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第四話 丁未の乱

インタビュー小説というより寸劇・茶番になってしまいました。

 〇 用明(ようめい)天皇崩御


 用明天皇が病に倒れて仏法を信奉したいと欲しました。群臣らは協議するが排仏派の反対がありまとまりません。

 そんな中で次の大王を狙う穴穂部皇子(あなほべのみこ)は独断で僧の豊国を連れて来させます。

 排仏派の物部守屋(もののべのもりや)は激怒して地元の河内に帰ってしまいます。

 用明天皇はまもなく崩御しました。



 □ 587年 用明天皇は崩御した




――ゲストは引き続き蘇我馬子(そがのうまこ)と新たに厩戸皇子(うまやとのみこ)に来ていただきました。



厩戸皇子(うまやとのみこ)(以下「厩戸うまやと」)「僕なんかでいいんですかね。よろしくお願いいたします」



炊屋姫(かしきやひめ)「厩戸皇子はわたくしの甥ですの。家系図はこちらですわ」


        ┌ 炊屋姫  ― 竹田皇子

 欽明天皇  ┐│

       ├┴ 用明天皇 ―――┐

 蘇我堅塩媛 ┘          │

                  ├ 厩戸皇子

 欽明天皇  ┐          │

       ├┬ 穴穂部間人皇女 ┘

 蘇我小姉君 ┘├ 穴穂部皇子 

        └ 泊瀬部皇子

 


厩戸うまやと「大后は僕の父の妹で母の異母妹なのです」



馬子うまこ「厩戸皇子は大王家と蘇我氏のハイブリッド貴公子です」



――用明天皇が病に倒れました。仏法に帰依したいと願ってます。ですが、物部守屋(もののべのもりや)中臣勝海(なかとみのかつみ)らの排仏派が反対しています。



厩戸うまやと「父の願いを叶えてやりたい。素晴らしい仏の教えを否定するなんて、守屋も勝海も酷い人たちだ」



炊屋姫(かしきやひめ)「大王(用明天皇)は仏教に傾倒してますし、穴穂部間人皇女あなほべのはしひとのひめみこ小姉君(おあねのきみ)系の皇族の中では珍しく仏を信じていますわ。厩戸皇子は馬子(うまこ)叔父様と同じくらい仏教推しですの」



――群臣の意見が割れる中で穴穂部皇子が勝手に僧の豊国を連れて来ました。用明天皇に次の大王に指名してもらおうとの点数稼ぎです。



炊屋姫(かしきやひめ)「相変わらず考え無しですのね。そんなことをしたら穴穂部の後援者である守屋がどう思うのかしら」



――物部守屋は穴穂部皇子の行動に怒り、宮で孤立することを恐れて地元の河内に帰ってしまいます。



馬子うまこ「守屋がいなくなってやりやすくなった」



――用明天皇は豊国が来てすぐに崩御しました。



厩戸うまやと「父上………」



――大王の座は次の大王が決まるまで空位となります。後継者を決める群臣の会議の場に物部守屋はいません。ですが、後継者候補は少なく第一候補は穴穂部皇子でした。



炊屋姫(かしきやひめ)「穴穂部だけはありえませんわ!」



馬子うまこ「物部守屋は河内で兵を集めているそうです。武力を持って穴穂部皇子を大王として傀儡にするつもりでしょう。武力は穴穂部皇子を脅す目的もあるかと」



厩戸うまやと「仏敵の守屋は許せません!」



馬子うまこ泊瀬部皇子(はつせべのみこ)は物部守屋の後援を受けています。小姉君系の皇族には守屋の息がかかってますので。用明天皇の大后の穴穂部間人皇女あなほべのはしひとのひめみこも小姉君系ですのでこちら側と言いきれません」



炊屋姫(かしきやひめ)穴穂部間人(あなほべのはしひと)は問題ありませんわ。厩戸皇子がこちら側であれば敵にはなりませんわ。彼女は受け身の人ですもの。皇族の中での権威はわたくしと同等ですが、人の上に立つことを望む方ではありません」



馬子うまこ「では、守屋を討つように命じて下さい。守屋がいなければ穴穂部皇子が大王になる可能性は低くなります」



炊屋姫(かしきやひめ)「群臣に命じますわ。穴穂部皇子と泊瀬部皇子と物部守屋と中臣勝海を討つのです!」



馬子(うまこ)「ちょっと待て、次の大王を誰にするつもりなのだ」



炊屋姫(かしきやひめ)「わたくしの息子の竹田皇子がいますわ」



馬子(うまこ)「竹田の皇子は未だ十代の若者大王の重責は担えない。それでは大和が荒れる」



炊屋姫(かしきやひめ)「お黙りなさい! これは大王家の代表としての命令ですわ。蘇我馬子、直ちに彼らを討ちなさい!」



馬子(うまこ)「………泊瀬部皇子(はつせべのみこ)を調略する時間を頂きたい。あの方を大王とするのであれば味方は増えて大和は治まりましょう」



炊屋姫(かしきやひめ)「………よろしいですわ。わたくしは政治に疎いものですから馬子叔父様にお任せいたしますわ」



――蘇我馬子は泊瀬部皇子に対して次の大王に推すことを約束して味方に引き入れた。これで群臣の多くは蘇我馬子と炊屋姫の味方になったのである。



炊屋姫(かしきやひめ)「いよいよですわね。わたくしは穴穂部の首を所望いたしますわ。やっておしまいなさい!」



――蘇我馬子は佐伯連(さえきのむらじ)らに命じて穴穂部皇子を討ち取りました。その際に宅部皇子(やかべのみこ)も討ってます。



厩戸うまやと「宅部皇子はどなたでしたっけ?」



馬子(うまこ)「宣化天皇の皇子です。母親は物部氏ですので、守屋一派の皇族です。大王の継承権から遠いですが、一応は皇族なので敵方にいると問題なのでついでにやっておきました」



厩戸うまやと「仏敵なら仕方がないですね」



――泊瀬部皇子の裏切りと穴穂部皇子の死を知った中臣勝海は押坂彦人大兄皇子おしさかのひこひとのおおえのみこの元へ逃げ込みます。



炊屋姫(かしきやひめ)押坂彦人大兄おしさかのひこひとのおおえ………広姫の子で皇位継承上位の皇子ですわね。中立派を気取っていらしてましたけれど」



馬子(うまこ)「争いごとが嫌いなようですが、優柔不断とも言えますな。中臣勝海は追い出されたようです」



――押坂彦人大兄皇子に拒否された中臣勝海はそのまま討たれます。



炊屋姫(かしきやひめ)「残る敵は物部守屋だけですわよ!」






 〇 丁未(ていび)の乱


 587年7月、蘇我馬子は物部守屋追討軍の派遣を決定しました。厩戸皇子(うまやとのみこ)泊瀬部皇子(はつせべのみこ)竹田皇子(たけだのみこ)などの皇族や豪族らが河内国の守屋の館に攻め入ります。

 物部守屋は数度に渡り撃退しますが、多勢に無勢で官軍に押し切られて滅亡してしまいました。



 □ 587年 丁未の乱




――蘇我馬子は物部守屋追討軍の派遣を決定しました。物部守屋は一族を集めて稲城を築いて守りを固めます。稲城は稲を利用した砦で日本の史料で初めての城です。



馬子(うまこ)「防衛施設という点では弥生時代の環濠(かんごう)集落と同じでしかない。だが、軍事を司る氏の物部氏が本気で守りを固めると手ごわい」



――物部守屋は木の上に登り矢を射かけて官軍を迎え撃ちます。数で勝る官軍は物部軍に敗退しました。



馬子(うまこ)「一度引いて立て直す」



厩戸(うまやと)「仏に祈りましょう。仏法を守護する四天王の像を作ります!」



――厩戸皇子は白木から四天王の像を作り仏に祈りました。戦に勝った時には四天王を祀る寺を建てると誓います。



厩戸(うまやと)「我らには仏の加護が付いた。大王はアマテラスの子孫であり神は我らの味方である。物部は仏敵であり神敵であり罰が下るだろう。恐れるに足りぬ」



――アジテーションが上手いですねぇ。



馬子(うまこ)「皇子は敵にまわしたくないな」



――蘇我馬子は軍を立て直して進軍させると、大木の上で弓を構えていた物部守屋を迹見赤檮(とみのいちい)が討ち殺した。



厩戸(うまやと)「私に仕える舎人(とねり)ですよ。ここでしか出てこないので覚えなくていいですけど」



――守屋の軍は敗北して逃げ散った。戦いにおいて守屋の一族は尽く殺害された。



馬子(うまこ)「守屋の一族は族滅させられたが、物部氏は生き残っているぞ」



――物部氏の子孫は後に石上(いそのかみ)氏と名を改めて奈良時代には石上麻呂(いそのかみのまろ)が左大臣にまでなっています。



炊屋姫(かしきやひめ)「どうやら終わったようですわね。竹田皇子も無事で何よりですわ」



――こうして丁未の乱は終結しました。


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