Raghorn1:ラグホルン防衛学院入学
これは、ネロが戦闘員になるまえの物語です。
ネロは、ラグホルンという防衛学院でなにを学び、どう強くなるのでしょうか。
その辺が重要なポイントになってくると思います。
セスタポートにあるラグホルン防衛学院。
フェイト社の戦闘員となる人材を育てている有名学校。
そこに、俺は入学した。
俺はネロ・ガラード。16歳だ。
表面上の特徴と言うなれば、濃いブロンドの髪。それに赤いバンダナ。175センチというなんとも微妙な身長。まあ、一応育ち盛りだからな。そして、ラグホルンの制服。自分で言うのも変だが、これも説明のため。美形な顔立ち・・・・・・・だと思う。周りからはそう言われたりする。
性格としては、熱血・・・の割には冷静みたいな?なんかこう、言い表しづらいけど・・・。
俺はセスタポート、っていう海に近い港町にあるマンションに住んでいる。一人でな。ラグホルンはセスタポートにあるので、家から歩いていける。だから、わざわざ寮に入らなくて済むのだ。。
基本的な説明は、それくらいだな。
まあ話を戻すが、無事ラグホルン防衛学院に入学した俺。少しでも、世のため人のためになるようなことがしたくて、持ち前の運動神経で入学試験に受かった。
今日が一応、入学式というわけだ。ラグホルン敷地内の中央辺りにある多目的ホールに新入生達は集められていた。
「まずは皆様、学院長から一言です。」
副学院長がそういって、持っていたマイクを学院長に渡した。
「こほん・・・。えー、皆さん。まずは入学おめでとうございます。貴女方の未来の働きを楽しみに心から期待しています。四年間、頑張ってください。では、これで一言を終わります。」
学院長はマイクを副学院長に返し、壇上を降りた。
「学院長、ありがとうございました。では、学院の説明に入りたいと思います。既に了解していると思いますが、念のため、話させてもらいます。当学院は単位制です。講義や練習、実戦まで行い、単位を修得してください。当学院には四年間通っていただきます。二年生になれば、実戦経験を積むための、民間団体・または政府団体からの依頼を受けることができるようになります。一年生の皆さんは、まだ受けることは出来ませんが、そのような制度を知ってもらうのも、損では無いと考えます。尚、武器についてですが、一年生の皆さんには、どの系統の武器が適するのか、適性試験をこの後受けてもらい、最も適する武器を支給します。もちろん、安価になってしまいますが、一年生でも受けられるバイトでお金を稼いで、学院内で武器を買うことが可能となっています。本日の予定は適性試験のみとなっていますので、試験が終了すれば、帰ってもらって結構です。今日の内に適する武器は支給したいと思います。」
副学院長は、長い文章を読んだあと、少し間を置いた。息を整えるためだろうか?
「今日から皆さん、学院の単位修得のため、頑張ってください!それでは、卒業生・フェイト社戦闘員による応援メッセージの方に移りたいと思います。」
副学院長が言い終えたあと、壇上に三人上がった。三人とも肉体が鍛えられていて、服の上からも凄さが分かる。俺は思わず感心してしまった。そして三人とも、特殊なオーラを放っていた。・・・・・俺も卒業したらこんなオーラ放てるようになれるのだろうか・・・。
「どうも。新入生の皆さん。卒業生のケビン・オーコナーだ。」
どうやら、メッセージが始まったようだ。ケビンという、薄いブロンドの若干ボサボサの髪に、燃えるような赤い瞳で身長が大体180センチくらいの男が話し始めた。
「まず、とにかく頑張って努力してこの学院を卒業してもらいたい。辛いことも苦しいこともあるだろうが、乗り越えて有能な戦士として、現在この世界各地で起こっている紛争の最前線で戦えるようになってもらいたい。そして、俺と同じ立場になって、共に世界平和のために戦おう。」
戦うことで平和を勝ち取れるのだろうか?実際平和って勝ち取れるものんあのだろうか?
ふと、俺は思わず疑問に思ってしまったが、そんなことを壇上の三人は知るよしも無く、マイクも二人目に移っていた。
次の男は身体が大きく、身長はおそらく200センチぐらいあるだろう。黒い瞳にさか上がった赤い髪の毛。
凄い威圧感がある。
男は低い声で話を始めた。
「お前達が新入生か。・・・見ると皆ゴミカスみたいものだな。」
ホール内がシーンとなり、空気が悪くなった。いや、だっていきなりゴミカスとか言われたらそりゃあねえ・・・。
「まあ、俺はお前達をただ、ゴミカスと呼んだわけではない。今現在の状態がそうだといいたいのだ。もちろん、そこそこ強そうなのもいるが、まだ甘い。是非、この学院で自分の能力を伸ばし、一流の兵士になってほしい。俺はエバン・ラスディ。お前達の実戦授業の教官の一人に任命された卒業生だ。これから世話になる。」
あ〜。なんか怖かった〜。あの人が実戦授業の教官なのか・・・。参ったな〜。
・・・でもみんな同じようなことしか言わないのな。
そうこうしてマイクが最後の一人に渡った訳だが。
最後の一人は先ほど話した二人とは違う感じのオーラを放っていた。静かだけど熱いオーラだ。身体はエバンとかいうやつよりは小さく、身長は175センチくらいだ。俺から見て、その整った顔の左半分が黒い髪の毛で隠れている。片側は髪の毛が上げられていて、顔がはっきり見える。そして透き通った不思議な青い目をしていた。
「この学院の卒業生であり、フェイト社戦闘員レベルS1のアレックス・ロジャースだ。」
アレックス、って奴が話し始めた。なんなんだろう、この感じは・・・?なんかよくわからないけど妙な胸騒ぎがする。いやマジで不思議な感覚だ・・・。
「入学おめでとう。これは誇りに思え。君達と同じように入学試験を受けて、落ちた人々もいる。君達は試験に受かり、勝ち上がったのだ。が、落ちた人々の分まで努力をしてほしい。人々を助けよう、世の中のために頑張ろう。そういう気持ちは、実力はどうであれ、大きさは変わらないはずだ。みんなの意志を受け継いでほしい。」
いいこと言うな〜。アレックスさん。俺は異議なしだぜ。
「この学院を卒業してからの進路は、多々あるが、基本的には二つだと思っている。フェイト社の戦闘員になるか、先ほど話したエバンみたいに、教官になったりしてまた若い世代に伝える立場にたつようになるか。だがほとんどの進路に共通することが一つ、あると俺は考えている。『継承』だ。フェイト社戦闘員になっても、平和を『継承』するし、伝える立場になれば、自分の技術を教え子に『継承』することになる。とにかく、学院を卒業するまでに、この『継承』の意味を学んでほしい。長々とした話だったが、聞いてくれてありがとう。」
アレックスが話し終えた後、必然的に拍手が起きた。
『継承』か。
考えておこうか。
アレックスの話が終わり、再びマイクが副学院長に渡る。
「少しでも、勇気や、やる気が出たと思います。では、そろそろ適性試験の方に移りたいと思います。新入生の皆さんは、このホールを出て、中央広場に出てください。」
そういって副学院長は壇上を降りた。
ホール内が新入生の話声で騒がしくなり始めた。
俺は、話す相手がいなかったので、静かにホールを出て、まっすぐ広場に向かう。
向かう途中、一人、同い年くらいの新入生に会った。
先に声をかけたのは、俺だった。ま、俺は割りと明るい方だからな。
「やあ。」
「あ、やぁ。」
・・・・・困った。これ以上何を言えばいいかわからない・・・。やっぱ調子乗って他人に話しかけるもんじゃないな。
「君も一人、なのかい?」
彼が俺の代わりに話を切り出してくれた。話しかけたのは俺の方なのに、情けないな、なんか。
「ああ。・・・俺、ネロってんだ。ネロ・ガラードな。おま・・・いや、君は?」
「いいよ、言葉遣いなおさなくて。それがネロ君の喋り方なんだから。・・・僕は、エルロイ。エルロイ・バンフレアだ。」
なるほど、エルロイか。
「なんか、その。」
「よろしくな。」「よろしくね。」
同時に言った。少し、気まずい空気があったが、なんとか友達になれたみたいだ。
「ネロ君は・・・なんでラグホルンに入学したの?」
エルロイが少し、気まずそうに俺に問いかける。
俺は空気を変えようと、かなり明るめに喋った。
「俺はな〜。この世の中を平和にしたいんだ。」
「・・・。」
「い、いや!本命はそんな当たり前な理由じゃないぜ!?」
エルロイがあまりにも残念そうな顔をしたので、本命を言うことにした。
「俺はな、200年前にあったとされているテロ戦争ん時、テロのリーダーに打ち勝った戦士みたいな、英雄になりたいんだ。このラグホルン防衛学院はその一歩さ。」
「・・・うん、その理由の方がネロ君らしくて、しっくりくる!」
「そうかぁ〜?んじゃあ、エルロイの理由はなんだ?」
今度は俺がエルロイに問いかける。
エルロイは少し考えてから喋り始めた。
「僕は、両親を生まれてすぐに戦争で失ったからね。この世の戦争・紛争を根絶したいんだ。そのために入学した。」
理由としては十分だな。
「そうか。お前も両親はもういないんだな。」
「うん。・・・あ、そろそろ中央広場に行こうか?」
「ん?お、おう。そうだな!」
俺達は他にもいろいろ話しながら広場に向かった。
どうでしょうか〜?
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