物駆除でそういった尻拭い系ではなくて普通の魔物駆除系の仕事はないですか?」


と説明すると、これはいい時に聞いてくれた、と言いそうな顔で、持っていた書類の束の一番上の紙を渡してきた。

 

「聖女なら倒せるくらいの魔獣のベヒモス退治をお願いします。王の印付きの面倒な仕事ですが」


 魔獣って確か魔物よりも遥かに強く、気高く、意思を持つ獣、と習った気がするんだが。ようは、魔獣とはべらぼうに強い魔物だったはず。しかし、これを普通に倒してしまうと、お前、並の聖女と同等に強くね?、と気づかれてしまう。それは並の聖女と同じようにバリバリと働かされるようになるのだ。

 そうなると、手柄だけでなく、いいところの貴族の男や将来有望な騎士を紹介されてしまう。私は心が完全に男なんでノーセンキューなんですよ。男に尻を追われる生活とかまじで勘弁してほしい。

 ただでさえ、フードをかぶらず街をうろつくと、元の私みたいな男たちからの青臭い濁ったキッツイ視線が辛い。

 とりあえず、有能だと思われないように苦戦して魔獣を倒さねばならない。

 何より手柄の分散をせねばならない。

 私と誰かで倒せば私の評価はあまり上がることがなくなる。

 一緒に魔獣を倒してくれる聖女の仲間?

 ル◯ーダの酒場、ここの世界にありませんか?


 召喚された聖女には二大派閥がある。なんとか原理主義派とか過激派とかじゃない。

 ようは誰々さんのところで勝ち馬に乗りたいぜ、ウェーイな派閥が二つあるのだ。そこのトップに通りがかりに泣きついて話をして、ほんの少しアドバイスを貰えばいい。

 後で倒した報告をする時に、いやー◯◯さんの言う通りにやったらうまくいきました!、⬜︎⬜︎さんのアドバイスがなかったら危なかったっすわー!、なんて言えば完全な独力での駆除とは思われないはずである。


 私は二大派閥の聖女のリーダーに抱きついて泣き喚きながら、怖いんですー、どうやって倒したらいいかわからないんですー、と見た目の利を使って尋ねた。元のおっさんの姿なら即時お巡りさんこんにちは、になるに間違いない。

 二大派閥の聖女のリーダーたちは流石に表向きの人格はいいので、国の偉い人たちや役人が通る場所で無碍(むげ)な態度は取らない。相手の拠点なら他の聖女が前にたたれて門前払いされるの間違いなし。


 魔獣ベヒモスがいるのは、辺境の都市の近くの森だ。そういえば、財務大臣が辺境の都市に予算をつけられないと嘆いていた。ベヒモスを二体三体殺して、辺境の森ベヒモスが増えてやばい、人員増やさないと辺境都市がいつか壊滅すると進言してやれば、大義名分付くのではなかろうか。いつもお世話になっているから頑張ってやろう。


 そして、駆除の当日、私は駆除見届け人及び護衛となるとなる騎士と魔術師の各一個中隊と一緒に、魔獣ベヒモスが出現する場所へ飛び立った。ちなみにこの国の中隊は3個の小隊、小隊は7名編成となる。

 辺境の都市の付近の森を探すと、取り分け大きい生物の反応があり、そこに赴くと、確かにベヒモスはいた。ベヒモスが群れていて、その真ん中に、王国師団が二つが全滅を覚悟して戦わねばならない、空まで届くほどの巨大な魔獣がいた。


「キングベヒモスです! 聖女様を守れ!」


 キングベヒモスの雄叫びに皆が震えるが、それでも私を守ろうと隊列を組む。

 予定していた魔獣が群れでいるどころか、おそらくそれよりも強大な魔獣相手。

 私の力なら即死させられるが、その瞬間は見せたくない。実力がバレるから。手加減しながら倒すのはかなり大変である。もしかしたら騎士や魔術師に死者が出るかもしれない。騎士や魔術師にも家族や家庭があり、大切な人が無事な帰りを待っているのだ。私の平穏で楽な生活のために、彼らを死なせたり彼らの家族を悲しませたりするのはダメだ。

 私は転移魔法を彼らにかけて、王宮に戻ってもらった。

 残ったキングベヒモスたちは、ええ、即死させました。ザ◯キーマみたいな即死魔法でぶっ殺しました。


 即死させたキングベヒモスやベヒモスたちを見つめて、この死体、どうすればいいか頭を悩まさせた。

 多分、素材的な意味で王宮側は絶対持って帰ってきて欲しいだろう。財務大臣あたりがめちゃくちゃ喜ぶに違いない。でも、死体が綺麗すぎる。普通に持って帰ったら事細かに問い詰められること間違いなし。

 とにかく浅い傷を増やしまくって、ギリギリの戦いをしたと思わせよう。

 そして私の方は、甲子園球児みたいな潔いヘッドスライディングを決めては横に転がりまくり、衣類と髪をぐちゃぐちゃに汚した。

 これなら怪しまれないと思い、マジックバック魔法にキングベヒモスたちの死体を入れ、王宮に戻った。




 私は王様やその他ロイヤルファミリーな方々、財務大臣等の役職の方々がいる前で片膝をついて表彰を受けていた。

 キングベヒモスの件だ。

 あいつ、めちゃくちゃ強いっていうのはわかっていたけれど、話を聞けば、聖女の強い人最低でも3人はいないと倒せないレベルらしい。

 そんなのを、兵士や国民の被害なく、単独で駆除した、ということで表彰を受けているのだ。


「顔を上げなさい。ところで、キングベヒモスはどうして倒すことができたのだ」


 王様がそんな質問してくる。

 私も王様だったら、そう思うわ。絶対、心の中で、


『あれ、お前そんな感じの力無くね? 今までの実績からしたらおかしくね?』


と王様どころか、ここにいる人全員そう思っているわ。


 下手な回答すれば、


『お前、実力隠してた? 他の人、一生懸命になって死にそうな場面あるのに?』


 なんて思われて、クズ聖女認定される。キングベヒモス単独で駆除したのに。周囲にベヒモスも沢山いたし、なんならその死骸から出る素材は全て献上しているのに人格否定される。


「え……、そうですね……優秀な聖女様方からいろいろアドバイスを頂きまして、そのとおりやったらなんとかなりました。それ以上の結果を得ているかもしれませんが、それはもう運が良かったとしか言いようがありません」


 こう言う他ない。優秀な聖女たちにベヒモス退治のアドバイスを聞いて回ったのは事実。倒した手柄は私が貰ったとしても、私を教育したりアドバイスした人たちに手柄を持って行ってもらい自分自身の手柄を薄めよう。

 背中に冷や汗が流れるのを感じた。


「派閥を作っている聖女たちは仲が悪いと聞いておるが?」


 王様は、信じられない、とでも言いそうな鋭い目つきをしていた。政治養った百戦錬磨の知識と勘がきっとそう思わせているに違いない。


「泣きついたら、哀れに思っていただいたようで、手取り足取り教えていただきました」


 そう私が伝えると、王様は余程面白かったようで、一瞬顔をにやけさせ、それが無かったもののように咳き込んで誤魔化し、真顔になった。きっと、王様は、魔獣ベヒモスを一ひねりできる聖女たちが、泣きつく小物の私に困り果てている姿を想像して、心の中で笑い転げているに違いない。




***【王国財務大臣(元第二王子)】***


 その聖女は召喚された聖女の中でも一番幼く、だらしなく、なんだかやる気の無さそうな感じの者だった。強いて言うなら、死んだ魚のような目をしていた。仕事しすぎてやばいやつの目だ。これからそっと職場から逃げようとしている人間の目だ。

 魔法陣では、王宮の仕事にやる気がありそうな者を呼び出したはずなのだが。そういう失敗もあるのだろうと思っていた。


 どうやら、この小さな聖女はすごく気を使っているようだ。依頼の取り合いをせずに余っている仕事をやっていた。面倒な条件が重なっているものも、何も文句言わず終わらせていた。


 変わった聖女だと思って、近づき、試しに私から仕事を振る。あからさまな作り笑いをして、頑張ります、と引き受け、私が離れた頃に大きなため息を吐いていた。

 逆に、他の聖女なら喜んでやりたがる大きな手柄のある仕事は断られた上に、褒美すら一度も申請してこなかった。


 どういうわけか、急に他の聖女の絡まない魔物の駆除をやりたいと言ってきた。

 やはりこの子も他の聖女同じで多くの褒章を望む者なのだろうと、魔獣退治の王命での依頼を渡した。

 なんだかんだで、手柄にならない仕事を沢山やらせていたのは事実なので、大きく手柄として見られやすい王命の依頼を優先させて渡したのだ。


 駆除の日、転送魔法で飛び立った聖女と護衛たちは、どういうことなのか、先に護衛の兵たちが転送されて戻ってきて、皆蒼白な顔色をしていた。

 何があったか尋ねれば、


「聖女はキングベヒモスから私たちを逃がすために転送させた。聖女は文字通りの死守をするつもりだろう」


と彼らはうなだれて語った。

 キングベヒモスは聖女数名、特に能力の高い者を派遣して戦わなければならない魔獣である。

 それを殿(しんがり)として残ったということは、足止めしている最中に他の聖女を派遣してほしい、ということだろう。応援が到着した時の自分の生死はともかくとして……。

 彼女は能力の高い聖女ではない。貴重な聖女であるが、その他大勢の聖女の中の一人だ。足止めできる時間は期待できない。使い勝手のいい聖女だからと、手柄のあまり目立たない面倒な仕事をさせていたので忍びない。まあ、本人もそういう仕事ばかり狙ってやっていた節もあるが。

 追加のストレスのせいか胸の動悸が始まった。いや、焦っているのか。聖女は貴重だが、彼女の代わりは他にもいる。それなのに、私はしばらくやっていなかった親指を噛む癖をやってしまった。

 急いで、強力な聖女を派遣させよう。派閥となっているトップに話を向けるため立ち上がる。こっちが仕事を頼む側だけどさ、あいつらやる気ありすぎて困る。絶対、褒美を期待した目で、『はい、喜んで!』みたいな感じで二つ返事で向かうに違いない。だから、その後のことが怖い。私の役職が財務大臣な分だけにね。

 すると、腹がキリキリした。これから向かう聖女の派閥のトップに話しかけることが嫌だな、と思うことと、王宮の政治がらみの仕事のストレスのせいだろう。

 私が第二王子という地位を捨てて財務大臣という役職についているのは、もちろん、王太子の兄との王位継承問題を起こさせないためである。そもそも、私と兄は仲がいいので、殺し合いなんてしたくはないのだ。それならば、兄弟で協力し合って王国を安定させるために努力したいと思い、ひっそりと生活することなく仕事に励んで今日もクマの黒色がより黒くなるのだ。

 そうしていたら、まあ、貴族どもが、兄はお前を蹴落とそうとしている、とか、兄の政治能力はないので覇権を取るべきだ、とか言い寄ってくる。凄い言い寄ってくる。のらりくらりと避けきって兄に全て伝えるが、そいつらとも仲良くしなければならないのが役人としての大臣の仕事である。腹もキリキリマイマイ痛むが、頭もガリガリ痛み、肩から首周りもパンパンに張っている。くだらない話を聞かされ続けたせいで仕事が終わらなくて深夜まで書類仕事が終わらない。マジで勘弁してほしい。

 聖女にこの治療を任せれば、弱みを握られることになるので、決して口には出せない。くそっ。


「財務大臣殿、大丈夫でございますか!?」


 私は腹を抑えながら立ち上がって考え事をしてしまったせいで、皆の者が心配し始めた。


「いや、何でもない。すぐに派閥の聖女のトップに声をかけてくる」


 私がそう言って執務室の扉を開けようとすると、後ろから土(くさ)(にお)いを感じて振り向いた。

 すると、土や泥で汚れた小さな聖女がいた。

 私がいつも、他の聖女の尻ぬぐいの仕事をお願いする、あの成人前の聖女である。

 歩くだけで執務室を汚す彼女の姿を見て、私は胸の動悸がスーッ治ってきた。



 私は表彰を受けているあの小さな聖女を見ていた。

 刃を通すのも困難なキングベヒモスの皮に無数の切り傷をつけ、しかもどれも致命傷には至らぬ傷なのに、どういうわけか駆除を成功させた。

 小物を演じ続ける彼女に、不気味さを感じ得ない。

 しかし、仲間を殺させないよう思いやる気持ちがあり、率先して面倒で手柄にもならない仕事をする彼女。

 血だらけ泥だらけになり、ひどい時は汚物まみれになりながら仕事を完遂させる。

 多くの民に慕わられ、伝承の魔獣から人民や国を死守し、報酬を求めない彼女に何を与えればいいか迷う。

 慈悲深く、献身的に働き続ける……。彼女を王族に取り込むことができれば……。

 彼女はまさに尊敬すべき社畜聖女なのだ。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

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 誤字脱字等ありましたら報告いただけると助かります。


 11/12 ハイファンタジーの日間ランキングで99位になっていました。ハイファンタジーでランキングには載らないだろうと思っていたので、驚いています。

 評価やブックマークをしてくださった皆様、こんなところで申し訳ありませんが、大変ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
TS聖女様と財務大臣のお疲れな日々をつづった続きが読みたいです。
>王国財務大臣(元第二王子)  まあそうよな。 財務管理の重要度を分かってる国なら閑職になんかせず、特別なのを配置するよなぁ。 >彼女はまさに尊敬すべき社畜聖女なのだ。  結局社畜の運命は変わ…
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