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27.盗賊討伐 その2

銀次と言う男は大通りから脇道に入っていった。

方角的には先程まで飲んでいた『おっさん亭』のある繁華街の様だ。裏路地を通り、近道するつもりなのだろう。この先は人通りの少ない地域、そこで声をかける事にして後を追った。


不意に前を走る男が止まった。

こちらを振り返ったかと思うと、こちらに近寄ってきた。

カオルとアキラは左右に拡がり男の一挙手一投足を注視している。


「あんたら 何モンだ?」

「・・・」


「尾行してるのは知ってるんだ。 そっちのお前、あの現場からずっと居るだろ」

男はそう言いながらアキラを指差した。


「索敵スキルか何かか?」

ナベは僅かに期待して聞いてみたが、返ってきたのは別の答えだった。


「お前は・・・探求者ギルドの関係者だな? 」

ナベは男を知らなかったが、相手はナベの事を知っていたらしい。

(こんな事なら、覆面でもしておくんだったかな)


「ああそうだ。 一応探求者ギルドのマスターをやってるナベだ。 君は銀次でいいか?」

銀次は頷くと、さらに質問してきた、

「お前も日本からか?」

「あぁ 俺達(・・)は日本からだ」


「そうか・・・」

男はそれまで張り詰めていた雰囲気から一気に解放された様に崩れ落ちた。

カオルとアキラも

「頼む、助けて・・・俺を助けてくれ!」

銀次はナベを見上げ懇願してきた。


「一体どうしたって言うんだ?」

「ギルドへ、ギルドへ連れていってくれ・・・頼むよ、あいつらが来る前に・・・」

切羽詰まった様子に何らかの事情があると察したナベはギルドのある教会へ銀次を連れて行くことにした。



「どぉぞ これでも飲んでリラックスしてください」

ギルドの応接間に、ナベと銀次が向かい合ってソファーに座っていた。

カオルは銀次にハーブティーをすすめると、ナベの隣に腰かけた。


「それで、助けてくれって言うのはどう言う意味だ? お前もあの盗賊の一味なんだろ?」

銀次はナベにこれまでの全てを語った。

金髪の少女に会い、この世界へやってきた。気づくと教会にいて、すぐに藤岡という男に声を掛けられた。

この世界のことを教えてやるからと仲間に誘われ、付いていった。すぐに彼らが犯罪を生業としていることに気づいたが、この世界で生き抜く為に必要な事だと説明され半分疑いつつも、一人ではどうしようもなく彼らと共にした。

ある時、探求者の存在を知り、犯罪から足を洗うことを提案したが、藤岡に断られ疑いは確信に変わった。

俺は組織を抜けようと思ったのもつかの間、翌日には藤岡がこの街を離れると言い出し、そのままこの街を後にした。

その後は街を転々と犯罪に手を染め、そして数ヶ月ぶりにこの街へ戻ってきた。

他の街にいた時に探求者ギルドが設立されたという噂は耳に入っており、この組織ならば藤岡を止めれるのではないかと思い、探りを入れていた矢先に現在に至る。


「なんですぐに逃げ出さなかったんだ?」


「お前達は知らないんだ。藤岡達の勢力はこの国の裏社会のかなりの範囲に及んでいる。ちょっとやそっとじゃ倒せない。王国の内部にも通じているだぞ」

王国が絡んでいるとなると多少慎重にならざるを得ない。


「あいつら悪事の証拠はあるか? 一応、さっきの事件に関しては問題ないと思うが、組織を一網打尽にするにはそれなりに証拠が必要になってくるだろう。」

ナベは銀次に問いかけた。


「それなら、各街の事務所に全てあるはずだ。そこに盗品から密売品まで全てが隠されている」


「よし、お前はここに居ろ。 これからあいつらを捕えてくる」

ギルドスタッフに銀次の世話を指示すると、カオルと共に部屋を後にした。

ナベ達がギルドのロビーに着くと、そこには30人程の探求者が集まっていた。


「例の盗賊団が見つかった。現在アキラが尾行している。相手はどんちゃん騒ぎの真っ只中だ、一網打尽にするぞ!」

「あと、数人は俺と同じく(・・・・・)スキル持ちの可能性がある。油断するなよ」

そして足早に盗賊討伐へと向かっていった。


ナベは街で一番大きなナイトクラブの前に着いた。アキラに状況を確認すると探求者に建物を取り囲む様に配置し、裏口へと回った。


裏口から、店主を呼び出すと、状況を説明した。

「分かりました。そう言う事情でしたら、まず他のお客様を此方へお通しし、避難していただきましょう。その後、店の子達の避難に移りましょう」


そう言うと、店の中へ戻っていった。念のために、カオルが店員になりすまし店長に同行した。


避難は順調に行われ、全ての客の避難が完了し、順次スタッフも避難にかかった。


最後に、藤岡達に付いている女の子たちを店主が呼びに向かった時だった。

「なんで、連れて行くんだ! それなら別の子を呼べ! 」

「兄貴ぃ なんだか今日、女の子も客も少なくねぇか?」

藤岡は周りを見渡すと、先程までいた客が全くいない事に気付いた。


「いったい どうしたんだ?」


「えぇ、実は本日領主様の館でパーティーがございまして、皆そちらに連れて行かねばならないのですよ。その為、本日は早々に店仕舞いの予定だったのですが、お客様が商会の方とお聞きしていたので、ギリギリまでお付き合いさせていただいておりましたが、お迎えが参りましたので急ぎ連れて行こうとしたしたいでございます」


「ふむ。領主様か・・・しかし、なんのパーティだ? 私の耳にも入ってないぞ?」

そう聞いてきたのは世話役の男。商会では幹部のポジションにあり、この様な情報は逐一耳に入ってくる。


「私も詳しいことは存じませんので・・・ しかし、最初に向かった娘たちがすぐに戻ってくると思いますのでこのままお待ちいただければ幸いです」


「すぐ来るんであれば、まぁ良い。 さっさと次の葡萄酒を持ってこい!」

男たちはすぐに女の子達が来る事がわかると、またどんちゃん騒ぎに戻った。



「これで店の子達は全員です。 あとはよろしくお願いします。なるだけ店は壊さ無いようにお願いしますね」




「おーい酒はまだか?」

厨房の方までやってきた男と目が合い、ナベはすぐさまボディーブローを繰り出す。男は一瞬にして気を失ってしまった。


「行くぞ」


煩かった店内が静まるのに5秒とかからなかった。

完全武装の探求者達に囲まれ、更には酒で足元も覚束無い状況では状況を判断するにも時間がかかる。

「一体貴様らは何もんだ?」


「探求者ギルドの者だ。俺はギルマスのナベ。出身はお前と同じだ。藤岡!」

藤岡の眉が僅かに動いた。

「ほう 俺を知っているのか? で、俺が何かしたってのか? 」


「先ほどの爆発騒ぎ・・・あれはお前だろ。」


「証拠は?」


「盗賊団の討伐依頼がギルドにきていたから、事件からずっと尾行させてもらっていた」


「なに? 銀次は? あいつは何も言ってなかったが・・・・ フッ・・・」

藤岡は笑みを浮かべたかと思った瞬間、 “パーン” 藤岡が見事な早撃ちでナベに弾丸を撃ち込んだ。


キーン

ナベの籠手が藤岡の弾丸を弾いた。


パン、パン、パン、キン、キン、キン

ナベは全ての弾丸を弾き返した。

「弾を・・・弾きやがった!」


「お前達は何のためにここへ来た? そんなもんが役にたつんであれば、我々はここに来ちゃいない」

魔法でコーティングされた籠手を只の弾丸が撃ち抜く事は困難。

これは、剣や槍も同様。ただの武器では、傷一つつける事は出来ない。ただし、ある一定の熟練者は()を伝える事で、コーティングを破る事が可能になるのだが、藤岡達はその域に達していない事は明白な様だ。


次に藤岡はカオルに銃口を向け、引き金を引いた。

だが、弾丸はカオルに見えない壁に阻まれるかのごとく、空中で止まった。

カオルは、ナベが銃で撃たれたあとすぐにプロテクションの魔法を張り巡らせていた。

「無駄です。 既に防御魔法で低位の物理攻撃は無効化できます」


「低位だどぉ・・ぐぬぬぬ」


「抵抗するようであれば、それなりに痛い目見ることになるぜ」

既に戦意をなくしていた盗賊団は藤岡共々捕らえられた。



ひと月後、藤岡達の悪事の全容が解明され、組織が隠し持っていた財産は王国に没収され、その中から今回の討伐報奨金がギルドにたんまりと支払われることとなった。

また、藤岡とその一味4名が組織の中心メンバーとして処罰される事となった。

もちろん銀次に関しては、ナベが裏で手を回し藤岡に操られていた事となっており、無罪となった。


藤岡と一味の処刑は火あぶり。生きたまま焼かれ、生涯を閉じる事となった。



ーー現在ーー

「網走刑務所に収容されていた死刑囚5名が、一昨日夜心肺停止で死去していた事が判明しました。現在詳しい原因を調査中とのことです。 今朝のニュースを終わります」






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