第八話 ゴーレム生成器
防壁を完成させたことで、村の一定の防衛力は確保できたが、更なる防衛力の拡大と、村の開発をスピードアップさせるため、【ゴーレム生成器】を設置することにした。
【ゴーレム生成器】はゲーム中盤以降でしか手に入らないレアアイテムであり、このアイテムを製造するには希少な素材を大量に消費する。
しかし、これがあるのとないのでは、開発スピードが十倍は違ってくるというチート級のアイテムなのだ。
「ゴーレムってレッツェンにもいましたけど、凄くお金持ちの人しか使ってなかった気がするんですけど~」
【ゴーレム生成器】を設置したのを見てルシアが目を丸くしていた。
「まぁ、これはイクリプスからの贈り物だ。あと、【転送ゲート】も一つ貰ってるから割と楽できそう」
「イクリプス様は太っ腹な方なのですね~」
まぁ、太っ腹なのは認めるが、胡散臭いぞ。
この世界では創造神として崇められているらしいイクリプスだが、転生前に出会った印象は胡散臭い女神というイメージしかなかった。
「とりあえず、感謝の祈りだけは捧げてもいいかもしれないね。俺は遠慮させてもらうけども」
「ダメですー。イクリプス様はツクル兄さんをこの村に遣わせてくれた方だから、うちと一緒にお祈りしましょう~」
俺が祈りを捧げないと言うと、ルシアがワタワタと慌て、一緒に祈りを捧げようと言い出した。
仕方ない。イクリプスに祈りを捧げる振りして、ルシアに感謝の祈りを捧げるか。
「分かった。祈りの句をルシアが言ってくれるかい」
「分かりました。創造主、イクリプス。その慈愛深き御心に感謝し、日々を健やかに生きて参ります」
両手を胸の前で組み、眼を閉じて祈る姿は、神々しく俺は思わずルシアに跪いて同じように祈りを捧げた。
この子が笑顔でいてくれるようにしないとな。
よし、この世界でやることにルシアの笑顔を守るのも付け加えよう。
転生して手に入れた新しい人生だ。
『ビルダー』の力を使って、一人の女の子の笑顔を守って、好きな都市開発をしたって罰は当たらないだろう。
俺はイクリプスに祈りを捧げるルシアに対し、新たな誓いを捧げていた。
「ふぅ。ちゃんとイクリプス様に届きましたかね~?」
「多分、届いたと思うよ。さて、お祈りも済ませたから、ゴーレム作りに入ろうか」
「あ、はい。場所はどうします?」
「村の中央に暫定的に設置しておくよ。また、あとで建物作り直したら移動させるし」
俺はルシアとともに村の中央に行き、そこに【ゴーレム生成器】を設置した。
そして、【ゴーレム生成器】のメニュー画面を弄っていく。
メニューは『機関出力』、『内骨格フレーム』、『外装』、『武装』、『その他』に分かれていた。
まず最初に『機関出力』の項目を選ぶ。これはゴーレムの性能を決める根幹であり、魔物を倒した際に手に入る【魔結晶】の大きさによって出力数値が変化していくのだ。
小鬼を退治した際にドロップした【魔結晶の欠片】を選択すると、出力数値が表示されていく。
最弱の部類に入る小鬼であるため、ドロップされる【魔結晶の欠片】の出力数値も大して高い物ではなかった。
「まぁ、最初はこんなものだよね」
「そうなんですか? うちはよく分からないですけど」
【ゴーレム生成器】の手前に投影されたディスプレイをルシアも一緒に覗き込んでいる。
未だゴーレムの姿は映し出されずに画面には、出力機関である【魔結晶】のみが表示されていた。
次にゴーレムは機関である魔結晶を守るための内骨格フレームが設定されているため、【ゴブリンの骨】を選択していく。
画面に【魔結晶】を守るように【ゴブリンの骨】がアバラ骨のように配置される。
これでゴーレムの根幹である【魔結晶】が衝撃から守られるようになった。
ゴーレムは基本的に【魔結晶】が破壊されない限り、身体は再生を繰り返すため、この内骨格フレームを強化していくと倒されにくいゴーレムになるのだ。
次に『外装』を選ぶ。
シンプルに人型を選び、身長と素材を選択していく。
最初なので、物資も少ないため、身長は1メートルサイズにして、素材も近隣に豊富にある【木材】にしておいた。
自衛用戦力兼素材取集係もかねるので、とにかく数を作れる低スペックのゴーレムを大量に生成したいのだ。
「可愛らしいゴーレムさんですね~。ちっちゃい子供みたい」
画面にはのっぺりとした顔の木製ゴーレムが表示されていた。
マネキンだなこれ。
「今のところ、素材収集と警備を兼ねる子たちだからね」
「この子たちが、ツクル兄さんのお手伝いしてくれるんですね」
「ああ、いるとかなりのスピードで街づくりができるよ。期待しててね」
「早く、動くところ見てみたいです~」
ルシアは興味深々という目で画面上のゴーレムを見ていた。
彼女の要望に応えるためにも、ゴーレムの仕様を決める作業を進めていく。
『武装』を選びメニューを開く。
武器は近接武器だけでいいかな。スライムとか小鬼なら、負けることはないからな。
作成可能な武装から【石の剣】を選択する。
画面上のマネキンゴーレムが剣を装備していった。
そして、最後に『その他』の項目を選ぶ。
この項目は、ゴーレムに色々な追加機能を持たせる項目だが、現状は素材収集兼用の警備ゴーレムのため、収集用の【木の籠】を追加した。
これで、収集物を集められる量が増している。
「よし、完成だ。ゴーレムの名前は『収集くん』にしておこう」
「『収集くん』ですか~。分かりやすくてシンプルな名前ですね。可愛らしい外見も素敵です」
ルシアもとても気に入ってくれたようなので、生成画面の方へ切り替える。
【収集くん】……戦闘兼収集用木製ゴーレム 耐久値:120 消費素材:ゴブリンの骨:1 魔結晶:1 木材:3 石:2 ツル草:2
それなりに素材を消費するが、彼らは指定すれば、素材や素材の元になるものを収集してくれるので、ここで投資を惜しんではいけないのだ。
ルシアを救う際に退治した小鬼たちの三体分を作成することにした。
ボフッ! 【ゴーレム生成器】から木製のマネキンゴーレムたる『収集くん』たちが白煙とともに三体出現した。
「ツクル兄さん! 出ました! ひゃあ! 可愛い」
ルシアは『収集くん』を気に入ったようで、命令を待つため立ち続けている『収集くん』に頬ずりしていた。
思った以上にご好評のようだ。もしかして、ルシアの趣味はちょっと特殊かな……。
目鼻のないつるりとした頭部と幼児体型のような胴体に短い手足が付いただけの『収集くん』が可愛いとは、ちょっと俺には理解できないが、ルシアが喜んでいるならヨシとしよう。
完成した『収集くん』は【ゴーレム生成器】の記憶させ、すぐに量産させられるようにしておくとともに、収集物を設定していく。
えっと、収集物は【石】を生成できる『小石』と、【棒】を生成できる『枝』、あとは【食用キノコ】くらいだな。
ゴーレムは『ビルダー』の力を持っていないので、素材の素となるものか、食材やドロップアイテムしか収集できない。
ただ、つるはしや斧を装備させると『木』や『岩』も収集してくるようになるんで、機関出力の高い【魔結晶】が手に入ったら、『収集くん』たちをパワーアップさせるつもりだ。
収集物指定をして更新すると、棒立ちだった『収集くん』たちがビクンと震えて、動き始めた。
すでに収集範囲も村外と指定してあるため、起動「した『収集くん』たちは村の外に通じる【木の大扉】を通って出ていった。
「行ってらしゃい~。頑張ってね~」
ルシアが『収集くん』たちに手を振って送り出していた。
彼らは背中の籠がいっぱいになるか、【魔結晶】の魔素が切れそうにならない限りは外で収集と魔物退治を続けてくれる。
これで、村の夜の安全性は格段に高まった。
ゲットアイテム
【木の籠】【収集くん】
都市開発状況
都市名:最果ての村
発展LV1
人口:5
ゴーレム:3(NEW)
主要施設:民家×3 ゴーレム生成器×1(NEW)
防壁:土塁(空堀あり)×二〇メートル四方
門:木製の大扉×1







