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私の名はマルカ【連載版】  作者: 眼鏡ぐま
●婚約者編
118/121

27.友のための祝辞

とんでもなく遅くなり申し訳ありません。

ちゃんと最後まで書ききるのでご安心を!

 

 ついにバージェス殿下とクリスティナ様の婚姻式典での、私たち魔法省職員の大仕事の時間がやってきた。


「今日が晴れで良かったわね」

「本当ね。光組はかなり気持ちが楽になったんじゃない?」

「ああ、本当に晴れてくれて良かったよ。ただ魔法で光を降らせるだけでも綺麗だが、自然の力でできるものは格別に美しいからな」


 今日の式典を彩るための合同魔法を扱う、魔法省の選抜職員が雲ひとつない青空を見上げながら安堵の表情を浮かべて話していた。

 今回の合同魔法は光組と雨組に分かれていて、私は雨組だ。


「さあさあ! お喋りはそこまでにして、皆配置についてくれ」

「了解」


 魔術師長が声をかけると返事とともに各々が指定された場所に向かった。

 私たちが向かったのは王城のメインバルコニーの裏手。

 メインバルコニーにはもうじきバージェス殿下とクリスティナ様、つまり王太子夫妻が登場し、集まった民衆たちに向けてのお披露目が行われる。

 今回の式典に際して魔法省が請け負った仕事は、王太子夫妻の登場をより華やかに演出するというものだ。

 大まかにプラン➀とプラン②があり、晴れた場合は➀、雨の場合は②を行うという計画だった。

 プラン②はバルコニーやその周りを透明なシールドで囲い、王太子夫妻を雨から守ること。

 そして上空から光や花を降らせるといった煌びやかな演出を行うというものだった。

 プラン②だった場合は雨組がシールドを張る役割で、光組が光や花をド派手に、且つ邪魔にならないように降らせる役割だった。

 しかし今日は見事に晴れた。

 つまりプラン①である。

 もうそろそろかと待っていると、メインバルコニー側からわあっという歓声が上がった。

 それを合図に、私を含めた雨組の魔術師が上空から雨を降らせ始める。

 雨と言っても極々少量で細かく、どちらかというとほぼ霧だ。

 これをずっと一定の量で、限られた場所だけに降らせ続けるのが今日の私の仕事なのである。

 私達の他に、王城の外にも魔術師が配置されており、合図とともに同じように空中に霧を発生させた。

 するとここでメインバルコニーのほうから「見て!」「すごい!」「何てめでたいんだ!」と先程とは違った歓声が上がった。

 私たちが発生させた霧に太陽の光が当たり、王城のバックに虹が出現したのだ。

 虹は通常雨が降った後などに見られるもの。

 晴れていることは第一条件として、それを何とか意図的に生み出せないか魔法省のみんなで練習を重ねた結果が今現れている。

 大雨ではなく一定量で継続的にこの霧を生み出すことができるかどうかで、この演出に加わることができるかどうかが決まったのだけれど、私はもちろん一発クリア。

 日々魔力コントロールの訓練をしていて本当に良かった。

 クリスティナ様が新たな一歩を踏み出す素晴らしき日に花を添えることができるなんて、なんて光栄なことだろう。

 直接お披露目を目にすることができないのは残念だけれど、やりがいしかない。

 攻撃魔法や防御魔法、生活魔法も大切だけれど、今回のように人を喜ばせたりすることに大掛かりな魔法が使えるのはこの国が平和だからだ。

 その平和を維持することを誓う王太子夫妻の門出に見合った魔法を使えるのはとても嬉しいことだ。

 思わず「ふふ」っと顔がにやける。


「光組の演出も始まった頃ね」


 虹だけでもかなり綺麗だとは思うのだが、ここで光組がさらなる演出を加えることになっている。

 きっと今頃王太子夫妻の周りには、光組がキラキラと光る魔法の蝶々や花を降らせているだろう。

 私たちのいるこの場からではその景色を見ることはできないが、聞こえてくる歓声から計画が成功したことが覗えた。


「おめでとうございます。クリスティナ様、バージェス殿下」


 本当は「クリスティナ妃殿下」と言わなければいけないのだろうけれど、誰に聞かれるわけでもないし、クリスティナ様の友人として祝辞を呟くくらいは許されるだろう。

 呼び方を変えようとした私に対し、「公式の場以外では今まで通りに接してくれなければ嫌よ? 私が私であるためにもそうしてちょうだい」と言ったクリスティナ様の顔を思い出しながら、終了の合図が出されるまで私は魔法を使い続けたのだった。


まさかの1ヵ月ぶりの更新でした……。

それなのにこんなに短くてすみません_(>_<;)_

毎年のことながら、自分の部屋にエアコンが無いのでこの季節は暑くて、暑くて…(;´Д`)

さすがに今年は命の危機を感じ始めたので、デスクトップPCごとエアコンのある部屋に避難したのです。

しかし、エアコンのある部屋には人が集まるわけで。

パソコンいじってると、後ろから親が「なにやってるの?」と覗き込んでくるんすよ……。

家族にも内緒でやってるのでなかなか書き進めることができず。

そんな理由で遅くなりました。(それ以外にも理由はありますがメインはこれ)

もう少し長く書く予定だったのですが、前回からあまりにも開き過ぎたため一旦区切りの良い所でアップしました。

次話も時間かかるかもしれませんが、気長にお待ちいただけると幸いです。


眼鏡 ぐま


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