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第七話 聖徳太子

 〇 第一回遣隋使と新羅征伐


 新羅(しらぎ)任那(みまな)の調を中断したことで征討することになりました。

 蘇我馬子(そがのうまこ)は中華を統一した隋の思惑を調べて許可を得るために遣隋使を計画します。

 ですが、遣隋使も新羅征伐も失敗に終わってしまうのです。



 □ 600年 第一回遣隋使

 □ 600年 第一次新羅征討

 □ 601年 第二次新羅征討

 □ 602年 第三次新羅征討



――スポットゲストとして蘇我馬子(そがのうまこ)に来てもらいました。



馬子(うまこ)「お久しぶりです。早速ですが大王にお伝えしたいことがあります。新羅が任那の調を止めてしまいました」



――任那の調について改めて説明しましょう。朝鮮半島南端の金官伽耶国や安羅国には日本府が置かれ任那と呼ばれていた。任那は新羅に攻められて併合されてしまうが、日本と戦争したくない新羅はかつて任那の国々が日本に対して朝貢していたのを肩代わりすることにしたのだ。それが任那の調となります。新羅は朝鮮半島で百済と高句麗と争っていたので日本との戦争は避けたかったのでしょう。



推古(すいこ)「今の新羅の王は真平王(しんぺいおう)ですわね。隋の冊封を受けてい調子に乗っていらっしゃるわね」



馬子(うまこ)「群臣の中から新羅征伐の話が出ています」



推古(すいこ)「よろしいのではなくて」



馬子(うまこ)「隋の不興を買うのは避けたいので隋に使者を送りたいと思います。遣隋使です」



――こうして蘇我馬子は遣隋使を派遣しました。同時に新羅征伐の準備を進めていきます。



馬子(うまこ)「私の弟の境部摩理勢(さかいべのまりせ)を征新羅大将軍に任じました。



推古(すいこ)摩理勢(まりせ)なら問題ないのではないかしら。そう言えば摩理勢は厩戸皇子と縁が深いのでしたね」



馬子(うまこ)「厩戸皇子と私の娘の間に皇子が出来ましたので、摩理勢が皇子の乳父(めのと)となって養育をしております」



推古(すいこ)山背大兄王やましろのおおえのおうですわね。次の大王は厩戸で間違いないからその次の世代に蘇我氏で囲い込むつもりかしら」



馬子(うまこ)「蘇我は大王の一族と共にあります」



推古(すいこ)「今度、わたくしの孫娘も厩戸の后になりますの。后同士で仲良くしていただきたいわ」



――推古天皇の末の皇子の尾張皇子(おわりのみこ)の皇女の橘大郎女たちばなのおおいらつめが厩戸皇子に嫁いでいます。尾張皇子はこの頃に亡くなったと思われます。ついでに言えば押坂彦人大兄皇子もこの頃に亡くなってます。



馬子(うまこ)境部摩理勢(さかいべのまりせ)が朝鮮に渡りました」



推古(すいこ)「遣隋使の使者はまだ戻ってきてないわよ」



馬子(うまこ)「隋が高句麗(こうくり)と戦をしていて新羅を助ける余裕がないのは分かってます。遣隋使はアリバイ作りですよ」



――境部摩理勢は一万余の兵力で対馬海峡を渡って新羅に侵攻して五つの城を攻略しました。新羅王の真平王は降伏します。



推古(すいこ)「やるじゃない、ですわ」



馬子(うまこ)「新羅王は任那の調を再開すると約束しました」



――境部摩理勢が真平王は奪われた城を奪い返しました。任那の調は当然ながら送って来ません。



推古(すいこ)「やられたわね、ですわ」



――遣隋使は隋の官吏にヤマト政権の政治の仕方が変であり蛮族だから国として認めないと散々に馬鹿にされて帰って来ました。



馬子(うまこ)「ぐ、ぐぬぬ………だが、隋が高句麗征伐に夢中で新羅に構っている余裕はないという情報は手に入れましたぞ。第二次新羅征伐で新羅を分からせましょう!」



推古(すいこ)「そうね。では、次の征新羅大将軍は皇族から出してね」



馬子(うまこ)「………皇族からですか?」



推古(すいこ)「ええ、蘇我氏ばかり手柄を立てるのはズルいじゃないの。そうね、厩戸の実弟の来目皇子(くめのみこ)が良いと思うわ」



馬子(うまこ)「大王の仰せの通りに」



――征新羅大将軍となった来目皇子は大軍を率いて筑紫へ到着しましたが、そこで病となり新羅遠征を延期しました。そしてそのまま筑紫で亡くなります。



推古(すいこ)「皇族が次々と亡くなるますわ。不吉ですわね。厩戸皇子が建立している寺が完成すれば負の連鎖も途切れるかしら」



馬子(うまこ)「代わりの征新羅大将軍に摩理勢を任じましょう」



推古(すいこ)「いいえ、厩戸皇子の異母弟の当麻皇子(たいまのみこ)に任じます」



馬子(うまこ)「新羅の真平王は百済との戦で大勝したそうです。侮れません」



推古(すいこ)「百済と高句麗と戦をしている最中なのでしょう。三方から攻められれば真平王もひとたまりもありませんわ」



――当麻皇子は筑紫に到着しましたが、后が病に倒れたとの報告を聞いて将軍職を放り出して勝手に大和に帰国してしまいました。



馬子(うまこ)「…………」



推古(すいこ)「…………」



???「話は聞かせてもらいました」



推古(すいこ)「…………誰なのですわ?」



???「私はアマテラスの子孫にして仏法の伝道者にして西方の預言者の生まれ変わり、上宮聖徳皇うえのみやしょうとくおうこと厩戸豊聡耳皇子命うまやとのとよとみみのみことです。聖徳太子(しょうとくたいし)とお呼びください。



推古(すいこ)「…………厩戸皇子、何をしているのですの?」






 〇 聖徳太子


 聖徳太子という名前の初出は懐風藻(751年)です。日本書紀(720年)では厩戸皇子(うまやとのみこ)厩戸豊聡耳皇子うまやとのとよとみみのみこ上宮太子(じょうぐうたいし)など多くの名で記されています。

 古事記(712年)では上宮之厩戸豊聡耳命かみつみやのうまやとのとよとみみのみことです。

 それより前には法起寺(ほっきじ)三重塔の銘(706年)に上宮太子聖徳皇じょうぐうたいししょうとくおうと彫られてます。聖徳の方が厩戸より初出が古いのです。

 更に古いものは法隆寺(ほうりゅうじ)金堂釈迦三尊像こんどうしゃかさんぞんぞう光背銘(こうはいめい)(623年)に「上宮法皇(じょうぐうほうおう)」があります。


 ちなみに教科書に載りそうになった厩戸王(うまやとおう)は甲斐国志(1814年)が初出で戦後(1963年)に使われだしたものです。却下されて良かったですね。


 今回の話ではこれ以降は聖徳太子で統一します。




聖徳太子(しょうとくたいし)「私は皇の一族で天照大御神の末裔。つまりは日ノ本の神の子孫なのです」



推古(すいこ)「そうですわね。わたくしもですけれど」



聖徳太子(しょうとくたいし)「仏法を信奉して人々に伝えることを生涯の目標としています。大和における仏教の頂点・法皇になりました」



推古(すいこ)「自称、法皇ですわね」



聖徳太子(しょうとくたいし)「母が馬小屋の前で産気づいて馬小屋で私を産んだことから厩戸皇子と命名されました。これは西方の預言者・イエスキリストの誕生と同じです。私は預言者の生まれ変わりなのです」



馬子(うまこ)「馬子の家で生まれたら厩戸皇子で………」



聖徳太子(しょうとくたいし)「民も私を崇めています」



大和の民「豊聡耳命(とよとみみのみこと)ー! ヽ(゜∀゜ )ノ」

大和の民「上宮太子(うえのみやのたいし)ー! ヽ(゜∀゜ )ノ」

大和の民「東宮聖王あずまのみやのひじりのおおきみー! ヽ(゜∀゜ )ノ」



聖徳太子(しょうとくたいし)「宗教は人々を熱狂させて一つにまとめます。民も私を崇めています、仏を日本の古来の神と一体化させることで大和の民に受け入れさせることが出来ました」



推古(すいこ)「誰の入れ知恵ですの?」



聖徳太子(しょうとくたいし)「秦河勝の助言に従いました」



推古(すいこ)秦河勝(はたのかわかつ)―――秦氏でしたわね」



聖徳太子(しょうとくたいし)「秦氏は西方の景教(キリスト教)とインド仏教と中華仏教と新羅仏教と日本神道を混ぜ合わせて氏族の結束に利用しているのです。神仏習合という手段らしいですね。知ってますか、秦氏は太秦(うずまさ)に古くから伝わる山の神の稲荷様を氏神にしまして、秦氏のネットワークを使って信仰を全国に広めたという実績があるのですよ。仏教も同様の手段で全国に広めるのです。そして新たな日本式仏教により皆を一つにまとめて隋に負けない国を作り上げるのです」



馬子(うまこ)「それにしては、民は仏教を信仰しているようとよりも太子を信仰しているように思われます」



聖徳太子(しょうとくたいし)「私は次の大王ですからね。国をまとめるには王たる私を法皇・聖王として神格化するのが簡単なのですよ。秦河勝が秦氏を使って私の伝説を広めてくれています。情報操作はばっちりです」



推古(すいこ)「…………恐ろしい子」



聖徳太子(しょうとくたいし)「それでは始めましょう」



推古(すいこ)「何をかしら?」



聖徳太子(しょうとくたいし)「隋に負けない新しい国造りを」

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