Raghorn8:幽霊なんて怖くない?
どもども、作者です。そして、いきなりですが。
どうも申し訳ございません!
「最近、更新できなかったのは、高等学校の準備などで忙しかったことなどが挙げられます。」
とりあえず、物語をお楽しみください・・・。
模擬戦闘は一週間に一度、おこなわれている。
そのために、今日の実戦講義は模擬戦闘ではなく、通常の講義が行われた。
「ハッハッハ!よく来たな諸君!」
なんかいつもよりハイテンションでどこかしらの伯爵みたいな声を上げる先生。この人は元気だなぁ、まったく。
いつものように昼食を食べて、今日は時間に余裕をもって席につけた。
いやぁ、どうもどうも!
あ、珍獣ハンターなんかじゃなくて、ネロだ(このネタは古いかな?)。口調とかで頑張って名前を覚えてくれ。
さてさて、実戦講義でなにやるかっつうと、まぁ簡単に説明すればダンジョン探索だなぁ。先生曰くこの大陸にはかなり多くのダンジョンが存在するらしい。いつの日か、よくわからないくらい胸を張って誇らしげに語っていたがダンジョンが多いのはあまり良いこととは思えない。
・・・先生はさっさと今日のダンジョン探索の説明を終えて、グループに地図を渡し始めた。
そして、地図を渡し終えると、先生は、
「ハッハッハ!さぁ諸君らにはこれから探索に向かってもらう訳だが、果たして、諸君らは無事に探索を終えて帰ってこれるのか!それは諸君らの腕にかかっている!」
ハッハッハ、かなりハイテンションだなぁ、おい。
「ネロ、今日なーんか先生のテンションいつもより高くない?」
隣に座っていたフィーが、俺にふと問いかけてきた。
そう考えるとそう・・・
かもしれない、けどいつも説明の時は寝てて、後からフィーやエルから説明を聞く俺には、分かるはずもない。
「ネロに言っても分からないんじゃない?この人は大抵説明の時は寝てるから。」
「何を失敬な!今日はちゃんと起きていたぞ!」
「じゃあどんな説明してた?」
うっ、ちょっと待てよ・・・。
「は、ハッハッハ!果たして諸君らは無事に帰って―」
「やっぱり最後しか聞いてないじゃん。それにさ、地味に『今日はちゃんと』、って言ってたけどそれって今日以外寝てました、って言ってるようなもんだよね〜?」
「な、なんて鋭い!ワトソン君、君は医者ではなく、探偵に向いているようだ!」
「ワトソン君じゃないし、そんな古い話、持ち込まないでよ。」
「ネロってなんか時代が遅れてるよね。」
「うっ。なんか自分で気づいてない割りには意外と気にしてるとこに触れるな!フィーのくせに!」
「気づいてないのかよ。」
俺達は話していると、先生の目線がこちらに向いていることに気付いた。・・・ってか皆こっち見てるし・・・。
「あ、しまっ―」
「ハッハッハ!そんなにこのダンジョン探索に興味を持ってくれたかね、ガラード君!」
「え!俺だけ!?」
「そんなに楽しみなら、とっておきの場所を指定してあげよう!ハーハッハッハ!」
あークソ。マジでムカつくなぁ、あの感じ。
「さぁ、ガラード君!君達はここに向かってくれたまえ!ハッハッハ!」
ガラード君と言ったのにも関わらずその直後に君達と言い、無駄な矛盾を起こした先生は俺達に地図の電子データを転送した。
俺達はMSを開き、地図データを見た。
・・・古い屋敷じゃん。
「ここには、なんかよく分からんがゾンビだの幽霊だのそういう小汚い、実際にはいなくても良いようなゴミカスがいる。そいつらを始末して欲しい。」
「酷い言いようだなぁ、先生。呪われちまいますよ。」
「知ったことか、ってな!ハッハッハ!人の心配する前に自分の心配をしろ!ハッハッハ!では、行ってこい!ハッハッハ!」
いちいち笑うのがうざったい先生にだいぶ強引に教室を追い出され(意外に屈辱)、しぶしぶの屋敷に向かった。
しばらく歩き、屋敷についた。歩いている間、ほぼ会話が無かったのは、前回の洞窟がトラウマになっているからだろうか?
「ついた、ここみたいだ。」
俺達の前に現れたのは、本当に薄汚い、大きな屋敷だった。まったく、誰がこんな森の中に作ったんだか。本当にセンス無いなぁ。
「汚い場所ね、まったく。私、幽霊だのお化けだの、まったく信じないんだよね〜。」
「俺も、そういうの大丈夫だ。・・・そういえばさぁ、エル。お前、さっきからまったく会話に参加してないみたいだけど、具合い悪いのか?」
「・・・・・。」
「エル〜。おい、エル!」
「・・・・・ぁ、ぅん。僕は大丈夫。は、早く終わらせよ、ね!」
なんか顔は笑ってるけど目が笑ってない、っていうかなんというか。威圧感が半端じゃない。
「お、おう!奥にある『シルシ』を見つけて、さっさと帰ろうな!」
「ネロ、なーに言ってんの?奥に『シルシ』なんて無いじゃないのよ。敵を倒すのよ、敵を!」
「んあ?そだっけか?」
「わ、忘れるの早すぎよ、それはさすがに・・・。」
こういうやり取りがありながらも、俺達は屋敷に侵入した。
中は豪華と言えば豪華だったが、なんだか妙な雰囲気&オーラが放たれていた。
「うわぁ、なんかよく分からないけど気味が悪いわねぇ・・・。」
「なんか暗い何かを感じるなぁ・・・。なんなんだ、コイツはぁ?」
なんだかよくわからない気持ちになる。なんていうか、こう暗〜い何かが体に流れ込む感じ?
「さぁね、でも私も感じるわよ、その暗い感じ。」
「え?こういう暗いので感じるのか?」
少しふざけてフィーをからかう。
「違うわよ!さっきこういうのはまぁ大丈夫だって言ったじゃないのよぉ。こんなので感じてたらマジでガチで変態野郎だよ・・・。」
しかし、こんな会話ばっかりしてても何も始まらないので、屋敷の部屋を一部屋ずつ捜索することにした。この屋敷は目に見える範囲だと、二階まである。しかし、地下階も存在するかもしれない。
「どうする、手分けして探すか?」
「い、いいいいや!や、やめよう。みんなで探した方がぜ、絶対に効率良いって!」
ん?さっきまでまったく会話に参加してなかったエルが突然大声で喋る。なんか壊れたレコードプレーヤーみたいに。
「なんでだよ、エル。手分けした方がいいだろ、明らかに。それともお前、びびってるのか?なんか声が震えてるような気がするけど。」
「・・・・・・。いや、分かった。て、ててて手分けして探そう。敵、敵を。」
エルが、なんか変なテンションではあったが、同意してくれたので、なんとか手分けして敵を探すことになった。
「さぁ、じゃあ俺は二階を探すよ。んで―」
「私は一階を探すからエルはその他地下だの隠し通路だの探してね!」
「な、な、何でだよ!何で僕が地下を!?隠し通路だのを!?」
「・・・怖いの?」
ニヤニヤしながらフィーがエルに顔を近づける。
「うっ。ぃゃ、そぅぃぅわけでもなぃんだけど・・・。」
おーい、声が小さいぞ少年。
「じゃあ決定!探そう!」
フィーの顔を覗くとかなり笑顔だ。
コイツ、明らかに楽しんでる・・・。
ここまでくるともう明らかだが、エルは怖いの怖いの駄目なのよ系だ。つまり、フィーが珍しく優位。絶好のイジメチャンスな訳だ。
さて、捜索に行こうかなぁ。
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「エヘヘ!上手くいったなぁ、もう。私ったら意地悪ぅ〜。」
私、フィーは二人と別れて一人で笑いを堪えていた。
「まったく幽霊とかお化けなんてどこが怖いのよ〜。元は生き物でしょ〜。」
実際はこういう人の方が少ないみたいだが。
「さてと、さっさと捜索済ましてエルを観察しよーっと!」
私はこう言った割りには結構探したが、特に敵は現れなかった。
さーて、人間観察、人間観察ぅ〜♪
なんて性格悪いの私〜。(笑)
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・・・・・。
できればなにも出てこないで欲しい・・・。
あ、いや、別に〜。
別に、その、怖いとかそういうんじゃないからね?
僕、エルは恐る恐るドアとか怪しいとこをちょこっと見て回っていた。ぁ、いや、見落としなんてないよ!?うん。さっきも階段みたいなのがあったけど、きっと違うよ!うん。あれは・・・。異世界への門だから僕達には関係な―
「エル〜!階段みたいなのがあったけど異世界への門だよ多分みたいなふざけた冗談は無しだからなぁ!見つけたらまず下に降りてみてなんもなかったら報告だからなぁ!敵がいたら倒すんだぞ〜!」
む、む、無茶なこと言って!
しかも、なんで図星なんだよ!そっちも幽霊と同じくらい怖いわ!!
・・・でも、行かなきゃいけないなぁ、こうなったら・・・。
「ああ嫌だ。超イヤだ。滅茶苦茶にイヤだ。」
「文句言ってないでさっさと行く!」
僕は周りを見渡すが誰も視界に入らない。なんで僕の行動が分かるのだろうか。
とりあえず、意を決して下に向かう。
階段は足元が暗くてよく見えない。こんなところで足を掴まれたら怖いなぁ。
しばらくして、何かの部屋に出た。だけどやっぱり暗くてよく見えない。
「よく考えたらここが一番怪しいじゃないか。まさかネロ達はこれを分かってて・・・?フィーの声のテンションも異様に高かったし・・・。」
でも今はそんなこと考えてる暇じゃない。早く済ませて帰らないと、このままじゃ精神がもたないな。
僕はとりあえず、嫌々手探りで探し始めた。まさか棺桶とか十字架とか大きめのボルトなんて無いよな〜?
・・・。
しばらく探した結果、出てきた物は、十字架みたいな剣、ボルト型のハンマー、誰かの骸骨・・・のレプリカ、それに棺桶に収められた等身大の理科人形。
え?そう都合よく解釈するな?・・・そんなことありませんよ〜。・・・。
すみません、嘘つきました。見つけたのは、十字架、ボルト、頭蓋骨、棺桶とそれに収められた遺体、そして誰かがこっちに向かってくるです。・・・ネロかな?
「おーいネロ〜!こっちだこっち!」
そっちに向かって僕は走った。そしてネロの目の前に着くや否や。
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「さっきなんでエルはネロの名前を叫んだんだろう?」
「そろそろ、助けに行った方が―」
「うぎゃぁぁああぁぁあああぁああぁ!!!」
「―良いみたいだな!行くぞ、フィー!」
「もうちょっとエルが苦しむとこ見たかったけど、そろそろ可哀想かな?」
なんて恐ろしいことを、この小娘は・・・。
「と、とにかく下に行こう!」
・・・・・
地下に降りた矢先、大量のゾンビや幽霊みたいなヤツらに囲まれているエルを発見した。
「アイツ可哀想だなぁ。」
「哀れんでないで早く、助けて!!」
「分かってるわよ!」
俺とフィーは剣を出すが・・・。
「「ゾンビはまだしも、幽霊ってどうやって倒すんだ?」」
「早く!」
幽霊って!幽霊ってどうやって倒せばいいんだ!
とりあえずゾンビを重点的に攻め始めた俺達は、特に苦労することなくゾンビ達を斬り刻むことが出来た訳だが、やはり幽霊・・・みたいなのが倒せない・・・。
斬れないし。
「どうすりゃいいんだ!?ってかいつまでも腰抜かしてんじゃねーよ!エル!」
「だ、だって怖すぎるもん!」
「銃で撃つとかやってみろ!レーザーとか出せないのか!?」
「だ、出せるわけ無いだろ!」
「くそ、なんかコイツらに体力を吸いとられてる気がするんだけどよ!」
「私も何か息苦しい・・・。エル、これ使って!」
フィーはエルに向かってテラストーンを投げた。
「いやぁ!青いヒトダマだぁ!」
おいおい・・・。
「馬鹿!よく見ろ!『氷』のテラストーンだテラストーン!早く『ソーサーガン』に付けて撃て!」
「の、呪われるぅ〜!」
とか言いつつも、テラストーンをセットするエル。だがいまだに迷ってるようだ。待ってたら皆死ぬな、色んな意味で。
「早く!エル、頼むから撃ってぇ!」
「早く撃て!」
「わ、分かったよぉ!」
エルは銃を幽霊に向けて放った。
幽霊は一瞬静止し、氷り始めた。
「その調子だ、エル!良いぞ!」
「う、ぅわぁあああぁぁ!」
もうどうにでもなれ!みたいな表情で幽霊を撃ち続けるエル。いやぁ、精神が崩壊してるようにも見えなくも無い。・・・だってこの世の終わりみたいな叫び声をあげながら、半透明な物に向かって銃を乱射してるんだもんなぁ。
「も、もういないし、早く帰ろう?」
「ああ。さっきゾンビぶっとばした時にダンジョンの敵を倒した証、手に入れたんだけど、まぁ良くやったぞエル。」
「アハハ!エル、お疲れ様ぁ〜!」
相変わらずの笑顔でフィーも言う。
だったらなんで・・・?
みたいな顔で、エルが倒れてしまった。
「そんなに嫌だったか、幽霊。」
「相当だね、この様子だと。いやぁ、新しい弱点見つけたわ!」
めっちゃ嬉しそう・・・。
「よ、良かったじゃん。さあ、帰ろうぜ。」
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先生に報告し、証であったゾンビの腕を渡して、そこで出会った敵を並べると。
「え?おっかしいなぁハッハッハ!幽霊なんていなかったぞッホッホッホ!幻じゃないか?この攻略地図にも幽霊が出るなんて一言も書いてないしなぁ。」
「「え?」」
俺もフィーも、俺がおぶっていたエルを見た。
「絶対にコイツが」
「呼び寄せたのよね。」
「「多分。」」
ガッテン。
エルの弱点、発覚です。
「この弱点、結構ダメだよな。」
「う、うるさぁい!」
これからも皆の弱点は書いていくつもりです。とにかく、これからもよろしくです〜。