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真面目ホラー

殺人づくし

作者: 七宝

 よう、オレは殺人づくしってんだ。よろしくな。オレが何者かって? 見ての通りつくしだよ。地盤のしっかりしたところで屈強に生えてる季節外れのつくしだよ。


「お、こんな真冬につくしが生えてる!」


 生贄が来たぜ。オレは今、血に飢えてる。お前の血が欲しいぜ!


「つくしが生えてるのを見ると、全部踏み潰したくなるんだよなぁ」


 こういうやつが地球を壊してるんだな。


「オラァ!」


 上からやつの足が降ってくる。グサリ、というオレの好きな感触がした。靴なんざ突き破るに決まってんだろうに、オレは殺人づくしだぜ? 可愛いあんよが血だらけだねぇ、どうするよ。


「え? うわぁあ! なんで? 痛あああ! 凍ってるからってここまでなるか!?」


 おもしれぇ。さっきまで当たり前のようにオレを踏み潰せるつもりでいたんだもんな。そりゃ驚くよな。


「痛ああ! あ、バランスが⋯⋯」


 そう、オレを踏み潰そうとしたやつは全員こうなる。足の痛みでバランスを崩して前に倒れるんだ。そこには299本のオレが目を輝かせて待ってるんだ。ちなみにオレが300本いるんじゃなくて、300本合わせて『オレ』だからな。


「う、ぐああああ⋯⋯」バタッ


 どうだ? 全身をつくしで貫かれた気分は⋯⋯ってもう死んでるか。うめぇな、若い血はうめぇ。さて次はどんなやつが来るか楽しみだ⋯⋯


 

 

殺人づくしはペースト状にしてかき氷にかけて食べると美味しいと言われています。このつくしはなぜかペーストにすると真っ赤になります。

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