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第13話 小さな少女の想いとは

 ギィィ──(きし)んだ扉を開けると部屋の中は真っ暗だった。

 宿で借りた球を軽く天井に放ると上空で優しい光が照らし始める。


「魔法技術の発展か……」


 そこには膝を抱えて(こうべ)を垂れる女の子がいた。真っ白な服が目に飛び込む。


 少女はチラリと目線をこちらに向けるが黙ったまま元に戻した。


「君は……こんな暗い所でどうしたんだい」

「…………」


 無言。何度も声をかけひなつは「アタフタ((ヽ(;´Д`)ノ))アタフタ」必死に訴えるが反応はない。


 再びこちらに目線を向ける少女。顔を傾けたまま「ここを勝手に使わせてもらっておる、邪魔だったら出ていくでござるぞ」


 少女は小さくつぶやくと立ち上がって服についた(ほこり)を払い扉に向かって歩き始めた。

 身長は140センチ程だろうか、腿まである真っ赤なキャミソール型ワンピース、真っ白な膝まである(すそ)と足元まで伸びる(たもと)が特徴的な法被のような上着を羽織い、(すそ)には桜が描かれている。


[192800262/1609882600.png]


 ひなつは両手を一生懸命に突き出し『((-ω-。)(。-ω-))フルフル』首を振った。


 僕は必死に両手を左右に振って『違う』ということをアピールする。


「そうでござるか」


 少女は再び元いた場所に戻り座り込んだ。ひなつが隣に座って身振り手振りで一生懸命に何かを伝えているが反応はない。


「すまないでござるな。拙者は耳が聞こえぬ」


 うなだれたまま答えた言葉に衝撃を受けた。考えてみれば音に反応する様子はなかった。


 口のきけない日向夏(ひなつ)に耳の聞こえない少女、口を大きく開けて一生懸命「な・ま・え」と繰り返す。少女はハァ?といった顔。ひなつの伝えたいことが伝えられない気持ちが良く分かる。


 一生懸命口を動かしたせいで顎が痛い。座り込んで頬を(さす)る……


「あっ! 飴!」


 急に出した大声にひなつは『(o゜-゜o)?』。


「骨伝導だよ骨伝導! 舐めると音が聞こえる飴があったんだ!」

「(艸#◎дo#){?)」──ちんぷんかんぷん。


 透明化した硬化青水を彼女の耳骨に押し当てる。僕はしっかり振動が伝わるよう口にあてた。


 少女は耳に感じた違和感を取り除こうと手を伸ばす。


「待って、そのまま聞いて」


 物凄いスピードで横に逃げる少女「お主、何をしたでござる」と拳を振り上げる。


 さっきの位置に座るように必死に指さすと少女は黙って座った。


「骨に振動を与えて話しかけているんだ。ぼくは三流(みるる)、彼女は日向夏(ひなつ)。君の名前を聞いてもいいかな」

餡子(あんこ)でござる」

「σ(o^_^o)」──笑顔で頷いている。私はひなつですとも言いたそうな表情。

「みるる殿に聞いたでござる。ひなつ殿、よろしくでござる」

「(ღ✪v✪)」──伝わったことが嬉しかったのだろう、素早くうんうん頷いた。


「それで……」──彼女はステータス情報を中空に映した。


   ランク:3流 ギルド:冒険者(黄)

   レベル:16 スキル:武器長短


「実はサムゲン大森林で武器を無くしたでござる。拙者のスキルは『武器長短』、熟練度を上げて友達になった武器の大きさを自由に変えられるのでござる。その大事な武器を一つ落としたのでござる」


 服の(たもと)から取り出したのは5センチほどのハンマー。弓や槍、斧なんてものもある。


「(ღ✪v✪)」──目を輝かせるひなつ。いかにも可愛いものをみる女の子。

「そんなに大事なことを僕に教えちゃっていいの?」

「ああ、みるる殿のこれは、属性の(ことわり)であろう。こんなすごい力をバレることを恐れずに使って拙者に話しかけてくれた礼だと思うでござる」


 ……バレる。そんなことは全く考えていなかったー。しかもやっぱり青水は属性の(ことわり)なんだ。


「あんこさんは何でここに一人で?」

「それはでござるな、サムゲン大森林で仲間とはぐれ大事な刀を落としたのでござる。路銀はリーダーが持っていたので無一文でござるからな。この場所を拠点に仲間と刀を探していたのでござる」

「そんなことが──」……ひなつは『。・゜゜ ‘゜(*/□\*) ‘゜゜゜・。』状態だった。


 あんこは黒く艶やかなストレートヘアーを揺らしながらひなつをなだめていた。体の小さなあんこがひなつを慰めている姿に思わず笑みがこぼれた。


「みるる殿、今、拙者のことをバカにしたであろう」

「い、いや……」──手を素早く振り必死に否定する。

「まあ、いいでござる。何年この姿をやっていると思っているでござるか。表情で直ぐに分かるでござる」


 右ひじを引かれる感触、ひなつが小さくクィックィッと袖を引っ張っる。


「(o^_^o)σ …… σ(o^_^o)」──あんこの手を取り僕の手を取りみんなの手を重ねて交互に見回すひなつ。

「あんこさん、ひなつが良ければ一緒に行かないかって言ってるみたいだけど」

「拙者は人と刀を探さなくてはならぬでござる。申し出は嬉しいがそういう訳にいかぬでござる」


 必死に袖を引っ張るひなつ、『(இдஇ; )』な表情……上目づかいでそんな顔をしたら断われるわけないじゃないか。


「僕たちも一緒に協力するよ。軍資金も多少は持ち合わせがあるからひなつのためにも一緒に仲間になってもらえないか」


 必死にあんこに(すが)りつくひなつ。根負けしたのか「分かったでござる、刀と仲間が見つかるまでで良ければお願いするでござる」


「\ ( * ⌒ ▽ ⌒ * ) /」──満面の笑みだった。


「後悔しても知らぬでござるぞ……」


 あんこは悲し気な顔で呟いた。意味するところを後日知ることとなる……。

==========

《登場人物紹介》

 ・速水はやみ 三流みるる 所持金:金貨999枚 

   ランク:3流 ギルド:冒険者(茶)

   レベル:1  スキル:絶対パリィ

   初めての依頼が大変なことに。仲間の護衛を失った。

 ・日向夏ひなつ

   ランク:3流 ギルド:冒険者(茶)

   レベル:8  スキル:言霊詠唱

   猫耳ヘアーの女の子。喋れない。みるるをサポートする女の子。

 ・餡子あんこ

   ランク:3流 ギルド:冒険者(黄)

   レベル:16 スキル:武器長短

   ベオカで出会った少女、巫女のような服を着ている。


 ベオカ

 ・宿の主人:ベオカの所有物、交代で担当。

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