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自鳴琴は静かに笑った  作者: おいしい麦茶
1/3

溶けた月

初投稿

「本日のニュースです。昨晩⬛︎⬛︎日、⬛︎⬛︎社が月に未確認生物を発見しました。」


  眉をひそめながらメモ帳とにらめっこをする。玉ねぎ、人参、豚肉。カレー粉は余っていたはず。本当にカレーは作るものに困った時に役に立つ。これほどまでに簡単で腹を満たせるものは無いのでないか。欲を言えば味を楽しむ余裕も欲しいところだが。少年は溜息をつく。

  毎日毎日こんな生活だ。


  少年は見慣れた道を進む。ほぼ毎日同じ時間帯に歩く道だ。ただ転ばないように、足元の段差を半分ぼーっと眺めたままで。顔を上げるのはせいぜい車の進行を司る赤い光があるところくらいだろう。そうするうち、足音が多く、人影が多くなっていく。彼の学校に着いたのだ。


  「HR始めるぞー。」と担任教師は言った。全てが聞き慣れた、見慣れた、言い慣れた日常を過ごす。共に談笑し合える友さえいれば。少年は今度は小さく溜息をつく。あいにく、そんな人はいない。常に家の事、成績のことを考えてきた少年には、きっかけを作る時間さえなかった。


  「えー、連絡だ。今日から転校生が来る。入ってきてー。」やる気のないだらけた教師の声が、やけに色鮮やかに聞こえた。唐突な風にクラスがざわめく。扉のガラガラとなる音が彼らを静かにした。入ってきたのは、白髪で整った顔立ちの、すらっとした少女だ。白髪?あるびおとかいう病気なのか?ともかく、あんななりではモテて大変だろうな。そんな嫉妬じみた思考を嫌煙しながら彼女の発する言葉に耳を傾ける。

兎走(こばしり) 香林(こうりん)です。よろしくお願いします。」やけに冷めた自己紹介は拍手の嵐で終わった。


短編を少し書いていくという感じで毎日投稿(できたらいいな)していきます。

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