28.銀次ギルドメンバーになる
コンコンコン
「失礼します」
ギルドマスターの部屋へ入ってきたのは銀次だった。
「どうだ?ここの生活は慣れたか?」
銀次がギルドに加入して3日目、転生組パーティーに加わり探求者生活を送りはじめていた。
30分程前、地下墳墓から戻ってきた銀次に声をかけ、自分の元へ来るように言っておいたのだ。
銀次に転生組パーティーを紹介したのはもちろんナベだ。この世界で同じ境遇を分かち合える仲間は転生者くらいだろうし、何より銀次のレベルアップを狙ってのことだった。
実は銀次の索敵スキルは数百メールに及ぶ広範囲をカバーでき、探求者随一の能力だった。
「えぇ、いい人達ばかりで・・・ありがとうございました」
銀次は深くお辞儀をするとにっこりと笑った。
銀次の表情を見る限り、とても充実しているのだろう。とても感謝されているのが伝わってくる。
「そうか・・・数日で一気に成長した様だな。・・・・初級探求者には申し訳ないが、お前には早いところ成長して欲しいから、頼んだぞ」
それだけ伝えると、「もういいよ」と銀次を帰した。
(これだけの為に呼んだの?)
何か特別な用事でもあるかと期待していた銀次は、肩透かしを食らった様な感じだった。
ギルドマスターの部屋を出て、ギルドの受付の前にきた時に、受付の女性に声をかけられた。
「銀次さん、マスターは何と?」
「お前には早く成長して欲しいと・・・」
「他には? もっとあぁしろ、こうしろとかアドバイスはなかったですか?」
「う〜ん、特に。 一気に成長したな、とは言われたけど・・・3日で成長する訳ないのにね」
「マスターがそう言うんだったら、そうなんですよ。 へ〜 一気に成長かぁ」
そう言いながら俺を値踏みする様に見る受付の女性・・・名前は確かマリア。
「あっ、そうか! 君はまだ知らないんだ」
先程までの受付嬢らしい態度ががらりと変わり、フレンドリーに接してきた。
マリアは、ここぞとばかりマスターの事について語りはじめた。 話はギルド設立の経緯まで広がり、30分程足止めをくらったのは言うまでもない。
「ま、そういう事でマスターは君のレベルを確認する為に呼んだんですよ」
(成る程、そう言う事か・・・)
「そして、一応マスターの期待以上に成長しているって事。今度の遠征に連れて行ってもらえるかもね」
「今度の遠征って?」
「地下墳墓24層の探求よ」
「24層? 先ほどの話しでは、レベル=適正階層 ですよね。マスターやカオルさんであれば、とっくに先へ行っている筈では?」
マリアは少し困った顔をして話しを続けた。
「その筈なんですけどねー。 どうも、24層にはボス的な敵がいる様でして・・・」
「マスター達でも太刀打ちできないと?」
「少し前までは、って事ですが。その時はレベル25だったかな。それでも全然って感じだったそうです」
「もちろんお一人ではなく、パーティー戦でですよ。 でも、次はいけるってマスターが仰ってましたから」
「なんでそんなのと戦うんだ?」
この言葉を皮切りにさらに30分足止めを食らう事に・・・
マスターのパーティーメンバー救出の為か・・・もう何ヶ月も前の話しだ。未だに生き延びている保障は無い。それでも諦めていないとは・・・流石はマスターと行ったところか。
どのみち、俺たち転生者組は強くならなきゃならない。逃げて楽したところで何も残らない。
藤岡とは違う生き方を選んだんだ。マスターについて行こう。改めて決意を固めてギルドを後にした。




