十二話・参戦
十二話 参戦
「まず、あの”レインボーデーモン”とかいう剣だ その剣を破壊する 」
イノが言うと、真っ先にユーナが”ローゼパイチェ”を構えて飛び出した。
「ふふ あんたたちは私の後に付いて来なさい 」
ユーナは敵本陣目指して魔獣の群れに斬りこんでいく。マゴットもそれに続き、ユーナの左右から飛び掛かってくる魔獣を撃退していた。
「いいペアじゃないか 」
「まあ、夫婦だしな でも今回の斬り込み隊長は俺だ 」
コッコは聖剣の力を開放する。背中から腕が生え、さらに加速するとユーナとマゴットを追い越し魔獣を血祭りにあげていく。
「コッコなの? 」
ユーナとマゴットが呆然と見守る中、コッコの周りの空間が魔獣の血飛沫で赤く染まっていく。イノが、俺が生き残れたのはあのコッコの力のおかげだと二人に説明した。
「コッコ先生、凄い 」
空から降りてきたノッコが目を見開いて言う。
「いや、空を飛べるノッコも凄いぞ でも足は大丈夫なのか 無理はするなよ 」
イノがノッコの頭を撫でながら言うと、ノッコは嬉しそうに微笑んだ。そして、足はまだ痛いけど飛べるから大丈夫、それより先生たちと一緒に戦えるのが嬉しいと無邪気に笑った。
「よーし、早くこの戦いにケリをつけよう 行くぞっ 」
イノの号令でユーナたちは再び魔獣に向かって突撃した。
* * *
ヘンズレーは背後に近付く強烈な気配に振り向いた。そして、ぎょっとした顔をすると椅子から立ち上がり直立不動の姿勢をとる。
「これは、ライト様 どうなされました? 」
「君の事だから間違いはないと思うが戦況の確認にね それと彼らが少しリハビリも兼ねて体を動かしたいというもんでね 」
ヘンズレーはライトの後ろにいる二人の人影にも気付いた。
「これは、ようこそお越しくださいました 」
ヘンズレーは自分の声が震えているのを感じた。こんな大物が自分の戦場に現れるなど有り得ないと思っていたが、現実にその姿を目の前に見て声だけでなく体も震えてきていた。
「じゃあ、好きにやらせてもらっていいかな 」
「はい どうかお願い致します 」
ヘンズレーは頭を深々と下げると、ライトたちの気配が消えた。ヘンズレーは緊張が解け大きく息を吐く。そして、よろけるように椅子に座った。その様子を見ていた部下のヘルシャフトが心配そうに声をかける。
「今のお方はいったい…… 」
「神将の御三方だ いいか、この戦いで失態は許されんぞ、心してかかれっ 」
「ははっ 」
部下のヘルシャフトも余裕の表情が消え、緊張した面持ちになる。ヘンズレーにしてもライト以外の神将に実際に会うのは初めてだった。恐ろしい。ヘンズレーは敵の攻撃より神将たちの機嫌を損ねることの方が怖かった。
「いいか 一つのミスも許されないぞ 早くもっと魔獣の数を増やすんだっ 」
ヘンズレーの怒声が響き渡った。
* * *
「グロースリヒト 」
突然現れた光球が炸裂しヒーロー隊の隊員が一度に十人以上吹き飛んだ。吹き飛んだ隊員は呻き声を上げ地面に横たわる。マツとガオが、再び現れた光球に銃撃を浴びせるが、光球は何事もないように迫ってきた。
「危ない 避けろっ 」
周囲の隊員が光球から離れようと走りだすが、光球が炸裂する方が僅かに早かった。またも数人の隊員が吹き飛ばされる。そして、その爆炎の中から一人のヘルシャフトが右腕をぐるぐると回しながら現れた。
「ふむ まあこんなものか 」
ヘルシャフトは歩きながら剣を抜いた。その刀身はまるで澄んだ水のように透明だった。
「お前たちは援護を頼む 」
カイが剣を構えヘルシャフトの前に立ち塞がった。そして、ヴァッフェを取り出しヘルシャフトに向かって投げる。
「ドッペル 」
カイの分身がヘルシャフトに斬りかかるが、余裕でかわしたヘルシャフトは分身に向かって澄んだ水のような剣を振り下ろした。カイの分身も剣でその攻撃を余裕で受けたように見えたが、ヘルシャフトの剣は分身の剣をすり抜け、そのまま分身の体を斬りつける。分身は文字通り一刀両断され消滅した。
「なにっ 」
カイは何が起こったか理解出来ず、いったんヘルシャフトとの距離をおく。その時、その様子を上空から見ていたノッコが叫んだ。
「ドーバ ハーシ 左を見てっ 」
ノッコの叫び声で戦場の左を見たドーバとハーシは、カイの前のヘルシャフトの姿を捉え体が震えた。
「あいつは…… 」
「そうだ、ハーシ フリップおじちゃんの仇だ 」
ドーバとハーシは我を忘れてヘルシャフトに向かい駆け出していた。ミナミとキャスーがそれに気付き二人の後を追い、ノッコも上空からヘルシャフトに向かっていた。
「ギルモアァーッ 」
ドーバとハーシが叫びながら聖剣の力を開放する。
* * *
その時、本陣のカシギの前にも一人のヘルシャフトが現れていた。カシギの前に突然現れ、悠々と剣の切っ先をカシギに突き付けている。
「あの時の姿を消せるヘルシャフトですね 」
ミイがヘルシャフトを指差して叫ぶ。
「名前くらい憶えて下さいよ 僕は極光のライトと云います 」
カシギに剣を向けたままライトは不敵に笑う。ブラックレディの二人がヨーヨーをスローしようとしたが、隣にいたラプラスが手を上げて二人を制止した。
「大丈夫ですよ 何も心配は入りません 」
ラプラスは二人にニコリと微笑んだ。




