FaithCompany2 :接触
今回はまたフェイト社の戦闘員のアレンの話になります。
ここまで遅くなったのでもうホント呆れられてると思いますが、とりあえずよろしくお願いします。
ホント更新できなくてすみません!
「アハハ、まさか本当に人間以外に知的生命体が出来たなんてなぁ〜。」
この僕の横で、目の前にいる敵の容姿を説明しているのがソウル。
僕は、アレンだ。
現在の状況を説明すると、目の前に変な奴が現れた。・・・それだけ。
だが、そいつがめっちゃくちゃ強そう。
「こんな化物、野放しに出来やしねぇな〜。」
「完全に消さなきゃね。」
「お前、結構恐いこと言うじゃん♪」
「そんなこと言ってる暇かよ。アイツ、今にも襲いかかってきそうだぞ。」
地球外生命体みたいなその生き物は何やら武器らしきものを取り出した。・・・刃物、だな。
両手に普通の長剣くらいの長さの刃物を持った生命体が斬りかかろうとしている。しかも、その生命体頭のパーツの一部が透明で脳みそみたいなのが丸見えで、胴体も緑色でどろどろしていてなぜ個体として存在できているのか不思議なくらいだ。
・・・・・・・ホラーだ。
「ねぇ、アレン!アレン!よく見るとアイツ怖くね?怖くね!?めっちゃ怖くね!?」
「な、何を抜かしてんだあんたは!そんなんで戦闘員が勤まるか!」
そんな会話をしている内にアイツが襲ってきた。
「くそ、来たぞ!」
「あ、ごめん。『ソーサーアサルトガン』に弾を装填すんの忘れてたわ。」
「あ、あんたって人は!!」
「というわけで行ってこい。」
ドン、と僕の背中を押す。
「お、覚えてろよソウル!」
「はいはい。」
軽く流されたことにいらつきながらも今更止まることも出来ず、そのまま生命体の攻撃を受け止める。
ガキン!
手数は圧倒的に相手の方が多い。なんせ相手は二本だからな、武器が。
「こいつっ、想像以上に手強いな・・・!」
なんせ生態兵器なんて初めて見るから大した想像などなかったが、まさかこれほどまでに戦闘のプロだとは夢にも思わなかった。
僕は相手の攻撃を剣で受け止めるのだけで精一杯だった。
「おいソウル!まだか!?結構コイツの相手するのキツイんだけど!」
「ソウル準備完了であります!」
ビシッと敬礼を決めるソウル。
「さっさと撃てよ、バカ!」
「まぁまぁそうカリカリすんなって♪」
「このバカ!」
ドシューッ
勢いよくテニスボール並にデカい銃弾が銃口から飛び出した。
「ソウル様特製『ビッグバン』を喰らえ!」
「お!強そうなネーミング・・・。」
「あの銃弾、ちょっとサイズちっちゃくした改造グレネード。」
「・・・あれグレネードだったんだ。」
グチュ・・・。
なかなかの勢いで飛んでった『ビッグバン』は化け物に当たった直後、すごく鈍い爆発音がなった。
その音と同時に緑色のスライムみたいなのが飛び散った。
「うわっ汚ね・・・。ていうかよく当てたな今の。」
それを聞いてソウルが自慢げにこちらを見る。いわゆるドや顔というやつだな。
「なっはははははは!!どうよ、これが射撃の天才ソウル様の実力だ!!」
自分で天才と言ってしまうあたりかなり痛いが、認めざるを得ない。
もともと化け物がいた場所の先にデータ端末があった。
「こっからデータを回収すりゃいいんだっけか。」
先に端末の操作に移った僕に確認するソウル。
「ああ、そうなんだけどこれ、どうやって起動するんだ?」
機械が苦手なのは前からだけど、まさかこんなところでそれが邪魔になってしまうとは思いもよらなかった。
「なんだなんだ?おまえこんなこともできないのか?どれ、機械音痴君はそこをどいてこのソウル様に端末をゆだねたまえ。」
「死ね。」
「ず、随分ストレートだなぁ・・・。うん、ふざけた俺が悪かった、とりあえずその端末見せてくれ。」
「・・・・。気が進まないけどわかった。」
僕は端末の前から自分の体をどけた。
ソウルがその端末の前に立つ。
そして慣れた手つきで端末の情報をデータディスクに入れていく。
「必要なデータはとれたのか?馬鹿。」
「馬鹿じゃねえよお前完全に調子乗ってるだろ・・・。いくら俺がまぬけで頼りないからってなあ―」
「は?」
ソウルが涙目になってうずくまってしまった。彼は本当に戦闘員なのだろうか。ものすごく疑問に思ってしまう。てかこの精神力の弱さというかデリケートすぎる。
「さ、帰ろうかソウル。」
「いや、その前にここのデータ、アレンお前も一応見ておけ。大丈夫だ、本部はこの会話聞いてないから。安心してフェイト社の秘密を覗けるぞ。」
「・・・は?」
「ああ、その『は?』は正常な反応だろうな。さっき拗ねてる間にフェイト本部への無線は全部切っておいた。」
なんだって?どういうことだ?てかあれ演技だったのか?!
「ソウル、あんたフェイト社裏切るつもりか?」
「うーん、まあそんなもんだな。」
なんだ、この人・・・。いきなり手のひらを返したように・・・。ていうか僕はこんなことを許して良いのだろうか?ここで斬り殺しておくのがベストな気がするが、どうもソウルが裏切るようなまねをするとは思えない。この行為にはなんか意味があるのだろうか?
「あんた、僕に何を見せたいんだ?てか突然何を言い出すんだよ?」
「まあそうびっくりすんなちょっとだけだいやすべて見せるが。」
「どっちだよ!?」
「まあ、つべこべ言わず見てみろ。フェイト社の闇の部分を見せてやる・・・。」
「なんで?僕はそんなものに興味はない。見るなら一人で見ていてくれ。僕は帰る。」
正直そんなデータ今見せられても困る。
この人がなにをしたいのか僕にはさっぱり分からないが、僕はこの会社に入りたくて入ったんだ。
だからそんなもの見たくない。出来ればこんなこと知りたくもなかった。
「僕はフェイト社にいたい。だから見たくない。」
「だったらなおさら見てくれ。」
「断固拒否する。それ以上言うなら僕はあんたをフェイト社に引き渡すぞ。」
「いいか、アレン。俺の話をよーく聞け。」
「嫌だ。」
「とりあえず聞けって!ていうかこれ見ろって!融通のきかない奴だなぁ。お前も知っておかなきゃいけない事実なんだよ!」
「む・・・。」
ソウルがなかなか引き下がらないので、仕方なく端末の画面をのぞき込もうといた瞬間・・・。
「戦闘員ソウル・ブリガンタイン。裏切り者は貴様だったか・・・。」
「・・・。やっぱり罠か。」
「まんまと引っかかってくれたなあ。しかし、戦闘員№3の貴様がフェイト社の裏の情報をかぎ回っていたとはなぁ・・・。まったく残念だねぇ。」
見たことないヤツがこの部屋に入ってきた。
長身で、髪の長い男だ。
「あんたは?」
男は僕の方を向く。
「これはこれは・・・。君は確か・・・№14の・・・。アレン・フェイン君か・・・。なんだい、君も裏切り者かい?」
「僕の質問に答えてくれ。」
「・・・ふむ・・。私は№5のエスト・デルフィナスだ。」
「あんたが№5・・・。そうか。・・・僕は裏切り者じゃない。信じてくれとはいわないが、無駄な争いは避けたい。」
「データは・・・見たのですか?」
「僕は何も見ていない。」
「そうですか・・・。では裏切り者はただ一人ですね・・・。」
エストはソウルの方をむいた。
なにやら大変なことになってきた。しかし、もしこの任務自体が罠だったのだとした僕も疑われていたのだろうか?もしかしたら上層部がなにかをかぎつけたのかもしれない。
「・・・やるならやろうぜ、エスト・・・。どうせお前は俺を始末しにきたんだろ?」
「そうですとも・・・。」
「まあ、お前に負けてここで死ぬつもりはまったくないけどな。」
「大丈夫です、ちゃんとここで始末して差し上げますよ・・・。あなたの相手は私一人じゃないんですから・・・ねえ、アレン。」
やっぱりそうなるのか・・・。ここで僕が戦いたくないと言えば僕も一緒に消されるんだろうな。
「僕は裏切り者じゃない。フェイト社には忠実でいたい。だからソウル、悪い。どうやら僕は君と敵対することになりそうだ。」
「・・・ハハハ、面白いね〜。まぁ、その方が俄然やる気が出るってもんだ。」
「それは、どういうことでしょうか?」
「それはつまりだなぁ、エスト。お前なんか速攻ぶっとばしてやるっつってんだよ!」
「はぁ?」
「だぁからてめぇみてぇなナルシスト一人の相手より、アレンの相手した方が手強そうだって言ってんだよ。」
「なんだと!?貴様この私を弱いと言っているのか!?」
それ以前に僕はエストが『ナルシスト』に対して何もツッコミをいれなかったことにびっくりしたが・・・。
しかしこの場はそんなくだらないことを言えるような雰囲気ではない。気付けば、エストは自分の武器を取り出していた。杖の形状の武器、『マジックロッド』。テラストーンの威力をかなり増幅させる武器だが、いかんせん物理的な攻撃は繰り出しにくいため、魔力に自信のある者以外にはおすすめ出来ない武器だと兵器開発局の人間が言っていた。でもあれだろう、エストにとっては鬼に金棒的な武器だろう。
「散りなさい、ソウル!」
エストはマジックロッドをふりかざした。
「アイスストーン『ブリザード』!!!」
部屋の中で吹雪きが発生した。その吹雪は部屋の中のすべてを包み込み、そしてすべてを凍らせた。
だがそれに加えて一つ予想外のことが起きた。
「な!」
僕の足が凍り付き始めた。
「エスト!なにしてるんだ!」
これじゃあ僕が動けない。こいつは馬鹿なのか?
「私一人でソウルは片付ける!これ以上私のプライドを傷つけられてたまるか!」
「何を言っているんだ、ここでソウルを取り逃がしたらプライドどころじゃ済まされないぞ!」
「君まで私を侮辱するか!君の助けなど必要ないと言っているのがわからないのか?!」
「違う、僕はそんなつもりで言った訳じゃ-」
「そこでじっとしていなさい!」
そう言い残し、エストはソウルの方へさっさと行ってしまった。
ソウルもまた、僕と同じように足を凍らされていた。
「くっ。」
「さすがの№3も足がこれじゃあ何もできませんねぇ。」
「言っとくけどなぁ、俺はてめぇなんかにゃ絶対にやられねぇかんな。」
「強気でいられるのも今のうちですよ、ソウル。」
ピキ、ピキという音がしたかと思うと、ソウルの足下からだんだんと上半身あたりまで一気に凍っていった。
そしてやがて、全身が凍り付いてしまった。
そこでエストはこちらに振り向いた。
「ご覧なさい、君の力を借りずしても、ソウルはこの有様ですよ。この調子だと私がフェイト社の№1になる日もそう遠くないみたいですね。」
僕はただ彼を睨んだ。
「まあいいでしょう。あとはソウルはこうしてしまえば!」
そう言ってエストは力いっぱいにマジックロッドを振り回し、ソウルが凍り付いた辺りを殴った。
まるでガラスが割れるような音が響き、その場にあった氷の塊が崩れ去った。
「くっはっはっはっは!!№3なんてたやすいものですねぇ・・・。」
エストはもう一度僕に向き直した。
「・・・事実関係を調べるのも面倒なので、ついでにあなたもやっちゃいますね。」
「なんだと!」
「一桁台の№3を失ったのは痛手ですが、残念ながら№14ぐらいなら代わりがいくらでもいますし。」
そういってエストはテラストーンに念じ始めた。
徐々に足下の氷が広がり始めているのを感じた。
「く、くそ!!」
ここで僕は終わってしまうのだろうか、そんなことを考えていると声が聞こえてきた。
「なんだよ、エストぉ。俺はまだ終わってないぞ。」
「っ、どこからだ!?」
氷が広がるのが止まった。
これはソウルの声だろうか。ものすごく遠くから聞こえるようで、近くからも聞こえる。
「実はなぁ、エスト。№3から使えるテラストーンってぇのがあってだな。こいつはおもしろいことに瞬間移動に近いことができるんだわ。魔力膨大に消費するからあんま使いたくはなかったんだが、死ぬよりはマシだわな。」
「そ、そんな話、聞いてないぞ!」
「そりゃあそうだ、誰にも言ってないからなぁ。」
「くそぅ、どこだ、どこにいる!?」
明らかにエストが焦り始めている。とどめをさしたと思っていた人間が生きているのだから当たり前って言えば当たり前だが。
すると、その直後、銃声がした。
その爆音とともにエストの右胸辺りが爆裂した。
「ぐぎゃあぁぁ!」
エストはその場に膝をつく。だが、ソウルは姿を現さない。
また銃声が鳴る。
今度は左肩辺り。
「ぬうおおおぉぉぉおぉ!」
エストは苦痛に顔を歪ませながらゆっくりと地面に倒れ込む。
「哀れだな、捨て駒だと知らずに。」
突然声がしたかと思うとソウルがエストの横に現れた。
「き、貴様・・・。」
「お前のことは前から嫌いだったぜ、ホント。ただそんなやつでもあんまり殺したくはないけど、やっぱりこうなっちまったら仕方ないわな。」
ソウルは、うめいているエストに持っていた拳銃の銃口を向けた。
「・・・じゃあな。」
ソウルは無表情でエストを撃った。
銃弾は貫通せずにエストの体に残った。
「がはっ・・・。」
「新作、『爆裂弾』。」
ネーミングでおおよそ予想がついたが・・・。
「範囲は?」
「・・・この建物吹き飛ぶんじゃねえか?」
「結局僕も殺すのか。」
「ははっ、嘘だよ~ん。だけどまぁお前の立ってる位置までなら爆風が届くかもな。」
ソウルは近くの窓まで歩いて行った。そして銃で窓を撃ち、割った。
「アレン!これからくる戦闘員に聞かれたことに関しては全部『はい』で答えろよ、良いな?」
「なんだよ、自分は逃げるくせして!」
「おう、そんでお前は逃げるなよ!何からも逃げずに立ち向かえよ!もちろん俺にいえたことじゃないがな!!」
「うるさい!!アンタに言われなくてもそうするよ!アンタみたいなヤツには絶対になってやるものか!」
「いい返事だ、じゃあな。」
ソウルがそう言って窓から飛び出した瞬間、「死にたくない」とつぶやいてたエストが爆発した。
次回、もし更新できるとしたらネロの話に戻すと思います。
コードレッドのロイズ君の話も更新せねばなりませんね。
やることがいっぱいです!
それではまた次回よろしくお願いします!