Raghorn2:適性試験
「皆、久しぶり!ネロだ。」
「皆さん、久しぶりです。エルロイです。」
皆さん、久しぶりです。作者です。
「いや〜、なんか俺の活躍が全部きえちまったなぁ〜。」
あの辺りまで話が進むのはかなり時間がかかるよ。
「え!?そうなの?」
「マジかよ!」
かなり詳しく書いてるし、ストーリーの展開もガクーンと遅くするつもりだから。
「まあ、でもそっちの方が読みやすいだろうな。」
「皆さん、それでは小説の方をどうぞ〜。」
俺達は一番早く広場についた。やあ、皆。ネロだ。
「・・・誰もいないね。」
「まだホールでくっちゃべってんだろ?まったく、早く来いよ。」
そんな会話をしながら、しばらく待っていると、ホールの方から新入生がぞろぞろと歩いてきた。
「やっときやがった。」
教官達も、待たされていたので、少し不機嫌そうだった。
「えー。もう少し早く集まってほしかったですね。・・・集合が早かったのはそこにいる二人です。皆さん、彼らを見習い、今後しっかりと集合してください。」
教官の一人が軽く説教をして、俺とエルロイを指さす。ってか人に指さすなや。
辺りが静かになり、新入生のほとんどの視線がこちらに向いていた。
「それでは、適性試験を始めたいと思います。識別シールを渡すので、こちらに来てください。」
教官が説明を終えた後、新入生達が並ぶ。
俺は識別シールを貰った。
「001・・・。」
一番最初・・・。・・・だからどうということもないが。
「皆さんにシールは渡りましたか?それでは、シールを制服の胸の部分に貼ってください。」
説明が遅れたが、ラグホルン防衛学院の制服は簡単に説明すれば戦闘服だ。ショルダーアーマに身体全体を覆う薄い鉄の鎧。ショルダーアーマと鎧とは、硬く、刃物を通さない何本ものコルセットのワイヤーで繋がっていた。腕は、露出している。下半身は、軽い素材で作られたズボンの上に、太もも・膝・脛と、別々の鉄の防具がつけられていた。
まあ、とりあえず俺はシールを制服に貼った。
「それでは、番号001と002はペアを組んでください。それ以降の番号の人は、例にならってペアをくんでください。」
例にならう?ってことは俺は番号が002の奴と組めばいいんだな?
「ネロ君。僕が002だよ。」
エルロイが後ろでささやいた。
「んあ?そうなの?ラッキー!」
「ラッキーっていうか、僕がネロの後ろに並んだから必然と言えば必然だよ。」
そうだったのか。
「じゃあ、広場に広がるか。」
ペアを組んだ新入生達が、全員広場に広がると、教官の一人がマイク持ち、説明を始めた。
「では、教官を一つ一つのペアにつけますので、少々お待ちください。」
この数のペアに一人一人教官をつけるのか?何人教官がいるんだ・・・。
見る限りでは、100組くらいいそうだが。
「番号001と002・・・ですか。私が貴方達を担当するキースです。よろしくお願いします。」
キースという教官は俺達に近づき、手を差し出した。
「「よろしくお願いします。」」
俺達は差し出された手を握り、一人ずつ握手をした。
「では、早速始めますか?」
「お願いします。」
俺は短く返事をした。
「では、説明をさせていただきます。えー。この試験では、素手でペアになった相手と戦っていただきます。」
「戦うんですか?」
エルロイが驚いた表情で言う。確かに、いきなりそんなこと言われてもな〜。
「大丈夫です、データが取れ次第、試合を止めますんで。」
いや〜。多分エルロイはそれを聞きたくて質問したわけじゃないと思うぞ?
「はぁ。素手で、ということは殴り合いですか?」
「蹴ってもいいですよ?」
ダメだ、この教官。完全にエルロイの質問に答えれてない・・・。
「ま、まぁ。エルロイ。ここはよろしくな。」
俺は、これ以上この二人がすれ違いを続けるとエンドレスになりそうだったので、二人のすれ違い会話に割って入った。
「うん、分かった。勝たせてもらうよ。」
・・・さっきの遠慮はどこいった?エルロイ。でもまあ、その方が俺もやりやすいけどな。
俺達は、少し間合いを作り、向き合い、構えた。
「準備は整いましたか?それでは試験を始めましょう。」
腕に力が入る。
「用意!・・・始め!!」
スタートの合図と共に俺は地を蹴りエルロイに急接近する。
「うおりゃあ!」
エルロイが俺の攻撃範囲内に入ったとき、俺は右腕を思いっきり突き出し、パンチをくりだした。
ヒュ!
風を切る音と共に、拳が飛ぶ。
エルロイは体勢を低くして、俺のパンチを避けた。
俺は、そのまま右腕の力を利用して体を回転させ、キックを当てにいった。
しかし、エルロイは両腕をキックの軌道上にクロスさせ、蹴りを防いだ。
だが、俺のキックの威力もなかなか強く、エルロイが少し後ろに押された。
「くっ!」
俺は攻撃を止めず、直ぐに体勢を立て直し、またエルロイに接近した。
今度も右腕でパンチをくりだした。エルロイは頭を少し傾けて、攻撃をかわした。俺は左腕を突き出し、また殴りにかかった。
しかし、エルロイは俺の左腕からくりだされたパンチを左腕で弾き、俺の体勢が崩れたところで、右腕でパンチをいれてきた。
「ぐへっ!」
左脇腹に衝撃が走り、思わず声がでる。
俺はすかさずバックステップを取り、間合いを作った。エルロイは強いな。しょうがない!本気を出すか!
「行くぞ!」
俺は再び地を蹴り、エルロイに接近した。・・・それにしても、懲りないな、俺。
だけど次の攻撃は違うんだ!
俺はエルロイの目の前まで接近し、パンチをくりだすフリをした。
エルロイは身構えた。
俺は素早く体勢をかなり低くし、エルロイの足を回転蹴りで蹴った。
「うわっ!」
エルロイが小さく叫んだ。
体勢を崩したエルロイはそのまま倒れかけたが、俺はそれだけに止まらず、回転を利用しもう一度エルロイの下に潜り込み、エルロイを蹴り上げた。この一連のコンビネーションは高速だ。
「うぐっ!」
エルロイの身体は空中に放り出された。
エルロイに続き、俺も飛び上がり、エルロイを飛び越えた。そしてエルロイを空中から地面に叩き付けようとしたとき。
「はい、終了!」
キースが止めに入り、エルロイの身体を受け止めた。
「001番、いいコンビネーションだった。」
キースは俺を褒めてくれた。
「ありがとうございます。」
「002番もなかなかのガードだった。001番の隙をついたあとにも、流れるように攻撃出来るようになるといいな。」
「は、はい!」
キースはエルロイの良いとこも褒め、アドバイスも与えた。なんか馬鹿っぽいけどいい教官だなぁ。
「これで試験を終わる。本日はこれで解散なので、後は帰るだけだ。結果は今日の夕方辺りに、支給される武器と一緒に送られる。では、ご苦労だった。お疲れ様。もう、帰っていいからな?」
キースは説明を終えると、他の教官達がいるところに戻った。
「だってよ、エルロイ。待っててもなんだし、帰るか。」
「そうだね。・・・あ、ネロのMSのアドレスと番号教えてよ。結果知りたいし、せっかく仲良くなったし。」
MSとは、モバイルスピーカー(Mobile Speaker)の頭文字をとった言葉で、携帯端末のことだ。メール・電話はもちろん、他にも色々な機能がついている優れ物だ。
「おう。ローカルモードにしてくれたらアドレス送るよ。」
ローカルモードとはMSの機能で、周辺のメールを受け取ることが出来る状態に切り替わる機能だ。
俺はローカルモードにあったエルロイのMSを見つけ、メールを送った。
「よし、送ったぞ。」
「あ、きたきた。ありがとう!」
素晴らしい笑顔でエルロイはお礼を言った。
「それじゃあ、また後で。結果と武器が家にきたらメールするよ。」
「おう。」
俺は少しワクワクしながら家に帰った。
エルロイと校門で別れ、住まいに向かう。
高層マンションの24階の126号室に着き、俺は鍵を鍵穴に差し込み、ドアを開けた。
見事に散らかったスペースが目の前に広がる。
真っ直ぐ進むと居間があり、そこの周りに寝室・自室やキッチン、トイレ・バスルーム、ベランダがある。
「汚い部屋だな・・・。」
自分でもそういいながら、俺は自室に入った。
疲れた。エルロイとの素手バトルは思いの外体力を奪った。
「武器って確か今日届くんだよな・・・。まぁでも、少し寝るか。」
俺は居間のソファに寝転がり、瞼を閉じた。
たった今午後四時。少し仮眠を取ることにした。
やがて、意識が遠のき・・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
ピンポーン
「ん?」
時計を見ると、六時。二時間、寝たのか。
ピンポーン
「あ、そういえば、チャイム鳴ってた。」
俺はなんか寝ぼけながら玄関に向かい、ドアを開けた。すると、スーツ姿の男が荷物を持って立っていた。
「こんばんわ、ネロ・ガラードさん。ラグホルン防衛学院の者です。試験の結果と武器を持ってきました。」
とうとう来たか!
喜びを隠し切れず、自然と笑顔になってしまう。
「あ、わざわざありがとうございます!」
「いえいえ、それでは明日から頑張ってくださいね。それでは、失礼します。」
男は持っていた大きめ(縦1メートル、横40センチくらいのダンボール)の荷物を置き、帰って行った。
「ラグホルンの人も大変だなぁ。」
俺は荷物を居間まで運び、それを、非常にワクワクしながら開いた。
「うお?」
中には紙切れと包装された何かが入っていた。
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識別番号001
ネロ・ガラード様
貴方の能力判定の結果を通告致します。
貴方は近距離格闘、近距離魔法攻撃において能力が高いと判定致しました。
支給させていただく武器は、ラグホルンとフェイト社の共同開発した、テラストーンの力を使用中に発揮できる特殊なロングソード、『ネクロソード』です。
通常、近距離格闘タイプの生徒に支給する『ロングソード』よりもレベルが高い装備なっています。
非常に優秀な成績でした。
おめでとうございます。
ラグホルン防衛学院教官
キース・ピースロム
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凄いじゃないか!ネクロソードかぁ。
俺はテンションが上がり、ダンボールに入っていた、包装された武器を取り出した。
左右対象の剣であった。
刃渡りは1メートルだろうか。凄く鋭い。そして持ち手と刃の部分の間に、小さい窪みが何個かある。
しばらく『ネクロソード』にみとれていると、エルロイから電話が来た。
〈ネロはどうだった?〉
「俺のは『ネクロソード』ってヤツだ。剣なんだけどな、魔法も使えるらしい。」
〈凄いじゃないか!実は僕のも魔法を使えるらしい!《ソーサーガン》っていう武器だったよ。〉
『ソーサーガン』・・・。銃の系統か。
「エルロイは遠距離射撃、遠距離魔法攻撃なんだな?」
〈そうだよ!明日が楽しみだね!〉
「おう!」
〈じゃあ、また明日〜〉
プツッ、ピー。
電話が切れた。
「無事、武器も届いたし、風呂に入って寝るか。」
明日が楽しみで仕方が無い、というルンルン気分で、今日は終わった。
「登場人物がかなり減ったね、ネロ。」
「ああ。まあ、第二話だからな。」
そうです、まだ第二話ですよ〜。
「しかもまだ1日目だし。」
「前回と比べたら文章、マシになったんじゃないの?」
丁寧に書くよう、心がけていますから。
「それでは、また次回!」
「あ、それ俺が言いたかった!」