⑨猫の恩返し。
あれから毎日翔に会いに来ている。でも、翔の負担にならないように少しだけ話すとすぐに帰っているので夢のことは話せてない。
翔が退院できるのはまだまだ時間がかかりそうだ。
1ヶ月ほどが経ち、やっと車イスに乗って病院の庭に出てもいいと許可がでた。
私は翔と庭にお散歩に行くことにした。よし、今日こそ聞いてみよう!
「ねぇー、翔、眠っている間夢見てた?」
「あぁ。真白の見てたよ。」
「翔は、ワンスケたちと話せるの?」
「なわけねーだろ!でも、何が言いたいのかは顔見ればわかるよ。」
「そっか。。。心が通じあってるんだね。」
「あったりめーよ!てか、真白ともな!」
「私とも?」
「だから、俺たち夢の中で会えたんだろ?」
「そうだね。でも、私夢見るまで翔のこと忘れてたのよ。」
「俺は覚えてたぜ!泣き虫の真白のこと!あの日、俺が事故に逢った日、これで俺死ぬのかって思ったんだよ。でも、ちゃーたが言ったんだ!いつか恩返しますって。」
「そうだったの?ならちゃーたが、私たちのこと会わせてくれたんだね。」
「そうだな!恩返しってなんだよって思ってたけどこれが猫の恩返しってやつか(笑)」
「あはは。」
「でも、俺はまた、真白に会えて本当によかったよ!夢の中でも言ったけど、俺にとって真白は大事な存在だからな!」
「うん。私も翔のこと大事な存在だよ。目が覚めたとき夢だったのかと思ってがっかりしたけど、翔はきっと本当に存在してるって思ってた!まさか、翔が眠ったままだったとはビックリしたけど!ちゃんと目を覚ましてくれて、私のことも覚えててくれたから本当に幸せだよ。」
「俺が退院したら俺んちに来いよ!きっと、ワンスケもちゃーたもまーにゃんも真白に会えるの楽しみにしてるはずだぜ!」
「でも、まーにゃんは私が助けた猫なんだよね?なんで翔の家にいるのかしら?」
「たしかにな。。。俺が眠っている間に突然家の前に現れてにゃーにゃー泣いてたらしい。それで、おかんが、ほっとけなくて1匹も2匹も一緒だって思って飼うことにしたらしいわ。」
「そうだったんだ。きっと、あの3匹も運命の出会いだったんだね。仲良しだもんね。」
「そうだな。俺、早く退院してーよ!頑張って勉強して通信の高校行って高校の卒業資格取って真白と同じ大学に通いたい!」
「私、大学行けるかな。。」
「俺はやればできる子だからな!真白も頑張れよ!」
「うん!翔と同じ学校通いたい。」
「とりあえず、今の俺はリハビリがんばんねーとな!」
「うん!また明日も来るからね。」
今日、翔とたくさん話せた。夢の中にいた翔そのままだった。やっぱり私は翔のことが大好きだよ。同じ大学通えるように頑張って勉強しなきゃ!
それから数週間後、翔が退院することになったので、私は学校が終わったら翔の家に行く約束をした。
今日、翔が退院かぁー。早く放課後にならないかなぁ?なんでこんな日は長く感じるんだろう。。。
やっと、放課後だぁー!私は急いで教室を出た!すると、正門の方にたくさん人が集まってて、ざわざわしている声がした。何かあったのかなぁ?
「誰あれー?めっちゃかっこよくない?」
「誰かの彼氏かなぁ?」
まっまさか!!私は嫌な予感がしたので、裏門から出て、翔に電話した!
「まさかとは思うけど今、私の学校の正門の前にいる?」
「おぅ!なんでわかったんだ?迎えに来てやったぜ!」
「あのさー、夢でも言ったけど学校には来ないでよ。翔は目立つんだから!そもそも、病み上がりなんだから家で大人しく待っててなさいよ!」
「そうだったなー!わりぃー!てか、いまどこ?」
「裏門から出た。」
「わかった!そっち行くわ。」
「学校から少し離れたコンビニの前で待ってるから。」
「はーい!」
「おーい!真白ー!」
「ちょっとー、この辺まだ学校の子いるかもしれないんだからあんまり大きな声で呼ばないでよ。」
「はぃはぃ!それより3匹とも真白が来るの楽しみにしてるぜ!」
私はわくわくしながら、翔の家に向かった。家の近くまで来るとワンスケが走ってきて私に向かって飛びかかってきた!顔をペロペロ舐められた。
「ワンスケー!久しぶりー!元気だった?」
「ワン!」
「ワンスケ、真白に会えてうれしそうだな!」
「私のことわかってるのかなぁ?現実で会うの初めてだけど。。。」
「きっと、ワンスケたちも俺たちと同じ夢見てたんじゃないかな?」
「そっか。それならうれしい!」
翔の部屋に入るとちゃーたとまーにゃんがいた。
2匹もとても元気そうににゃーにゃー言ってる。
「やっぱり、言葉はわからないけど、なんだかなにしゃべってるのか伝わって来る気がするよ。」
「だろー!心が通じあっていれば話せなくてもわかるんだよ。ちゃーたも、まーにゃんも真白に会えてうれしそうだな!」
言葉はわからないけど、夢でみんなで仲良くしてたのと同じだった。
これからも私たちは仲良く生きていくだろうな。
まーにゃんが私の近くによってきた。
「まーちゃん、私を助けてくれてありがとうにゃん。」
そう言ったように聞こえた。
「えっ!?まーにゃん?今しゃべった?!」
「なわけねーだろ!それは夢の中の話だろ!」
「だよね。」
私は不思議な体験をして、たくさんの出会いがあった。なにより、翔に出会えたこと本当に感謝してる。あの時、猫を助けて本当によかったんだって思ってる。これからもきっと、車に引かれそうになった猫ちゃんがいたら、私はきっとまた命懸けで助けるんだろうな。そして、また、猫になるのかもしれない。。。(笑)