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勇気のブランコ

作者: まさお


さとし選手は小学2年生。何かとおっちょこちょいで、階段を登れば足を踏み外して転げ落ち、鬼ごっこをすれば前方不注意で電柱にぶつかる。そんな彼が今日、ブランコジャンプに挑戦します!


ブランコジャンプとは勢いをつけたブランコが前に振れる動きに合わせ飛び、その着地距離を競う競技で、全国のちょっとファンキーな小学生なら誰しもしているホットな遊びです。


しかし、この競技には一つ、とても大きな危険が伴います。みなさんちょっと自分の頭の中で、公園にあるブランコを想像してみてください。


想像できましたか?実ブランコの周りには、安全のための鉄の囲いが設置されている場合が多いのです。まるでこの競技でわざと好記録を出させないよう邪魔しているかのように。そのため参加者は枠内で安全に遊ぶ集団と、危険を顧みず枠を超えるような大ジャンプを競う集団に分かれます。ちなみに前者はヘビー級、後者はフライ級とそれぞれ呼ばれます。


さて、では今回挑戦するさとしくんはどっちなのかと申しますと、答えは前者、ヘビー級に属します。確かにいつも遊ぶたびに怪我をするさとしくんではありますが、彼は一度も意図して危険な目にあった試しがありません。全て事故、なんなら本人は自分はもう二度と怪我なんてしたくないとビクついているくらいですから。しかし今日の彼は違います。怪我を恐れてビビってる自分に何より自覚的なのです。そしてそんな自分を変えるべく、自らの足でリングに上がります。対戦相手はビビっている自分。彼に勝たなければ一生ヘビー級に留まることになることでしょう。


さあいよいよ準備が整いました。さとし選手は緊張な面持ちでゆっくりイングイン。自らのお尻をブランコに浅くセットするとそのまま後退し、ゴングが鳴るのを待ちます。


カーン!


ゴングはないのでさとし選手ひとりでにスタート。重心を移動しどんどん加速します。徐々にブランコの振れ幅に高さが増してくると、足をブランコ台にかけ、立ち上がりジャンプ最終段階に入ります。さとし選手、視線の先に全集中をかけます。推定距離1メートル50センチ。囲いの向こう側、今ちょうど黒のビービー弾が落ちているところです。思えばいつもさとし選手はフライ級に憧れていました。特にスーパーフライ級で活躍しているこうへい選手は、学校でもモテまくり。いつかあんな選手になりたいと悔しさ半分、憧れ半分でいつも目で彼の姿を追っていました。そんなこうへい選手に一歩近づく。このジャンプはその先にあるスーパーフライ級へも通じる扉を開ける鍵にもなるのです。


ドクン、ドクン。


実況席のこちらまでその緊張が伝わってきます。さあ飛べ!進化のために!


さとし選手、急にしゃがみ込んだ。あれは次の跳躍に備えるためのものだ。ブランコの振り幅は本日最高長を記録。地面に対し平行になるまで思いっきり後ろに振れると、その反動でブランコは徐々に前へ振れ始めました。


いよいよだ、行くか、いけるのかさとし選手。


彼の視線には一点の曇りもありません。


行ってこい。大丈夫、囲いに当たったって俺がお母さん呼んできてやるから。


ブランコが猛スピードで振り上がる。飛ぶのはいまだ!!


さとし選手、全身を空に投げ出しました。そこには怪我など恐れない勇気に動かされた体があるのみです。


そして見事に着地!枠内に。



「いやー今日もよく飛んだぜー。こりゃ完全に記録更新だな。間違いない。」


すぐさま記録員が駆け寄ってきます。


「すごいよさとしくん。今日はあの木の下から2番目の枝の高さまで飛んでた気がする!」


「うおーまじか!よっしゃー記録更新!」





なお、さとし選手はその後、記録員と一緒にペプシコーラで記録更新を祝ったそうです。


以上、現場からはこうへいがお送りしました。

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