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11.イフリートの秘密

『我が主人(あるじ)よ・・・』

堂々たる佇まいから片膝をつきつつ放たれた言葉は少し意外だった。


「主人? 焔の太刀の主人って意味かしら?」

「確かに、今まで、イフリートが翔を主人って言ったことは無かったな。」


『我が主人よ、先ずはこれまでの非礼をお詫びしたい』

『我はイフリートであり、イフリートでない。我は、イフリートの一部にて創られし太刀。故にイフリートとしての力の行使は可能ではあるが、その力は無限では無い』


イフリートはそう言うとこれまでの経緯を語りだした。その表情からは読み取れないものの、言葉からは苦悩したであろうことが窺えた。


『太刀として生まれ変わった我は、所有者の求めに応じ共に闘った。対価としての魔力も必要とせず、我は力を与え続けた。何世代の持主が変わった時だったか、無限にあると思っていた魔力が減りつつある事に気づいたのだ。それまで感じることもなかった疲労感が襲い、みるみるうちに底をついてしまった。』


イフリートは目を伏せ一息つくと再び語り出した。

『焔の太刀であり続けるために魔力を持つ者を所有者に選び、生きながらえて来た。 だが、先代の所有者は強大な敵との戦闘の最中に魔力が枯渇してしまった。我も全ての魔力を放出し応戦したが、彼者の力は届かずそのまま息絶えてしまった。その後全ての魔力を失ってしまった我も深き眠りに抗うことも叶わず、只々朽ちるに身を任せていた・・・御身に拾われるまでは。』


イフリートが再び俺の方を向き直し僅かに微笑んだ。

『一気に大量の魔力が我に注がれ、我は目覚めた。久々に感じた爽快感であった。漸く現れた太刀の主人に同じ過ちを繰り返すことの無いよう、我は魔力をこの身に蓄積する事としたのだ』


「つまり、焔の太刀に必要な魔力以上の魔力を消費していたって事?」

『その通り、初めはほんの僅かな量だった。しかし、御身の魔力回復力は尋常ではなかった。魔力を枯渇しても暫く時間が経てば回復してしまう。そして、我が魔力の貯蓄量は徐々に増えていった。だが、同時に私は気づいてしまった。御身は剣士ではなく、魔術師(マジックキャスター)こそが天職であると』


魔術師(マジックキャスター)? 俺が?」

「おいおい魔術師が天職って・・・確かにさっきの魔法は凄かったが、剣術も並みじゃ無いぞ?」

「・・・私もイフリートさんの言う通りだと思う。 第6位階魔法なんて初めて見たもん。それに、発動した後も全然余裕だったし。それって魔力の容量が大きいって事ですよね。私なんて第4位階魔法で3割くらい消費するとちょっと目眩がするもん」


『汝も成長途中、じきにその様な症状は無くなろう。我が主人に限っては端からその様な兆候はない。この3ヶ月間更に魔力は増大する一方で底が知れない。遂には我も全盛期近くまで魔力を回復するに至った。再び我に力を満たしていただいた恩、焔の太刀の主人としてではなく、このイフリートの主人として御身にお仕えします。これより焔の太刀は魔力の貯蔵庫としてお考えいただければよろしいかと。勿論雑魚処理にご使用でも構いません』

言い終わると、イフリートは頭を垂れ姿を消した。


「剣士としても十分一流だってのに、 それよりも魔術師(マジックキャスター)が適性あるなんてチートすぎだろ!」

「さあ、時間も体力もまだまだ大丈夫でしょ。 次ぎの階へ急ぎましょ。」


地下墳墓第4層、三層の石造りの空間からガラリと変わり、鍾乳洞を思わせる人工的な要素が全く感じない空間だ。足場が悪いため、剣技のみで臨むには厳しい階層だろう。だが既に魔法主体と決めた俺は只々火球(ファイヤーボール)を繰り出し、片っ端から出てきたモンスターを退治した。

「これまで以上に、回収専門隊員になった気分だ。」

「そうですね。モンスターもそれ程強い訳でも無いですから、一気に下層まで駆け下りて行っても良いかもしれません。一気に私の第4位階魔法を受けても倒せないモンスターがいる階層まで駆け下りませんか?」

「第4位階って・・・普通の探求者じゃまず使えねぇレベルだろ? 確か、最近23層に到達した探求者チームの噂があったが、そいつらの仲間に第4位階魔法を使えるのがいるって話だったよな。少なくともそれ以上は下りるって事だな」

「1日2、3階層下りていけば直ぐだよ! どう?翔さん」

「そうだね。この辺りのモンスターに時間をかけていても仕方ないし、とっとと下層に進もうか。ナベももっといい素材を採取した方が、いいでしょ? 」

「まぁ 確かにこの辺りじゃ大した素材は取れねぇからな。 だが、戦闘は任せるぜ? それと無茶は無しだ!いいな?」

「よぉ〜し、 そうと決まれば しゅっぱ〜っ!」

いつになく元気いっぱいなカオルに引っ張られ、俺たちは先に進むのだった。


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