表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉少女  作者: 羽栗明日
5/6

幕間2

 老婆が話し終わるとともに、若い男は立ち上がった。

「やはりここは俺が思っていた場所なのか?」

 そのまま老婆に近づいて行く

「そしてあなたはもしかして」

「おやおや。あんたは変わらず決断が早いねえ。早とちりとも言うけれど」

 まくしたてる男をみやりながら、静かに老婆は語りかける

「ちょっと待ってください!」

 若い男の進路を塞ぐように、幼い男も立ち上がった。

「僕もあなたを知っています。やっぱりあなたの言う通り僕は知っていたようです。ここがどこなのも、僕は知っているんですよね?」

 老婆は二人の質問には答えず、静かに笑っているだけだった。

「もうあなたに聞いても埒があかない」

 若い男はしびれを切らしたように両手を上げる。

「こうなったらもう自分で調べるしかない。今から俺はこの城を調べさせてもらう」

「城?」

 そのワードに反応した幼い男が振り返る。

「あんたは今ここのことを城って言いましたか? 僕はここがお屋敷だと思うけれども」

「ふん、知ったことか。俺は俺の思う通りに言っただけだ。じゃあな」

 そう言ってドアの方に向かう。

「待てよ、僕も行く。ここがどこなのかは、これから調べればわかるだろうし」

「ふん、勝手にしろ」

 そう言って若い男と幼い男は部屋から出ていった。

 部屋の中には老婆と老いた男だけが取り残されてしまった。

「やれやれ、なんだか静かになってしまったねえ。まだ全部話し終わってないっていうのに」

 そう老婆がつぶやいても、先程からのやり取りに反応する様子のない老いた男は、まだ俯いていた。

「そしてあんたにはここはどこだかわかっているんだろう? 私が誰かっていうことも」

「ここは病院、だろう」

 老いた男は重たい口を開いた。

「ここは病院の最上階だ。そのベッドは患者用のものだ。そしてあなたは」

 初めて男は顔をあげた。

「私の娘だ」

 その言葉を聞くと老婆は満足そうな顔をした。そして本を開くと、静かに語り始めたのだった。

 3人目の“彼女”の話を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ