ひみつきちアドベンチャーズ
某ゲーム会社のシナリオライターに応募する際に提出したものです。
架空のゲーム企画を設定し、そのノベライズをイメージして作ったものです。
真夏だ。白い太陽が眩しくて僕は目を細める。肌はじりじりと焼かれているのに、汗がじんわりとにじみだし、ランドセルと背中の間がびしょびしょになる。空は一年で一番青くて、入道雲は巨人みたいに立ちはだかっていた。アスファルトはいつもより黒くて、妙な、だけど嫌いじゃない匂いを立ち昇らせている。
小学校に入って四回目の夏休み前日、最後の授業を終えて、僕はリクとハルキと下校していた。石ころを蹴りながら、帰り道の土手を行きながら、僕たちは冒険の計画を立てている。
「懐中電灯は全員持ってるとして、他に何がいるかな?」
僕はリクとハルキの顔を見比べる。リクは僕よりも頭一つ分背が高くて、丸々としている。大抵の運動は僕が勝つけれど、力比べとなると敵わない僕らの戦士だ。
逆にハルキは僕よりも頭一つ分背が低くて、ほっそりしている。運動は苦手だけれど、勉強では何一つ敵わない僕らの参謀だ
「お菓子がいるな」とリクは真面目くさった顔で言う。
「今夜は冒険だけだって言ったろ」と僕は指摘する。
「冒険じゃなくて下見な」とリクに訂正される。
「下見の冒険さ」と僕は少しだけ譲る。「それにまだ材料集めもしてないんだから」
「今夜? 今夜は無理だよ」とハルキがアピールするようにぴょんぴょんと跳ねる。「僕、家族で出かける用事があるんだ」
「え? そうなの? じゃあ明日?」
「あ、俺、明日からは無理だぜ」と今度はリクだ。「二泊三日だからな」
「ああ、そんなこと言ってたっけ。え? じゃあ三人揃うのは四日後? なんだよー」
一人だけ浮かれていたのが少し恥ずかしくなった。
「まあ、いいんじゃね? 夏休みは長いんだしよ」とリクはお気楽に言う。
「たかが一か月、されど一か月だよ」と僕は不平をこぼす。
「まあまあ、リクのお土産を楽しみにしとこうよ」とハルキが厚かましいことを言う。
「ええ? お土産なんて考えてなかったぜ」リクは苦笑しつつも真面目に土産について考えているようだった。「っていうかハルキ、前に旅行に行ったって言ってたけどお土産なんて貰ってないぞ」
「え? そうだっけ?」とハルキは白々しいことを言う。
「そうだって」と言ってリクがハルキの脇腹を小突く。弱点なんだ。
負けじとハルキもやり返すがリクは別にくすぐったくないらしい。いつもの光景だけど、その日は少ししくじった。いつもより中身の多いランドセルに小柄でくすぐったがりなハルキはバランスを崩し、土手の向こうへと落ちかける。慌てて僕が手を伸ばしてつかんで引っ張ると勢い余ってくるりと回転し、僕のほうが藪だらけの河川敷に転げ落ちてしまった。
全身を打ってくらくらしたし、傷だらけになったけれど、絆創膏が増えるほどの傷じゃない。これくらいは慣れたものだ。
リクとハルキの呼ぶ声が聞こえて起き上がる。土手の上を見上げようとしたけれど、藪が屋根のように覆っていた。そこはドーム状の空間になっていた。秘密基地に良さそうだ、と思ったが地面の感触に気づく。段ボール紙が敷かれている。いや、元々箱状だったものを落ちた拍子に踏み潰したらしい。既に誰かが秘密基地を作っていたのか、あるいはホームレスか分からないけれど、そうだとしたらまずいことをしたのは間違いない。
僕は慌てて段ボールを元の形に戻そうとするが、勘違いだったらしいことに気づく。ただの段ボール箱だ。つまり何かを建築していたわけではなく、素の、元の状態の段ボール箱で、犬猫でもなければここで雨風を凌ぐことはできない。
「おい! 何をしているのだ!」と怒鳴られ、僕は飛び上がった。
子供の、つまり僕よりずっと子供の甲高い声が聞こえた。声の聞こえたほうを振り返ると犬でも猫でもないがモフモフした生き物が黄色い目でこちらを見つめていた。短い脚だけど二足歩行をしている上に、マントのようなものを羽織っている。何より犬猫にしては大きく、僕と変わらない背丈だった。
「え? 何? 着ぐるみ?」
「あ! オマエ! それ!」
「あ、いや、これは違くて。わざとじゃないというか」
奇妙なモフモフは毛に覆われた顔でも表情の変化がよく分かる。怒っているに違いない。
僕は立ち上がろうとするが足首の痛みでもんどりうつ。膝立ちをしていて気づかなかった。落ちた時に捻ったらしい。
「赤くなっているじゃないか」
モフモフは僕の目の前までやってくると腫れた足首を肉球で撫でる。
「力を分け与え給え。我が礎石よ」と呟く。
するとモフモフが首にかけている青い宝石が淡く光り、それと同時に僕の足首の持っていた熱と痛みと腫れが引いていった。ミントでも塗り込んだかのような爽やかな感覚が足首を包み込んでいる。
「な、なにをしたの? 足がひんやりする」
「癒したのだ。怪我をしていては我が家から出て行ってくれないだろうからな」
「すごい! 君も! その石も! あ、治してくれてありがとう。でも、一体君は何なの? どこから来たの?」
「分からない奴だな。さっさと……。ん?」
モフモフは段ボール箱に目をやって何かに気づく。もうぺしゃんこではないが、しわだらけで、穴が空いている部分もある。何があったかは明らかだ。
モフモフは呆れた様子で溜息をつき、僕を睨みつける。
「ごめん。わざとじゃないんだ。土手から転げ落ちて――」
「さあ、まだ用があるのか? 次は段ボールを引き裂くか?」とその生き物はさえぎる。「オレサマはこれから忙しいんだ。急に修繕作業の仕事が入ったのでな」
「手伝うよ! 手伝わせて!」
「いいや、必要ない。それにオマエもそろそろ行かなければいけないんじゃないか?」
何のことかと思った矢先、リクとハルキが呼ぶ声が聞こえた。階段から回り込んで河川敷に降り、この藪を掻き分けて、こちらに向かっているようだ。
「リクとハルキもきっと手伝ってくれるよ」
そう言って僕は藪の隙間から這い出て、リクとハルキのほうへ手を振る。
「おーい! こっちに来てくれー!」
「やれやれ、勘弁してくれ」とモフモフが言ったのが耳の端っこのほうで聞こえた。
リクとハルキを伴って、再び藪の中に入るとモフモフはいなくなっていた。
「あれ? どこ行った?」
「誰かいのか?」とリクも大きい体を縮めて藪の中を覗く。
「ここにいたんだよ。さっきまで話してたんだ。犬か猫みたいなモフモフした生き物と」
「俺はお前が嘘をついているとは思わないよ」とリクは言う。
「でも頭を打って夢を見たのなら嘘じゃない」とハルキが言うとリクも頷く。
家に帰って、夕食を食べて、風呂に入って、パジャマに着替えて、歯磨きをして、さあ、寝ようかという時には僕自身も昼間のことは夢のように思えてきた。窓から見える星々よりもずっと不確かな、霧の中での出来事だったように思えてきた。頭を打った覚えはないけれど、もしかしたら熱中症だったのかもしれない。犬も猫も喋らないのだから犬や猫のような生き物だって喋らないはずだ、と納得することにする。
その時、家の外から騒ぎが聞こえた。犬か猫のような動物が甲高い声で喚いている。それも動物園でも開けそうなほど沢山の鳴き声だ。
僕は急いで道路に面したカーテンを開いた。僕の部屋は二階にあって、その騒ぎが丁度目の前を通りかかったところだった。モフモフだ。昼間のモフモフに似た奴らが群れを成して家の前を通り過ぎていく。道路だけではない。塀の上や、屋根の上を物々しい数の不思議な生き物がどたどたと走り抜けていく。その群れを率いているのは昼間のモフモフ本人だ。
だけど僕はふと気づく。見ようによっては群れから逃げているように見えないか、と。
確信は持てなかったが僕は急いで本棚の上に飾っていた良い感じの棒を握る。神社の林で見つけた滑らかな棒で僕のお気に入りの一振りだ。刀のような長さで良い具合に反っている。そしてベランダでサンダルを履き、雨どいを伝って一階へと降りた。
モフモフな生き物たちはそんなに足が速くなかった。何と言っても二足歩行だし、身長は近いが足の長さは幼稚園児並だ。住宅街を抜け、大きな道へと出た辺りで最後尾に追いつく。
不思議なことに人や車の行き来があるのに誰一人その生き物たちに注目していなかった。見えていなければ、聞こえてもいない様子だ。まるで少し強い風が吹いただけであるかのようにやり過ごしている。
だけど僕自身のことは皆にも変わらず見えているようで、パジャマにサンダルで一人棒きれを持って道を駆ける自分の姿は変に見えるかもしれないと気づいた。だからといってまだ家に戻る気はなかったけれど。
僕はモフモフたちをかき分けて、先頭を走る顔見知りのモフモフに追いつく。
「ねえ!」と僕は声を張って呼びかける。「逃げてるのなら追い払おうか?」
「オマエ! 子供がこんな時間に出歩くんじゃない!」
「何だよ。お父さんみたいなことを言って。一人で逃げ切れるの?」
「いや……」
その言いよどみを答えと受け取って、僕は棒切れを振り回す。モフモフたちはギャッと悲鳴をあげて僕たちから距離を置く。でも逃げていくつもりはないようだ。彼らもまた武器を持っていた。僕のよりもずっと良い感じの棒だ。
「この棒の威力を見せてやる!」そう叫んで僕は空高く棒を投げ上げた。
モフモフたちは警戒し、某の行方を目で追う。その棒が地面に落ちた時には僕たちはもうその場からいなくなっている。少し惜しかったが、良い感じの棒はまたすぐに見つけられるだろう。
「まずは礼を言おう。助かったよ。キミ、名前は?」
「ユウト。君は?」
「ハイダー。ハイドアウト地下王国の正統後継者だ」
僕たちは家の近くの公園でブランコを揺らしながら言葉を交わす。たぶん、他人から見たら僕は独り言を言っているように見えるのだろうけれど。
夜になっても蒸し暑い。毛皮を着ているひとには向かない季節だ。街灯に羽虫がたかっている。ハイダーたちは何を食べるのだろう? 虫じゃないと良いけど。
「ハイドアウト? 地下王国? セイトウコウケイシャって?」
「簡単に言えば王子だ。今となっては元王子、だがな」
「すごい! 地下に王国があるの?」
「ああ、素晴らしき我が故郷だ。が、オレサマは追放された。親友だと思っていた男シーカーの裏切りによってな」
その憎しみは毛に覆われた顔を通してもよく伝わった。
「追放されたのにどうして追われているの?」
「ああ、ユウトは察しが良いな。これだ」そう言ってハイダーは胸元の首飾りを持ち上げてみせる。
青い宝石が公園の街灯に照らされて輝いている。
「ソセキだっけ? 大切なものなんだね?」
「そう、国宝だ。あらゆる癒しの力がこの小さな石に詰め込まれている。誰にでも使えるが、使う者次第では不老不死さえも実現するという秘密の石だ」
僕は驚く。うっかり漏らしたにしても大胆だ。
「そんなこと僕に話してもいいの?」
「ん? ああ、そうだな。話すべきではなかったかもしれない。まあ、いいさ。そうだ。助けてくれた礼をしよう。昼間は気づかなかったが、ユウトはわんぱくなようだ。絆創膏だらけじゃないか」
「いいよ、別に。またすぐに増えるし」
「遠慮するな。手間はかからん」
ハイダーが僕のお腹を撫でると、昼間と同様に爽やかな風が臍から吹き込み、体の中を吹き抜けて全身に広がった。早速、そっと絆創膏をめくってみると、何もなかったかのように真っ新になっていた。
「ではな。もう夜に出歩くんじゃないぞ」
「どこに行くの?」
「そうだな。隠れられて、平穏に生活できるどこか、差し詰め安息の地だな」
「地下王国を取り戻そうとは思わないの?」
「ああ、恨みはあるが未練はない。元より静かな生活が好きなんだ。地上は、少し騒がしいが、輝かしい太陽も爽やかな風も素晴らしい。ではな、ユウト」
そこまで話してようやく僕は気づいた。あの河川敷の藪の中に帰るわけではないということに。僕があの家を壊してしまったから。
「もしかして家を修繕するために出かけて、見つかったの?」
ハイダーは目を丸くして僕の顔を見つめる。
「ユウトは察しが良すぎるな」
「そんなんじゃないよ。僕たちもよく秘密基地を作るから。材料探しをしてるんだ。今度も……。まあ、それはともかく今夜はうちに泊まりなよ。明日から夏休みだし、君たちは他の人間には見えないみたいだし、しばらくは大丈夫だよ」
ハイダーは少しためらったが、長くはためらわなかった。
「そうだな、厄介になろう」
「うん。じゃあ帰ろう」僕はハイダーを案内するために前を歩く。「そういえば君たちって何を食べるの?」
「ん? 特に人間とは変わらないはずだ。最近は魚を釣って糊口を凌いでいたが」
「そう、良かった」
虫は苦手ではないけど、お腹がいっぱいになるほど集めるのは大変だっただろう。
次の日、夏休み初日から僕たちはともに出かけ、ハイダーのために新たな隠れ家、安息の地になりそうな場所を探した。僕としてはいつまでいてもらっても構わなかったけれどハイダーは遠慮した。シーカーの部下が家にやってきては困るだろう、と。
時折見かけるシーカーの部下の目をかいくぐり、時に棒で追い払い、材料になりそうなものを回収しては、一目につかない場所を求めて街をさまよった。安息の地はそう簡単に見つからない。
雑居ビルの屋上はどうだろう、と適当な建物を上って行く。しかし鍵がかかっていて出入りできそうにはなかった。
「仕方ないね。でもどこかに鍵がかかっていない所もあるんじゃないかな? ああ、でもその場合は人の出入りがあるってことか。難しいな」
「まあ、待て。見てろ」
ハイダーが鍵のかかったドアノブを両手で、両肉球で挟んで捻るとなぜか扉が開いた。
「すごい! それもソセキの力?」
「いや、これはオレサマの魔法だ。オレサマは王国一の魔法使いでもあったからな」
その屋上には貯水槽の他には何もなく、貯水槽を屋根代わりにするには少し低すぎた。
「段ボール箱が雨でぐちゃぐちゃになっちゃうね」
「雨は苦手だ。まさか地上にも降るとは思いもよらなかった」
「え? むしろ地下に雨が降るの? 何で?」
「何でも何も天井の土から染み出してくるんだ。雲と同じだろう? 小さな隙間も通ってしまう」
少し違うと思うので、僕は理科で習った知る限りの雨の仕組みについてハイダーに教えた。ハイダーはとても感心した様子で熱心に聞き入り、気になったところは質問する。全てを答えられなかったことが少し悔しかった。
次に選んだのは地下駐車場の機械室だ。またハイダーの魔法で忍び込んだのだけど、機械はとてもうるさかった。会話もままならない。それに危険そうだ。そこにかかれている文字によると空調や水道のための機械らしい。これではとても静かな生活を送れそうにない。
「水がすぐそばにあるのは悪くないんだが」とハイダーは少しだけ惜しんでいた。
次に選んだのは商店街のアーケードの上だ。ハイダーの魔法がなければ梯子には手が届かず、南京錠を破ることもできなかっただろう。
「何もないじゃないか」とハイダーはがっかりする。
点検用らしい通路があるだけだ。
「それに意外と人目があるね」
商店街を挟む左右の建物から丸見えだ。
「どうしてここに来たんだ?」
「そもそも見たことないから、何もないってことを知らなかったんだよ」と言い訳し、聞こえないように本音を囁く。「……あと単純に上ってみたかった」
「聞こえているぞ。まあ、いい。今日のところはこれくらいにするか」
真夏だから日はまだ高いが、僕の家の門限は明るさに関係なく時間で決まっている。
「そうだね。まあ、まだ初日だし、直ぐに見つかるよ。あ!」
ハイダーと同じ生き物が、裏切り者のシーカーの部下たちがアーケードの上へと這いあがってきた。
僕たちはシーカーの部下に追い回される。真っすぐに家に戻るわけにはいかないので、あの土手のほうへと逃げていった。相手にすればきりがない。
土手につく頃には追っ手を撒くことができた。まるでスパイ映画みたいな追走劇に興奮し、走り回ったお陰で二人とも息を切らす。土手の河川敷側に身を隠し、息を整える。
「さあ、今度は慎重に見つからないように帰らなくてはな」
「うん」僕は顔をあげ、あるものに気づく。「そうだ! もう一か所見に行かない?」
「もう門限だろう? 親御さんを心配させるぞ」
「すぐだから」
ハイダーはちらと太陽のほうを見る。
「少しだけだぞ」
僕が思いついたのは下見の冒険を予定していた場所だ。橋の下に入り口のある、もう水が通っていない地下水路だ。一足先に冒険してしまうのはリクとハルキに悪いと思ったけど、事情を話せばきっと許してくれることだろう。それにずっと前から目を付けていた秘密基地候補地だ。きっとハイダーにとって良い隠れ家になるはずだ。
元々金網フェンスを乗り越えるつもりだったがハイダーの力で簡単に通り抜けられる。誰にも見られていないことを確認し、僕たちは地下水路へと足を踏み入れる。
真っ暗だ。
「光で照らす魔法はないの?」
「あまり使わないからな。今日は持ち合わせていない。我々は夜目が効くんだ」
「そうなんだ。まあ、僕にはこれがあるけどね」
僕はもったいぶって胸ポケットからペン型の懐中電灯を取り出し、地下水路を照らす。
「ほう、素晴らしい魔法だな」
「魔法じゃないよ。冒険者の七つ道具さ」
僕たちは用心して地下水路を進む。まさかシーカーの部下が飛び出してくることはないだろうけれど、暗闇は恐ろしい。少しかび臭かったがハイダーは気にしていないようだった。水の流れる音が聞こえる。反響するせいか妙に近くに聞こえ続ける。
しばらく歩くと光の差し込む場所に出た。天井に金属の蓋がある。たしかグレーチングとかいうやつだ。元は水路が集まっていた交点らしく広々としている。
そこは土が降り積もっており、緑に覆われていた。タンポポまで咲いている。耳を澄ましても天井の上から人の声や足音は聞こえない。どこかの空地の下なのかもしれない。かび臭さもここではほとんど減っている。端のほうならば雨に濡れる心配もない。
「秘密基地にぴったりだよね」
「隠れ家だ」
さっそく翌日から秘密基地作りを始めた。色んな場所で段ボール箱や木切れを回収し、ゆずり受け、廃品の家具を運び出した。時にはお小遣いを使ってガムテープや荷造り紐、釘などを買い、家から大工道具を持ってきた。
ハイダーの魔法も大いに役立った。テープや紐が蛇のように這い出して材料を縛り上げるように固定したり、金槌やペンチを軽々と扱えるようになった。何より、消耗品が使っても使っても尽きなくなったのはありがたかった。
僕とハイダーは力を合わせて秘密基地を建設する。できるだけ立派で頑丈で、もしもシーカーの部下がやって来ても追い返せるような強力な秘密基地だ。
ハイダーのほうはここを安息の地とするべく、快適な生活ができるような工夫をしていた。どうやって稼いだのか知らないが、花や野菜の種を買ってきてプランターに植え、僕には一生かけても読めそうにない量の本や新聞を集めていた。
「あとは電気でも引けたなら十分なんだが」とハイダーが呟く。「今は電池で我慢するとして、そのうち発電機でも買うか」
「すごいね。家電まで置ける」
ハイダーは不思議そうに首を傾げる。
「ユウトの家だって電気を引いていたじゃないか」
「それは、そうなんだけど。……まあ、そうだね」
僕は反省する。秘密基地は遊びだが、ハイダーにとっては大事な生活の一部なんだ。
一日かけてハイダーの安息の地を充実させた。最後には飾りつけも手伝い、完成させる。
「ここまでしてくれるとは思わなかった」とハイダーが感心する。
「代わりにたまに遊びに来るからね」
「ああ、その時はもてなそう」
「ということがあったんだ」と僕は真剣に説明する。
旅行から帰ってきたリクとハルキと秘密基地建設予定地の下見の冒険する予定だった日、僕はこの何日かに起きたことを全て二人の友達に教えた。
炎天下、汗をぬぐいつつ河川敷へと三人で向かう道中のことだ。お小遣いをはたいて数日分のお菓子を買い込み、今日の分のジュースは既にあけている。
二人は僕の話を聞いても渋いような苦いような顔をするばかりだ。
「信じられないんだけど」とハルキが言うので、僕は素直に頷く。
「そうだよね。でも見れば分かるし、いきなりハイダーやもう出来上がった秘密基地を見て驚かせたくなかったんだ。いや、驚かせたほうが面白かったかな?」
「猫みたいな犬みたいな知らないおじさんに騙されてないか?」とリクが疑う。
「ハイダーの年齢は知らないけど、お兄さんって感じだったよ」
結局言葉では信じてくれなかった。ともかく見れば分かることだ。
金網フェンスには南京錠がかかっている。素通りできるのはハイダーだけだ。三人はフェンスを乗り越え、枯れた水路を奥へと進む。
昼間でも真っ暗な地下水路を懐中電灯で照らして、突き進む。リクもハルキもおっかなびっくりで僕は少し羨む。もう何度も行き来しているので冒険気分は色褪せてしまった。まだ調べていない水路もあるので、その内新たな地を求めて探索するのもいいかもしれない。
もう少しで秘密基地にたどり着くというところで足に何かがひっかかった。途端にガラガラとうるさい音が地下水路に反響し、リクとハルキ、そして僕も叫び声をあげる。
「何の音!?」とリクがわめく。
「これだ!」とハルキが懐中電灯で指した先に、地面より少し空中で紐に吊るされた空き缶が並んでいた。「鳴子ってやつだよ。ユウトが仕掛けたんじゃないの?」
もちろん僕ではない。でなければ引っかかったりしない。
「ハイダーが仕掛けたのかな。たぶんシーカーの部下がやって来た時に備えたんだと思う」
「じゃあ今頃ハイダーは逃げてるか、もしかしたら襲い掛かってくるかもしれないぜ?」
「確かに」僕は耳を澄ませ、秘密基地のほうから何か聞こえないかと集中するが静まり返っている。留守の可能性もある。「ハイダー! 僕だよ! ごめん! 罠に引っかかっちゃった!」
溜息をつけるくらいのほんの少しの間を開けて、「驚かせるんじゃない!」という声が響いてきた。
「本当に誰かいるんだ」とハルキが呟く。
僕たちは秘密基地、隠れ家、ハイダーの安息の地へとやってくる。前に見た以上に強化されている。コンクリートブロックで物々しい塀が築き上げられている。
「入っても大丈夫?」と僕が声をかけると、前には無かった鉄柵の門の向こうにハイダーが現れ、扉を開いてくれた。
「よく来たな、ユウト。……と、誰だ?」
ハイダーはあからさまに警戒心をあらわにする。
「僕の友達だよ。リクとハルキ」そしてリクとハルキにも改めて紹介する。「このひとがハイダー。ね? 言ったでしょ?」
リクもハルキも目を丸くしている。しかしもう信じないというわけにはいかないはずだ。
「こ、こんにちは、ハイダーさん」とハルキが挨拶するが、ハイダーは返さない。
「どうかしたの? ハイダー?」と僕が尋ねるとハイダーは首を横に振る。
「いや、何でもない。よく来た。さあ、入ってくれ」
前に来た時よりも緑に溢れている。それも雑草ではなく、花や野菜が整然と並んでいた。
「もう育ったの!?」と僕が驚くとハイダーは笑う。
「そういう魔法もあるというわけだ。何か飲むか? 沸かさなくてならんから時間がかかるが」
「お土産があるよ。お菓子とかジュースとか」
「そりゃいい」
隠れ家の中もさらに充実していた。見覚えのないベッドやソファの他、カレンダーや時計といったこまごまとしたものもある。もう長い間住んでいるかのようだ。それに対シーカーの部下用の武器らしい木刀やバットが壁に並んでいる。
「すっかり馴染んでいるみたいだね」
「ユウトのお陰だ。君は手伝ってくれたからな」
妙に引っかかる言葉だったが、その時は僕も気にしなかった。
「地下王国の王子様って本当ですか?」とハルキが興味津々で尋ねる。
「ああ、そのことも話してしまったのか」とハイダーは呟く。
「ごめん。秘密だった?」
「いや、だが追われている身だからな。どこから漏れるとも限らん」
その言葉には僕も少し苛立った。
「話しちゃいけないならもう誰にも話したりしないよ。僕も、僕の友達も」
「ああ、そうだろう」ハイダーの声色はとげとげしい。「もう話してしまってるんだからな」
「おいおい、喧嘩しないでくれよ」とリクが仲裁する。
「実際、呼ばれてきたわけじゃないしね。おいとましよう」とハルキが提案する。
「そんなのおかしいよ」と僕は言い返す。「元々僕たちが秘密基地を作るつもりの場所だったんだ」
「だから我が家で我が物顔しても構わないって? そう言ってるのか?」
「我が物顔なんてしてない!」
「言っただろう? 静かな生活が好きなのだと。ユウトなら、ユウトだけなら歓迎したさ。得体のしれない二人の人間を引き連れてくるとは知らなかったからな」
「僕の友達だよ!」
「オレサマの友達じゃあない!」とハイダーも怒鳴り、背を向ける。「……いや、友達とて信用できるものか」
ハイダーが親友だった男シーカーに裏切られたのだということを僕は思い出した。僕のことも裏切り者だと思っているのだろうか。
その時、けたたましい音が秘密基地に、地下水路に鳴り響く。空き缶製の鳴子の音だ。どうやら長い紐を伝って、この秘密基地内部でも鳴り響くように設計されているようだ。
ハイダーは飛び上がって壁にかかっていた木刀を握り、階段を駆け上がって行く。階段があることには今気づいた。
僕も追って、屋根の上へとのぼる。そこには手づくりの弓矢まであった。
「友達はあと何人いるんだ?」とハイダーにきかれる。
「他にもいるけど、このことを話したのはリクとハルキだけだよ」
「じゃあ姿を見られたんだな」
「そんなはずは……」と言ったが、ハイダーと共に秘密基地を建設した時よりも警戒心が薄かったのは事実だった。
「お前たちは逃げろ。水路の上に番号が振ってある。三番から別ルートで地上に戻れる」
「友達を置いて逃げやしないよ」と言って木刀を取りに戻ろうとするとハイダーが呼び止める。
「待て! お前は良くてもあいつらは無関係だろう?」
「そんなことないさ」と屋根に上ってきたリクが手にバットを持って言う。「友達を置いて逃げやしない。それは俺たちも同じだぜ? な? ハルキ?」
「友達とみんなで逃げるって案もあると思うけど」そう言いつつもハルキも木刀を握っていた。
ハイダーは観念した様子で弓を構える。
「ここから援護する。塀を乗り越えさせるな」
僕は階段を駆け下り、武器を握る。残っていたのはバトミントンのラケットだった。
ブロック塀のそばには物見台のようなものがあり、沢山の石ころが用意されていた。投げて当てろ、というわけだ。
僕たちは鉄柵の門のそばに用意されていた土塁を積み重ね、三人で物見台にあがり、待ち構える。
現れたのはやはりハイダーと同じ種族だ。モフモフとした毛皮を着た二足歩行の生き物。しかし今回は鎧のようなものまで着込んでいた。
僕たちは手当たり次第に石ころを投げまくる。鼻に当たって鼻血を噴き出す者、踏んづけて転げ、鎧の重みで立ち上がれない者が続出する。とどめのようにハイダーが放った矢は粉をばらまき、そこら中でくしゃみを引き起こす。胡椒を仕込んでいたらしい。
シーカーの部下たちは中々近づけず、ひとりふたり塀までたどり着けても鉄柵の門を押し破ることはできなかった。
水路にくしゃみと悲鳴が響き渡り、シーカーの部下たちの勢いも弱まり、文字通り尻尾を巻いて逃げ出す者も出た。
僕たちの勝利だ、と思った矢先、猛獣のような怒声が響き渡る。
「情けねえ奴らだ! たった一人相手に何してやがる!」
通路の奥から現れたのはシーカーの部下たちよりも一回りも二回りも大きい赤いモフモフだった。立派な体で、倒れている部下たちを踏みつけながらのしのしとやってくる。
僕と目が合う。他と同じ円らな瞳だが、鼻面が長くて狼っぽさがある。
「なるほど。噂に聞いた協力者ってやつか。いや、だが二人多いな。おい! お前ら! 死にたくなけりゃハイダーと礎石を引き渡せ! 臆病者のハイダーはそこに隠れているんだろう!?」
「これが答えた!」と僕は石ころを投げるが赤いモフモフは肉球で軽々と受け止めた。
「なるほど。分かりやすい答えだ。いいだろう。俺はシーカー様の第一の部下! スラッパー! 俺に楯突いたこと、後悔するなよ!?」
突撃してくるスラッパーに僕たちは石ころを投げまくるが、まったく意にも介さず、とうとう唯一の入り口の鉄柵の門を破られる。ものすごいパワーだ。
僕たちは物見台から飛び降り、その勢いでスラッパーに殴りかかるが、全て肉球で受け止められてしまう。
「邪魔くせえなあ、小僧ども。どうやら俺の肉球の餌食になりたいらしい」
「離れろ!」ハイダーの合図で僕たちが飛び退くと胡椒矢がスラッパーの顔面で炸裂する。
「てめえ!」スラッパーはくしゃみの合間に悪態をつく。「小僧どもを矢面に立てて、そんなところに隠れてやがったか! 臆病者め!」
「オレサマは逃げも隠れもするが友達を見捨ても裏切りもしない! さあ、かかって来い!」
「そうかよ。だが、お前の相手の前にまずこいつらだ!」
続けてスラッパーに飛び掛かって僕たちはものの数秒でその肉球に吹き飛ばされ、転がされた。立ち上がろうとするが痛みで気持ちがくじかれる。
「ざまあねえぜ! お前らはそこで見ていろ。ハイダーが無様をさらすところをな」スラッパーは高笑いをする。「さあ、腰抜け! 今度こそお前の番だ!」
「喰らえ!」
ハイダーが新たに放った胡椒矢はスラッパーにひょいと避けられ、僕のそばで炸裂した。胡椒の粉末が目と鼻を刺激してくしゃみと涙が止まらない。足の痛みでその場から離れることも出来ない。
スラッパーが嘲るように大笑いする。
「おいおい仲間割れか? それとも小僧どもを裏切るのかよ、ハイダー?」
「ほざけ! 今引き裂いてやる! スラッパー!」
ハイダーは木刀を構え、何か呪文をとなえる。すると木刀が不思議な光を帯び、地下水路を明るく照らす。
「やってみろ! ハイダー!」
ハイダーが飛び降り、スラッパーの脳天に木刀を振り下ろす。が、その前にスラッパーの剛腕がハイダーの首を捕まえ、木刀は弾き飛ばされた。
「口だけ達者でもこんなもんだ。俺の腕っぷしには敵わねえのよ」
首を絞められるハイダーは声を絞り出す。
「シーカーに伝えろ。お前の野望は叶わないとな」
「そりゃ遺言か? まあ、いいさ。一番は礎石だ」スラッパーはハイダーの胸元のモフモフを探る。「おい、礎石をどこに隠した? そのボロ小屋の中か?」
「あれだけいた。お前の部下は誰一人助けに来ないな」
「は? 何の話だ。俺によええ奴の助けなんていらねえんだが?」
僕たちは、僕とリクとハルキはスラッパーの背後まで静かに迫ると思い切り振り上げた武器を赤い毛のモフモフに叩き込んだ。スラッパーは気を失い、その巨体が沈む。
「上手くいったな」とハイダーがスラッパーの巨体から這い出ながら言う。
「何で胡椒ごと矢をはなったの?」
僕は不平をこぼしつつ、ハイダーに青い宝石、礎石を返す。胡椒矢の炸裂と同時に僕のそばに転がったので、自分とリクとハルキの痛みを癒し、スラッパーの隙を突いたのだ。
「敵を騙すにはまず友達からだ」とハイダーが悪びれずに言う。「それと、ありがとう。ユウト、リク、ハルキ。一人では敵わない相手だった。そして先ほどの非礼を詫びたい。すまなかった」
「良いってことよ」とリクがハイダーの肩を叩く。「友達の友達は友達ってやつだぜ」
「僕たちのほうこそ急に押しかけてごめんなさい」とハルキが謝る。僕とリクも一緒に謝る。
「それで、これからどうするの?」僕は答えを聞くのが不安だったが聞かずにはいられなかった。
「そうだな」ハイダーは寂しそうに打ち破られた鉄柵を見つめ、地面に倒れるスラッパーを見下ろす。「ここはばれてしまった。別の地に移らざるをえまい」
寂しさと悔しさに僕の気持ちは沈んでしまう。せっかく協力して作ったのに、これからハイダー、リク、ハルキと遊ぶ毎日を楽しみにしていたのに、全てが台無しになってしまった。
「どうした? 何を落ち込んでいるんだ」ハイダーは思いのほか陽気に言った。
僕たちを慰めるハイダーの気持ちのために、より深く申し訳なさを感じる。
「僕のせいでシーカーの部下に見つかったのかもしれない」
「そんなこと言うなよ。友達だろ? 共に行こうじゃないか、新たな秘密基地探しの冒険に!」
読んでいただきありがとうございます。
以下は以上の小説のたたき台として設定した架空のゲーム企画です。
「ひみつきちアドベンチャーズ」
コンセプト:本作はジュブナイル要素、秘密基地作りを加えたファンタジーRPGです。
ターゲット層:児童及び成人男性。親子。現代では秘密基地作りも難しいであろうことから児童を、またかつて秘密基地を作った大人に懐かしさを感じてもらえるようなものを考えています。
概要:コンシューマーゲームを想定しています。
基本的には3Dを想定していますが、2Dでもゲーム性にはあまり影響しません。
主人公は子供たちであり、大人にとってはありふれた日常的な街や目に届かない裏路地、立ち入り禁止区域などを冒険するロールプレイングゲーム(以下RPG)です。
独自の要素として、一般的なRPGのように冒険する冒険モードと、プレイヤーが陣地(以下秘密基地)を制作するモード、秘密基地に敵がやってきて迎撃するモードを想定しています。
冒険モード:基本的には一般的なRPG同様に未知のエリアを探索し、いわゆる雑魚敵を倒して突き進むモードです。ただしこのゲームにおいては秘密基地を作る場所探し、及び材料探しを主目的とします。場所を見つけ、最低限の材料が揃えば、秘密基地作ることになり、秘密基地作りモードへと移行します。
秘密基地作りモード:冒険の中で見つけた場所に秘密基地を制作することが出来ます。要素としては、迎撃モードの発生頻度や迎撃する際の有利不利、秘密基地の形状等に影響する地形など、またどのような秘密基地を作るかで迎撃モードや冒険モードの有利不利への影響を考慮して、プレイヤーは秘密基地を制作します。
しかし時間経過や冒険モードでの成績、秘密基地を制作した場所やカムフラージュ性能によっていずれ敵に見つかり、迎撃モードへと移行します。
迎撃モード:プレイヤーが制作した秘密基地に敵がやってくるボスバトルです。基本的には冒険モードの戦闘に加え、秘密基地の性能や地形などが影響を与えます。タワーディフェンスゲーム的な要素が近いものと思われます。
秘密基地が秘密でなくなったために、プレイヤーは新たな秘密基地を作ることになり、冒険モードへと移行します。
世界観:現代日本のありふれた街の少年少女が主人公です。主人公たちはある日、子供にしか見えない不思議な生物ハイダーに出会います。主人公はハイダーと友達になりますが、ハイダーを狙う敵シーカーが存在します。シーカーはハイダー同様に子供たちにしか見えず、子供たちはハイダーを守るために立ち上がります。
プロット:応募用提出小説として主人公の前日譚を制作します。
1主人公の紹介。ハイダーとの出会い。
ある日、放課後の学校帰り、土手で主人公は友人とじゃれ合っていると誤って河川敷に転げ落ちる。(その時、段ボール箱を破壊する)。主人公は怪我をするが、不思議な生物ハイダーが癒してくれる。主人公と友人はハイダーと友達になる。
その夜、主人公の家の前をハイダーが走って逃げる姿を見つけ、追いかける。棒きれで戦い、何とか敵を追い払う。ハイダーによると新しいお家を探している時に見つかったとのこと。段ボール箱がハイダーのお家だった。主人公は責任を感じ、主人公の家に身を寄せることを提案する。
2冒険モード。主人公の家に一泊するハイダーだが。数日後に敵に見つかってしまう。迷惑をかけられないとハイダーが家を出て行こうとするので、共に新たなハイダーの住む家を見つけることに。
街へ繰り出す。敵を追い払いながら、敵に見つかりにくい新たな場所を見つける。
3秘密基地制作モード。段ボール箱や木の枝などを組み合わせてハイダーの家を作る。色々な工夫をして住みやすくしたり、かっこよくしたりする。敵がやって来た時に備えて罠を作ったり、武器になりそうなものを揃える。
4迎撃モード。ある日、敵がやってくる。今までの敵より強そう。主人公たちは何とか敵を追い払うが、秘密基地はもう秘密ではなくなった。新たな秘密基地を作るため、再び冒険に出かける。