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24.サンダーバードと幼生

見渡す限り、草原が広がっている様に見えるが、これは草原ではない。

今、俺は大亀の糞から伸びた木の上に立っている。草原に見える地面は、蔓の様な蔦の様な枝が幾重にも重なり、その上に日光を得ようと隙間なく葉が生い茂っている。


ここに登るまで一体どれくらい経っただろうか。四精霊と契約した後、睡魔に襲われ僅かばかり眠った後、木のてっぺんを目指すこととした。理由は サンダーバード。イフリート曰く雷属性の最上位の精霊だというので、できれば契約したいということからだ。その為、生まれたてのサンダーバードの幼生を探す事とした。


だがこの大木、すんなり登れるものではなかった。日に日に幹も太くなり、真っ直ぐに立っているようで登るためには幹を螺旋の様に回りながら少しずつ登るしかない。途中途中に枝の密集部ができており、ちょっとした空間を創っていた。 ちょっとひと休みと思ったが、それは問屋が卸さない。そんな都合の良い場所がある訳がない。


そこは魔物の巣窟だった。 7日間の豊饒祭が終わったのだろう。精霊達が居なくなった後、彼奴らは至る所に現れた。そしてこんな寛げる空間は、必ずと言っていいほど彼奴らの寝ぐらとなっているのだ。

特に亜人は知能が高く、それぞれのエリアでコロニーを構成していた。


そして極めつけは魔人。 知能も高く、強力な魔法も使ってきた。

その辺の話しは後日のお楽しみに・・・


さて、そんなこんなでここまでやってきた訳だ。途中数え切れない回数の睡魔に襲われ、その都度イフリート達に護衛してもらった。

睡眠時間は決して長くは無い。ちょっとした居眠り程度だとイフリートからは聞いている。だが、定期的に襲う睡魔には勝てず、記憶を無くすのだ。不思議な事だが、この日没のない世界の理なのだろうか、それとも魔物と人間の違いによるものなのか?そんな疑問を抱きつつ、ここまで辿り着いた。


さあ、此処からが本番だ! 「サンダーバードを見つけるぞ!」

イフリートは太刀に、三精霊の姿は見えない。

いざという時は姿を現してくれるので、その辺りに居るのだろう。実体のある生物とは異なりそうなので、何となくそう解釈することとしている。


辺りを見渡し、違和感を感じる。

こんなだだっ広い所なのに、魔物の気配が無い。日が当たるのが嫌なのか? そんな訳は無いわけで・・・。

そう思った矢先、空から(いかづち)が落ちてきた。


雷は、俺の身体の周りを囲みながら地面へと流れ落ちていった。

(今のはヤバかったよなぁ・・・)

水障壁魔法(ウォーター・バリア)で防御していなかった終わっていたかもしれない。

それぐらいの衝撃だった。ダメージは無いが、目と耳は直ぐには回復し切れない。

「イフリート、頼む!」


イフリートは太刀から姿を変え、翔の盾となる形で仁王立ちとなり、空を見上げる。

そこへ、雷が降りそそぐ・・・そう、降りそそいだのだ。何十発も。


イフリートが全ての雷を受け止め、下へと流しているのが分かる。

水障壁魔法(ウォーター・バリア)を重ね掛けし攻撃に備えていたが、とても持ち堪えれるものではなかったと思う。ほんとイフリートがいて助かった。

その間で、目と耳もだいぶ回復してきた。


雷が収まった後、一瞬大きな影が俺たちを包み込んだ。そして俺たちのの目で、そいつは羽ばたいていた。

『本物のイフリートだったとは。 我が子の誕生を祝いにでも来てくれたのか? 』

「・・・」

『それとも、其処の虫と共に我が領域を侵しに来たか?』


『我が主人(あるじ)を “虫” 呼ばわりとは、聞き捨てならぬなぁ。 焼き鳥にしてくれようか!』

イフリートはサンダーバードを挑発する。


『ほおぉ 焼き鳥とな! やれるものならやってみるがよい。 本来の力を出せぬお主が満足に戦えるのであればな!』


まさに一触即発の状態になってしまった。


「ちょっと待った! 俺たちは争いたくてきたわけじゃ無いんだ」

此処で無駄な争いはしたくない。 というか仮に倒せたとしても何も得るものがないどころか、親の仇にさえなりかねない。ここは止めなければ・・・。


『では何故ここに来たのだ?』

正直に話して良しとしてくれるかどうか疑わしい所だが、相手は精霊であり人外の者。正直にありのままを話すこととした。


「実は、雷属性最強のサンダーバードの力を借りたくてここまでやってきたんだ」


『我が力を借りたいだと?』

「あぁ・・・まぁ目的はお子さんの方だったんですが・・・」

『やはり我が子を狙っておったのか!』

「イヤイヤ 話しを聞いてくれ! 精霊の契約相手は一人だけだろ? だとすると、既に相手のいる親よりはまだ生まれたての子供の方が契約できる可能性が高いってことでしょ?」


『フム 契約を望むか・・・確かに私は既にルキフグスと契約を交わしている故、お主との契約は難しい。 だが、我が子がお主との契約を望むかはわからぬぞ』


「まぁその時は諦めるわ。 だが、可能性があるならチャレンジしたいからね」


『・・・イフリートを伴った人間。そして、この地にいるということは、ルキフグスが認めた人間という事は・・・それなりに可能性はあるかもしれないわねぇ』

『良いでしょう。 あなたの目的は理解した。我が子と交渉する事は認めます。 ただし、少しでもおかしな行動をするようであれば容赦はしない』

サンダーバードは、そう言うと何処かへ飛び去っていった。



一応サンダーバード(親)に認めて貰った事で、雷に撃たれる事なく、幼生を探すことができた。

もちろん、この地に踏み込んでいるであろう魔物達がサンダーバードにことごとくやられているのは、至る所で轟いている雷鳴が証明している。ある意味最も安全な場所である。


そしてこの広すぎるツリーの最上部をこれまた数え切れないほどの睡魔に襲われながら、漸く目的の者と出会うことができた。

が、本当にこれだろうか・・・。

生まれたばかりの雛は親鶏と異なる事は理解している。だが、目の前のこれは雛とも異なる。

まず、親にはあった美しい羽根が無い。美しくない(・・・・・)と言う事では無い。羽根が無い・・・。代わりに鱗のような物で覆われている。次に翼だが、これも雛のためなのか・・・ほとんどわからない。キューPー人形に申し訳程度に付いている翼の様な感じだ。極めつけはそのサイズ。親はあれだけ巨大だと言うのに、目の前の雛は少し大き目の鶏サイズ。 幾ら何でも違いすぎだろ。


「イフリート。 アレはサンダーバードの幼生で間違い無いのか?」

『感じるエネルギーは間違いなく、雷属性のものだ。 だが、余りにも弱々しい故、この距離で漸く感じれる程度だ』

イフリートはそう言いながら、太刀から魔人の姿へと顕現した。


幼生はこちらの様子を伺っている様だ。俺はこれ以上警戒され様ゆっくり近づきながら、幼生に声をかけた。期待は余りしていなかったが、幼生はさも当然だと言うように、言葉を返してきた。


『我に何か用か?』

生まれたての幼生のくせに、偉そうな奴だ。まぁこちらも十分怪しいだろうから、致し方ない部分もあるのだが・・・。

こうして俺は、幼生との交渉が始まった。





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